【パリ2024への道】射撃、出場資格取得プロセスを解説

執筆者 MENG Lingcheng|公開日:7月27日
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写真: 2021 Getty Images

東京2020で一番最初に金メダルが授与された競技が射撃。その興奮と期待は大会の期間中も続き、パリ2024でも再び射撃競技が実施される。ここでは選手の数、注目のスター、予選への道筋などを紹介する。

正確さと集中力を必要とする射撃は、第1回オリンピックのアテネ1896で実施された9つの競技のひとつだ。セントルイス1904とアムステルダム1928を除いてすべてのオリンピックのプログラムに組み込まれるなど、主要な競技となっている。

アテネ1896での射撃は5種目のみだったが、**パリ2024**では男女合わせて15種目(ライフル、ピストル、クレー射撃)が行われる。パリ2024の射撃競技に関する情報を紹介したい。

パリ2024:射撃の参加選手数は?

パリ2024では、男子170名、女子170名の計340名が射撃競技に出場する予定。2021年に開催された東京2020の射撃競技に出場した360名を若干下回る。

パリ2024:射撃の出場枠を得るために必要な条件は?

すべてのアスリートは、オリンピック憲章およびその他の関連規則に従わなければならない(詳しくはこちら)。

年齢制限はないが、次回大会の個人出場権を1つ以上獲得するためには、いくつかの基準を満たす必要がある。

  • 選手は、**オリンピック予選ランキング(QROG)**に名前が掲載されており、パリ2024でエントリーを希望する個人種目のそれぞれについて、少なくとも1つのランキングポイントを獲得していなければならない。
  • 選手は、パリ2024でエントリーを希望する個人種目のそれぞれについて、国際射撃連盟(ISSF)が主催する選手権に予選期間中に少なくとも2回、参加しなければならない。

パリ2024:射撃の出場枠を得るには?

パリ2024には、合計340(男女各170)の出場枠が設けられている。

開催国であるフランスは、パリ大会の射撃競技において12枠(男女各6)が与えられる。開催国は、各個人種目において、選手が上記の資格要件を満たしていることを条件に、男女各1枠を自動的に獲得する。開催国枠は、開催国の選手が予選期間中に当該種目の出場枠を獲得していない場合にのみ与えられる。

パリ2024では、資格のある国内オリンピック委員会に16のユニバーサリティ枠(男女各8)が与えられる。三者委員会は、当該競技の予選期間終了後、関連する国内オリンピック委員会へのユニバーサリティ枠の割り当てを文書で通知する。

2022年8月14日〜2024年6月9日に開催される指定ISSF選手権において312枠(男女各156)が割り当てられる。各国の国内オリンピック委員会は最大24枠(最大男女各12)を獲得できる。

国内オリンピック委員会は、個人種目には最大2選手、混合団体種目には最大2チーム(個人種目で出場権を獲得した選手で構成)をエントリーすることができる。

国際射撃連盟が指定する各選手権で得られる種目ごとの出場枠の数についての詳細は、**パリ2024射撃競技予選システム**の3ページと4ページに記載されている。

それぞれの大会で上位の選手が所属する国内オリンピック委員会が出場枠1つを獲得する。ひとりの競技者が自国民代表として獲得できる出場枠は1つのみ。

出場枠は国内オリンピック委員会に割り当てられるが、オリンピック出場権獲得ランキングから出場枠を獲得した場合は例外となり、これらの出場枠は選手個人に与えられる。国内オリンピック委員会が変更することはできない。

2024年6月9日に発表される最終的なオリンピック出場権獲得ランキングリストは、個人種目のそれぞれに1つの枠を割り当てるために使用される。出場枠は、オリンピック出場権獲得ランキングのうち、まだどの種目でも出場権を獲得していない最高ランクの競技者に与えられ、また、同じ競技者の国内オリンピック委員会が当該種目においてまだ複数の出場枠を獲得していない場合に与えられる。

指定されたISSF選手権において、それ以前に行われた指定ISSF選手権で既に出場枠を獲得している競技者によって出場枠が獲得された場合、 その種目において、次に高い順位の競技者に出場枠が与えられる。

このルールは、ある競技者の国内オリンピック委員会が、その種目ですでに最大数の出場枠を獲得している場合にも適用される。

ひとつの国内オリンピック委員会は、指定ISSF選手権の個人種目において、1枠を獲得できる。

ある個人種目で出場枠を得た選手は、前述の資格要件を満たし、国内オリンピック委員会あたりの最大選手数が尊重される場合、別の個人種目への出場枠も得ることができる。このような権利は、国内オリンピック委員会ではなく、個々の競技者に与えられる

写真: 2021 Getty Images

混合団体

各混合団体種目のチームは、個人競技の予選を通過し、出場権を得た選手で構成されなければならない

10mエアライフル/10mエアピストルの混合団体種目のエントリー数が、予選リレー1回分のポイントを超えた場合、オリンピック出場権獲得ランキングにより最終エントリーリストを決定する。2024年6月9日に発表された10mエアライフルまたは10mエアピストルの、混合団体のメンバーそれぞれの個人種目におけるポイントの合計が考慮される。

それでも同点の場合は、2024年6月9日発表のランキングに従って、それぞれの混合団体種目の個人種目で最も高いポイント数を持つ選手(男子または女子)のいる混合チームが優先される。

スキート混合団体に出場するチームの最大数は18。

スキート混合団体にエントリーした混合チームの数が18を超える場合、オリンピック出場権獲得ランキングを用い、最終エントリーリストが決定される。混合チームの両メンバーのスキート個人種目におけるオリンピック出場権獲得ランキング(2024年6月9日発表)によるポイントの合計が考慮される。

それでも同点の場合は、スキート個人種目のオリンピック出場権獲得ランキング(2024年6月9日発表)によるポイント数が最も高い選手(男子または女子)がいる混合チームを優先する。

パリ2024:射撃の競技フォーマットと日程は?

射撃競技は7月27日から8月5日の間にフランス国立射撃場で行われ、パリ大会では、東京2020と同じ15種目が予定されている。

  • 10mエアライフル(女子/男子/混合団体)
  • 50mライフル3姿勢(女子/男子)
  • 10mエアピストル(女子/男子/混合団体)
  • 25mラピッドファイアピストル(男子)
  • 25mピストル(女子)
  • トラップ(女子/男子)
  • スキート(女子/男子/混合団体)

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写真: 2021 Getty Images

パリ2024に向けて注目したい射撃の選手は?

東京2020では、中華人民共和国が金メダル4個を含む計11個のメダルを獲得した。

パリ2024を目指す中国の射撃チームには、年齢が味方している。東京2020で初の金メダルを獲得した**楊倩**(YANG Qian)は、20歳にして10mエアライフル個人女子と10mエアライフル混合団体で表彰台の頂点に立った。

盛李豪(SHENG Lihao/16)、肖嘉芮萱(XIAO Jiaruixuan/19)、張常鴻(ZHANG Changhong/21)、姜冉馨(JIANG Ranxin/21)は、若くしてオリンピックメダルを手にし、フランスの首都でさらなるメダル獲得を狙う。

9歳で射撃を始めた20歳の**ウィリアム・シェーナー**は、10mエアライフル男子で中華人民共和国の盛李豪をわずか0.7差で破るスリリングな決勝戦の末に優勝を飾った。彼は、ライフル種目で優勝したアメリカ合衆国出身の男子選手として史上最年少となった。パリ2024では、さらに多くのメダルを獲得することができるだろうか?

フランスの**ジャン・キカンポワは、リオ2016の25mラピッドファイアピストル男子の銀メダルを東京で金メダルに更新。さらに最終スコア34を記録して、ロンドン2012の金メダル獲得者であるレウリス・プポ**の記録と並ぶオリンピックレコードを達成した。パリ2024では、母国でのタイトル防衛に挑む。

射撃、パリ2024までの流れ

  • 2022年8月14日:予選期間開始
  • 2022年8月24日〜9月12日:2022年欧州選手権クレー射撃(キプロス・ラルナカ)
  • 2022年9月5日~18日:2022年欧州選手権25m/50m(ポーランド・ヴロツワフ)
  • 2022年9月22日~10月11日:2022年世界選手権クレー射撃(クロアチア・オシエク)
  • 2022年10月12日〜25日:2022年世界選手権ライフル&ピストル(エジプト・カイロ)
  • 2022年11月9日~16日:2022年CAT XIll選手権(ペルー・リマ)
  • 2023年3月5日~15日:2023年欧州選手権10m(エストニア・タリン)
  • 2023年6月21日~7月2日:2023年欧州競技大会(ポーランド)
  • 2023年8月14日~31日:2023年第53回世界選手権、日程未定
  • 2023年7月25日〜8月6日:2023年欧州選手権クレー射撃(オーストリア・レオベルスドルフ)
  • 2023年10月1日~10日:2023年アフリカ選手権(エジプト・カイロ)
  • 2023年10月:2023年パンアメリカン競技大会(チリ・サンチアゴ)
  • 2023年10月:アジア選手権(韓国・昌原)
  • 2024年2月〜3月:ヨーロッパ選手権 10m(ハンガリー・ギョール)
  • 2024年2月:2024年アジアクレー射撃選手権、日程未定
  • 2024年3月:2024年アジアライフル&ピストル選手権、日程未定
  • 2024年4月~5月:2024年欧州予選大会/選手権(25/50m)、日程未定
  • 2024年4月~5月:2024年年欧州選手権クレー射撃、日程未定
  • 日程未定:2024年CAT XIV選手権大会(ペルー、リマ)
  • 日程未定:オセアニア選手権、日程未定
  • 2024年6月9日:予選期間終了
  • 2024年6月14日:ISSFは、獲得した出場枠を国内オリンピック委員会に電子メールで通知する
  • 2024年6月21日:国内オリンピック委員会は割り当てられた出場枠の使用意思をISSFに電子メールで表明する
  • 日程未定:三者委員会は、国内オリンピック委員会へのユニバーサリティ枠の割り当てを文書で通知する(該当する場合)
  • 2024年6月28日:ISSFは未使用の出場枠をすべて再配分する
  • 2024年7月8日:パリ2024競技エントリー締切日
  • 2024年7月26日~8月11日:パリ2024オリンピック競技大会

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