【パリ2024への道】自転車トラックレース、出場資格取得プロセスを解説
1896年の夏季アテネオリンピック以来、オリンピックで実施されている自転車トラックレース。パリ2024では、男女それぞれ95名の計190名の選手が出場する。注目の選手や出場権獲得までの道のりなどを紹介する。
**自転車トラックレース**において、まばたき厳禁だ。
オリンピック競技の中で最もスピードのある競技のひとつとされる自転車トラックレースは、種目によっては、ほんのわずかの差でタイトルが決まる。
パリ大会では12種目(男子6、女子6)が行われ、これは東京大会と同数となる。持久系3種目(オムニアム、チームパシュート、マディソン)、スプリント系3種目(ケイリン、スプリント、チームスプリント)で構成され、個人3種目、団体3種目が行われる。
パリ大会でもスピード、バランス、駆け引き、そしてスリリングな戦いが繰り広げられることになるだろう。
しかし、2022年7月9日〜2024年4月14日までの予選を経て、誰がパリのナショナル・ヴェロドロームでのレースに出場するかは未知数だ。その答えにつながる、**パリ2024**の自転車トラックレースの参加資格などについて紹介したい。
パリ2024:トラックサイクリストの参加数は?
パリ大会では、190名のトラックサイクリストが出場する。その数は男女それぞれ95選手だ。ホスト国枠やユニバーサリティ枠はなく、全員が同じ道を歩んでオリンピックを目指す。
出場枠は各国内オリンピック委員会(NOC)に割り当てられ、予選期間終了後、国内オリンピック委員会または国内競技連盟は大会に出場する選手を選出する。
それぞれの国内オリンピック委員会の出場枠は、原則として最大14名(男女各7)で、それぞれの種目の上限は以下の通りとなる。
- スプリント、ケイリン:男女各2名
- オムニアム:男女各1名
- チームパシュート:男女各1チーム(4名で編成)
- チームスプリント:男女各1チーム(3名で編成)
- マディソン:男女各1チーム(2名で編成)
また、一部の国内オリンピック委員会が自転車トラックレースに16名の選手を出場させる例外もあり得る。別の自転車競技種目にエントリーしている選手に限り、国内オリンピック委員会ごとに男女各1名(合計2名)までリストに追加できる。
資格要件の詳細は、こちら。
パリ2024:自転車トラックレースの出場枠を得るには?
190人の選手が自転車トラックレースの出場資格を得るためのルートはただひとつ。UCIトラックオリンピック・ランキング2022-2024だ。しかし、国別UCIトラックオリンピックランキング2023-2024は、この競技の各種目に関して設定されている。
出場権を得るためには、選手はポイントを獲得する必要がある。これらは、考慮すべき要素の一部である。
競技種目
UCIトラックオリンピック・ランキング2022-2024は、以下の大会で獲得したポイントが集計される。
- 各大陸選手権の過去2回分の成績
- 2023年と2024年の各シーズンにおけるUCIトラックネーションズカップでの成績(ベスト2)
- 2023年UCIトラック世界選手権
ポイント数
これらの大会で得られるポイントの価値は平等ではない。UCIトラックオリンピック・ランキング2022-2024は、ポイントスケールが適用される。つまり、ポイントはそれぞれのスケールで掛け合わされる(ネーションズカップのポイントは除く。これはそのまま適用される)。
- 大陸選手権のポイントは0.75倍。
- 世界選手権は1.5倍。
選手数/チーム数
出場枠は国内オリンピック委員会に割り当てられ、個々のアスリートではないため、同じ国内オリンピック委員会から参加するすべてのアスリートが、国内オリンピック委員会のためにポイントを獲得するわけではない。各個人戦で国内オリンピック委員会における最高位の選手だけが、また各団体戦で国内オリンピック委員会における最高位のチームだけが、対応するランキングで国内オリンピック委員会のためにポイントを獲得する。
得点配分
各大会では、国内オリンピック委員会につき1人の選手/チームが考慮されるため、最高位以外のサイクリストの順位はカウントされない。例えば、英国選手が1位と2位となった場合、3位の選手が所属する国内オリンピック委員会に2位のポイントが与えられる。
各ランキングの特徴
チームスプリント(8チーム:1チーム3人):上位8位の国内オリンピック委員会に割り当てられる。
スプリントとケイリン(スプリント7枠+ケイリン7枠):チームスプリントの出場枠を持っていない各種目の上位7つの国内オリンピック委員会は、各種目の出場枠1つを獲得する資格を得る。スプリントの場合、大陸ごとの最小割当を尊重しなければならない(下記の特別規定を参照)*。
スプリント種目で上位7つの国内オリンピック委員会 には、ケイリン種目に1名の選手をエントリーする権利が与えられ、その逆も然りである。どちらの場合も、追加枠はない。
チームスプリントですでに出場枠を獲得している国内オリンピック委員会は、次のことを考慮して、スプリントとケイリン種目にそれぞれ2名の選手をエントリーする権利が与えられる。
- 選ばれた選手は、すでに他の自転車トラックレース種目または他の自転車競技の出場資格を持ち、エントリーしていなければならない。
- 国内オリンピック委員会に与えられた種目別の出場枠の割り当てが尊重されなければならない。
これらの点を考慮すると、スプリントとケイリン種目に参加する選手の総数は、最大で30名となる。
チームパシュート(40枠、合計10チーム):上位10位の国内オリンピック委員会は、それぞれ4選手で編成されるチームを結成する。
マディソン(10枠、合計5チーム):チームパシュートの枠を獲得していない上位5つの国内オリンピック委員会は、それぞれ2選手で編成されるチームとして出場。
チームパシュートですでに出場枠を得た国内オリンピック委員会は、以下の点を考慮し、マディソンに1チーム(2選手)をエントリーする権利が与えられる。
- 選ばれた選手は、すでに他の自転車トラックレース種目または他の自転車競技の出場資格を持ち、エントリーしていなければならない。
- 国内オリンピック委員会に与えられた種目別の出場枠の割り当てが尊重されなければならない。
つまり、マディソンに出場するチームの総数は、最大で15チームとなる。
オムニアム(7枠):大陸ごとの最小配分(下記の特別規定を参照)*を尊重し、マディソンで直接出場枠を獲得していない上位7位の国内オリンピック委員会は、それぞれ1つの出場枠を獲得する。
マディソンで出場権を得た国内オリンピック委員会は、以下の点を考慮し、オムニアムに1名の選手をエントリーさせる権利を有する。
- 選ばれた選手は、すでに他の自転車トラックレース種目または他の自転車競技の出場資格を持ち、エントリーしていなければならない。
- 国内オリンピック委員会に与えられた種目別の出場枠の割り当てが尊重されなければならない。
つまり、オムニアムに出場する選手のうち、通常の選手は最大22人に達する可能性がある。
注記:種目間のつながりについて
最初の種目の参加資格と、2番目の種目の参加資格の可能性が関連している場合(チームスプリントとスプリントおよびケイリン、チームパシュートとマディソン、チームパシュートまたはマディソンとオムニアムで発生する可能性あり)、当該国内オリンピック委員会は最初の種目への参加意思を表明しなければ、自動的に第2(または第3)種目の出場枠を得る特典を受けることができない。
もし国内オリンピック委員会が最初の種目への参加意思を表明しなかった場合でも、通常の予選プロセス(その種目のための特定のオリンピックランキング)を通じて、第2(または第3)種目の出場枠を獲得する可能性がある。
特別規定:大陸代表
自転車トラックレースには、ユニバーサリティ枠はないが、それはすべての大陸の国内オリンピック委員会代表がいないことを意味するものではない。それを保証するため、考慮すべき2つの特別規定が存在する。
- チームスプリント、スプリントまたはケイリン:男女それぞれにおいて、ある大陸がいずれのスプリント種目の出場枠を獲得していない場合、その大陸のスプリントのオリンピックランキングで最高位の国内オリンピック委員会は、スプリント種目のために1つの出場枠を受け取る。このような割り当ては、スプリント種目のオリンピックランキングを通じて国内オリンピック委員会に割り当てられた枠を、当該国内オリンピック委員会に対応するために差し引かれる(国内オリンピック委員会あたり最大1枠)。
- チームパシュート、マディソン、オムニアム:男女それぞれにおいて、ある大陸がこれらの持久系種目の出場枠を獲得していない場合、その大陸のオムニアムのオリンピックランキングで最高位の国内オリンピック委員会が、オムニアムの出場枠を1つ獲得する。このような割り当ては、オムニアムのオリンピックランキングを通じて国内オリンピック委員会に割り当てられた枠を、当該国内オリンピック委員会に対応するように差し引かれる(国内オリンピック委員会あたり最大1枠)。
パリ2024: 自転車トラックレースの競技フォーマットと日程は?
パリ2024では、東京2020と同じ12のトラック競技が行われる。
- ケイリン(男女)
- オムニアム(男女)
- スプリント(男女)
- チームパシュート(男女)
- チームスプリント(男女)
- マディソン(男女)
ケイリン、スプリント、チームスプリントがスプリント系種目であるのに対し、それ以外は持久力を重視した競技となっている。
自転車トラックレースの全種目は、2024年8月11日から**ナショナル・ヴェロドローム**(サンカンタンアンイヴリーヌ国立競輪場)で実施される。
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パリ2024に向けて注目したい、トラックサイクリストは?
東京2020の自転車トラックレースでは、フランス、英国、イタリア、オランダの人気選手が再びメダルランキングを独占した中、マレーシアの**アジズル・ハスニ・アウァンが男子ケイリンで、日本の梶原悠未**が女子オムニアムでそれぞれ歴史的な銀メダルを獲得した。
東京大会では、英国が金メダル3個を含む7個のメダルを獲得し、オランダが6個のメダルを獲得。この2国は今年も世界ランキングでトップを走っており、パリ大会でも表彰台独占が期待される。しかし、7度のオリンピック金メダリストである**ジェイソン・ケニー**の引退は、英国にとって大きな損失だ。
オランダのサイクリストは、男子個人とチームスプリント競技のタイトルを独占。東京2020では、現在世界ランキング1位の**ハリー・ラブレイセンと2位のジェフリー・ホーフランド**が個人スプリントで金、銀を獲得しただけでなく、チームスプリントでもオランダチームを金メダルに導いた。彼らは、パリ2024でタイトル防衛を目指す。
フランス男子は、28個の金メダルを含む67個のメダルを獲得し、歴代2位となっているが、東京大会では1個の金メダルも獲得できずに帰国している。パリ大会は、自国での巻き返しを図る絶好の機会になる。
女子では、4つの大陸から東京2020のメダリストが誕生。梶原は、母国のファンの前で銀メダルを獲得し、日本を代表する女子サイクリストとして初めてオリンピックでメダルを獲得した。パリでは金メダルを目指すことを明らかにしている。
ドイツは東京大会のチームパシュートとチームスプリントでそれぞれ金1個、銀1個を獲得し、2022年6月現在では両種目とも世界ランキングのトップを維持している。
ニュージーランドの**エリッセ・アンドリュー**は、東京大会でオセアニアの女子サイクリストとして唯一表彰台に上り、ケイリンで銀メダルを獲得した。
自転車トラックレース、パリ2024までの流れ
- 2022年7月9日~2024年4月14日:パリ2024オリンピック予選期間
- 2024年4月15日:UCIトラックオリンピック2022-2024、最終ランキング
- 2024年4月22日:国際自転車連合は国内オリンピック委員会(NOC)に対し、獲得した出場枠を書面で通知する
- 2024年5月6日:国内オリンピック委員会は出場枠の使用意思を国際自転車連合に表明する
- 2024年5月13日:国際自転車連合は未使用の出場枠をすべて再配分する
- 2024年7月8日:パリ2024エントリー締切
- 2024年7月26日〜8月11日:パリ2024オリンピック競技大会
パリ2024への道、記事一覧
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