【パリ2024への道】フェンシング、出場資格取得プロセスを解説
パリ2024のフェンシング競技では、212人のアスリートが4年に1度の舞台に立つ。パリへの切符をつかむまでに選手たちはどのような道をたどるのだろうか。出場権獲得までの道のりや注目の選手などを紹介する。
フェンシングは、1896年にアテネで開催された第1回近代オリンピック大会以来、オリンピックプログラムに組み込まれている。伝統的にサーブル、フルーレ、エペの3種目が実施され、最も象徴的なオリンピック競技のひとつともなっている。1924年に開催されたパリオリンピックでは、女子の種目が初めて導入された。
その大会から100年。**パリ2024**では男女あわせて212人の選手が参加し、華麗な剣さばきで戦いを繰り広げる。ここでは、選手らがパリ2024の舞台となるグラン・パレに到達するまでのプロセスなどを見てみよう。
パリ2024:フェンシングの参加選手数は?
パリ2024では、男子102人、女子102人、さらに開催国枠として6人(男女各3)、ユニバーサリティ枠として2人(男女各1)の合計212人が競技に参加する。
各地の国内オリンピック委員会は最大18選手(男女各9)を派遣することができる。それぞれの種目の上限は、1チーム(3人)または1人となる。
個人種目への参加人数は34〜37人で、団体種目は8〜9チーム。この数は、開催国であるフランスが自国の選手を出場させるかなどによって決まる。 団体戦の各チームは、3選手で構成される。
パリ2024:フェンシングの出場枠を得るには?
出場枠には国内オリンピック委員会に割り当てられるものと、選手に割り当てられるものがある。
■ 国内オリンピック委員会に割り当てられる出場枠
- 144枠:女子サーブル、女子フルーレ、女子エペ、男子サーブル、男子フルーレ、男子エペの団体
- 6枠:開催国枠
- 2枠:ユニバーサリティ枠
■ 選手名で割り当てられる出場枠
- 60枠:女子サーブル、女子フルーレ、女子エペ、男子サーブル、男子フルーレ、男子エペ
団体種目の出場枠(48チーム144人)
2024年4月1日付の国際フェンシング連盟(FIE)公式シニアチームランキングにもとづいて、団体6種目(女子サーブル、女子フルーレ、女子エペ、男子サーブル、男子フルーレ、男子エペ)の出場枠が国内オリンピック委員会に割り当てられる。その数は合計48チーム(144人)。
このランキングは2023年4月3日から2024年4月1日までの間に、以下の大会において獲得したポイントを集計して決定する。
- シニア団体ワールドカップ
- シニア団体世界選手権
- シニア団体大陸選手権
割り当てとしては、団体6種目それぞれの上位4チーム(合計24チーム)の国内オリンピック委員会が、地域ゾーンに関係なく大会への出場権を獲得する。
また、各種目の5位から16位のうち、4つの地域ゾーン(アフリカ、アメリカ、アジア・オセアニア、ヨーロッパ)のそれぞれ最上位のチーム(合計24チーム)の国内オリンピック委員会もパリ2024への出場権を得る。もしもある地域ゾーンが上記のランキングに含まれていない場合、そのゾーンにおいてより高いランクのチームが出場権を獲得する。
個人種目の出場枠(60人)
個人6種目(女子サーブル、女子フルーレ、女子エペ、男子サーブル、男子フルーレ、男子エペ)の出場枠は、2024年4月1日の**地域ゾーン別FIE個人シニア調整後公式ランキング(AOR)**にもとづいて36枠、FIE地域別予選にもとづいて24枠が割り当てられる。
■ 調整後公式ランキング(AOR)
このランキングは、2023年4月3日から2024年4月1日の間に以下の大会の個人戦で獲得したポイント数によって決定する。
- 個人グランプリ大会
- シニアワールドカップ個人戦
- サテライト大会
- シニア個人世界選手権
- シニア個人大陸選手権
このランキングは、国内オリンピック委員会および種目ごとに、すでに団体戦で出場権を獲得した選手の名前を削除して調整される。その他の国内オリンピック委員会については、国内オリンピック委員会、ゾーン、種目ごとに最高位の選手のみがランキングに残される。
AORにもとづき、それぞれの種目においてランキングの高い選手が出場権を獲得する。地域ゾーン別の配分は以下の通りとなる。
- ヨーロッパ:2人
- アジア・オセアニア:2人
- アメリカ:1人
- アフリカ:1人
■ FIE地域別予選
FIE地域別予選にもとづいて、それぞれの種目において4選手がパリ2024への出場権を得る。地域別の配分は以下の通りとなる。
- ヨーロッパ:1人
- アジア・オセアニア:1人
- アメリカ:1人
- アフリカ:1人
パリ2024:フェンシングの競技日程は?
パリ2024でのフェンシング競技は12種目が実施される予定で、2024年7月27日から8月4日にかけてパリの象徴的な建造物であるグラン・パレ行われる。
男子6種目
- エペ個人
- フルーレ個人
- サーブル個人
- エペ団体
- フルーレ団体
- サーブル団体
女子6種目
- エペ個人
- フルーレ個人
- サーブル個人
- エペ団体
- フルーレ団体
- サーブル団体
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パリ2024に向けて注目したいフェンシングの選手は?
パリ2024では、フランス人フェンサーたちが自国開催のオリンピックで輝きを放つだろう。その中でも、東京2020の金メダリスト、**ロマン・カノヌ**は、エジプトのカイロで行われた2022年のFIE世界フェンシング選手権のエペ個人で優勝しただけでなく、エペ団体でフランスを優勝へと導いた。パリでのオリンピック個人2連覇を目標に掲げていることだろう。
エペ団体で、フランス男子チームは、優勝候補の常連イタリアや、オリンピック王者の日本チームという難敵に打ち勝つ必要がある。山田優、宇山賢、加納虹輝、見延和靖で東京オリンピックに挑んだ日本チームは、フェンシング競技で日本初の金メダルを獲得した。
フルーレ個人では、現在世界ランキング1位のトンマーゾ・マリーニ(イタリア)が金メダル候補の筆頭に挙げられる。同胞の**ダニエレ・ガロッツォ**は、東京2020では決勝でチョーン・ガーローン(張家朗/ホンコン・チャイナ)に敗れた。
2022年の世界選手権男子サーブル団体において4年連続で世界王者となった大韓民国には、パリ2024の男子サーブル団体で3連覇がかかっている。
女子フルーレでは、東京2020のフルーレ団体で銀メダルのフランスの**サオラ・チプス**が、2022年の世界選手権で金メダルを獲得した。31歳の彼女は、母国開催のオリンピックで表彰台の頂点を目指していることだろう。
2022年の世界選手権女子エペ団体を制した大韓民国もグラン・パレで金メダルを狙っているに違いない。しかしオリンピック銅メダリストで現在世界ランキング2位のイタリアとの激しい争いが予想される。
フェンシング、パリ2024までの流れ
- 2023年4月3日:予選期間開始
- 2024年4月1日:FIE公式シニアランキング締め切り
- 2024年4月15日~30日:ゾーン予選
- 2024年4月30日:予選期間終了
- 2024年5月8日:FIEは国内オリンピック委員会に、獲得した出場枠を文書で通知する
- 2024年5月20日:開催国は、開催国枠の使用意思、またどの種目で使用するかを書面にて表明する
- 2024年5月21日~25日:ユニバーサリティ枠の確認期限
- 2024年5月31日:国内オリンピック委員会はFIEに、割り当てられた出場枠の使用意思を表明する
- 2024年6月25日:国内オリンピック委員会はFIEに、チームを構成する3人の選手名を提出する
- 2024年6月3日:FIEは、未使用の出場枠をすべて再配分する
- 2024年7月8日:パリ2024競技エントリー締切
- **2024年7月26日~8月11日:**パリ2024オリンピック競技大会
パリ2024への道、記事一覧
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