【パリ2024への道】カヌースプリント、出場資格取得プロセスを解説
パリ2024のカヌースプリントでは、東京大会より2種目少ない10種目が予定されている。アスリートの数、注目のスター選手、オリンピック出場権獲得の道のりを紹介する。
カヌースプリントは、ベルリン1936で男子9種目が初めて実施され、ロンドン1948で女子1種目がオリンピックデビューを果たした。
東京2020で初めて男女同数(各123人)となり、パリ2024でも男子、女子、同じ数の選手が大会に出場する。種目数は東京大会よりも1種目少ない男女各5種目(合計10種目)で、男女あわせて236人が出場する。
カヌースプリントの出場権獲得の道筋を見てみよう。
パリ2024:カヌースプリントの参加選手数は?
パリ大会のカヌースプリントの出場枠は236枠で、東京大会の248枠から8枠少ない。この数字には、開催国枠(男女各2)、ユニバーサリティ枠2枠が含まれている。
- カヤックシングル(K-1):男女各15枠
- カヤックペア(K-2):男女各22枠
- カヤックフォア(K-4):男女各40枠
- カナディアンシングル(C-1):男女各14枠
- カナディアンペア(C-2) :男女各26枠
各国の国内オリンピック委員会(NOC)は最大18枠(男子カヤック6、女子カヤック6、男子カナディアン3、女子カナディアン3)を獲得できる。また、パリ2024でエントリーできる最大ボート数は、1種目につき2艇となる。
最低出場艇数:126艇(男女各63艇)
- K-1:男女各15艇
- K-2:男女各11艇
- K-4:男女各10艇
- C-1:男女各14艇
- C-2:男女各13艇
パリ2024:カヌースプリントの出場枠を得るには?
パリ2024に出場するためには、国内オリンピック委員会は2023年ICFカヌースプリント世界選手権で実施されるオリンピック種目のうち少なくとも1つに参加することが条件となる。
カヌースプリントでは以下の大会を「オリンピック予選大会」と位置付け、その結果によってパリ2024の出場権が割り当てられる。
- 世界予選大会:2023年ICFカヌースプリント世界選手権
- 大陸別予選(ヨーロッパ、アメリカ、アジア、アフリカ、オセアニア)
世界予選大会:2023年ICFカヌースプリント世界選手権
**2023年ICFカヌースプリント世界選手権で男子81枠(ボート37艇、開催国枠2含む)、女子81枠(ボート37艇、開催国枠2含む)**がまず割り当てられる。
- K-1:男女それぞれ開催国枠1を含む選手枠7(ボート7艇)
カヤックシングル(K-1)の男女それぞれで、上位6つの国内オリンピック委員会がそれぞれ1枠を獲得する。開催国は男女それぞれ1枠を確保する。
- K-2:男女それぞれ選手枠12(ボート6艇)
カヤックペア(K-2)の男女それぞれで、上位6つの国内オリンピック委員会がそれぞれ2枠(1艇)を獲得する。
- K-4:男女それぞれ選手枠40(ボート10艇)
カヤックフォア(K-4)の男女それぞれで、上位10位までの国内オリンピック委員会がそれぞれ4枠(1艇)を獲得する。
上位10位以内に含まれる大陸の数が4大陸未満だった場合は、4つの大陸が出場権を得られるよう、決勝の結果をもとに調整される。もしも決勝に4つの大陸が含まれなかった場合は、大陸に関係なく、まだ出場権を獲得していない最高位の国内オリンピック委員会に出場権が与えられる。
- C-1:男女それぞれ開催国枠1を含む選手枠6(ボート6艇)
カナディアンシングル(C-1)の男女それぞれで、上位5つの国内オリンピック委員会がそれぞれ1枠を獲得する。開催国は男女それぞれ1枠を確保する。
- C-2:男女それぞれ選手枠16(ボート8艇)
カナディアンペア(C-2)の男女それぞれで、上位8つの国内オリンピック委員会はそれぞれ2枠(1艇)を獲得する。
ダブルアップによる出場枠の再配分
1選手が獲得できる出場枠の数は原則として1枠のみで、2023年世界選手権で選手がダブルアップ(異なる艇種で複数の出場枠を獲得すること)した場合、出場枠は再配分される。詳しくはこちら。
大陸別予選
**選手枠72(ボート52艇)**が大陸別予選で配分される。
- K-1:男女それぞれ選手枠8(ボート8艇)- ヨーロッパ2、アメリカ2、アジア2、アフリカ1、オセアニア1
- K-2:男女それぞれ選手枠10(ボート5艇) - ヨーロッパ2、アメリカ2、アジア2、アフリカ2、オセアニア2
- C-1:男女それぞれ選手枠8(ボート8艇)ヨーロッパ2、アメリカ2、アジア2、アフリカ1、オセアニア1
- C-2:男女それぞれ選手枠10(ボート5艇)ヨーロッパ2、アメリカ2、アジア2、アフリカ2、オセアニア2
大陸別予選大会の最大出場枠
国内オリンピック委員会は、大陸別予選において、各カテゴリー(男子カヤック、女子カヤック、男子カナディアン、女子カナディアン)で最大2つの選手枠を獲得できる。未使用の選手枠は、その性別のK-1またはC-1でまだ出場権を獲得していない上位の国内オリンピック委員会に割り当てられる。
大陸予選大会が開催できない場合、該当する種目の2023年ICFカヌースプリント世界選手権の結果を用いて、その大陸の選手枠が決定される。
開催国の出場枠
開催国には、以下の種目において、合計4つの出場枠が暫定的に割り当てられる。
- 男子カヤックシングル(K-1)1000m 1枠
- 男子カナディアンシングル(C-1) 1000m 1枠
- 女子カヤックシングル(K-1)500m 1枠
- 女子カナディアンシングル(C-1)200m 1枠
ユニバーサリティ枠
パリ2024ではユニバーサリティ枠として、シングルボート2枠が用意されている。これらの枠は、カヌースプリントまたはカヌースラロームの選手に与えられる。
パリ2024:カヌースプリントの競技フォーマットと日程は?
パリ2024では、カヌースプリントで合計10組(男女各5組)のメダルが授与されるが、これは東京2020の12組より2組少なくない。男子5種目のうち3種目は東京大会と同じだが、ほか2種目は距離が変更になった。
男子
- カヤックシングル(K-1)1000m
- カヤックペア(K-2)500m
- カヤックフォア(K-4) 500m
- カナディアンシングル(C-1)1000m
- カナディアンペア(C-2)500m
女子
- カヤックシングル(K-1)500m
- カヤックペア(K-2)500m
- カヤックフォア(K-4)500m
- カナディアンシングル(C-1)200m
- カナディアンダブル(C-2)500m
※太字表示は、東京2020でも実施された種目
カヌースプリントは、オリンピックおよびパラリンピック選手村から39km離れたスタッド・ヌーティク・ヴェール・シュル・マルヌで、8月6日から10日まで開催される。
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パリ2024に向けて注目の選手
オリンピックのカヌースプリントでは、ドイツ、ハンガリーが圧倒的な強さを誇ってきた。
しかし、東京2020では、ニュージーランドが強さを発揮し、リサ・キャリントンはカヤックシングル(K-1)200m、500m、カヤックペア(K-2)500mの3種目で金メダルを獲得した。33歳の彼女は、ロンドン2012とリオ2016でも銅メダルを獲得しており、パリ2024でも優勝候補のひとりに挙げられるだろう。
女子カナディアンでは、キューバの若手選手、ヤリスレイディス・シリロ ドゥボイスが、カナディアンシングル(C-1)200m、カナディアンペア(C-2)500mの両方で現在世界ランキングのトップを走っている。昨年オリンピックデビューを果たした20歳の彼女がパリオリンピックの出場権を獲得すれば、カヌースプリントでキューバ初の女子金メダリストとなる可能性がある。
男子では、オーストラリアのトーマス・グリーンとジーン・バンダーウェストホイゼンが東京大会のカヤックペア(K-2)1000mで金メダルを獲得したが、この種目はパリ2024では実施されない(男子K-2は500mが実施される)。しかし、ふたりは500mでも世界ランク1位、さらにグリーンは東京2020のK-1 1000m銅メダリストで世界ランクは現在2位。2018年と2021年の世界選手権を制しているポルトガルのスター選手、フェルナンド・ピメンタの背中を追う。
ドイツは、男子K-4 500mで3大会連続の金メダルを目指す。また、世界ランク1位のウクライナはもちろん、東京2020の銀メダリストで2022年に世界チャンピオンとなった、サウル・クラビオット率いるスペインもパリで優勝を狙う。
女子K-4 500mでは、オリンピック金メダリストのハンガリーが、カナダのダートマスで開催された2022年ICFカヌースプリント世界選手権で表彰台に上がれず、スロースタートとなった。東京2020の銅メダリストであるポーランドは、2022年世界選手権で優勝し、現在世界ランキングをリードしている。
カヌースプリント、パリ2024までの流れ
- 2023年8月23日~27日:2023年ICFカヌースプリント世界選手権
- 日時未定:オセアニアオリンピック予選、アフリカオリンピック予選、アメリカオリンピック予選、アジアオリンピック予選、ヨーロッパオリンピック予選
- 大会終了後10営業日以内:国際カヌー連盟(ICF)は国内オリンピック委員会に対し、獲得した出場枠を文書で通知する
- ICFによる出場枠の通知から10営業日以内:国内オリンピック委員会はICFに対し、割り当てられた出場枠の使用意思を表明する
- 国内オリンピック委員会の出場枠回答から10営業日以内:ICFは未使用の出場枠をすべて再配分する
- 国内オリンピック委員会から再配分に対する回答があった日から10営業日以内:国内オリンピック委員会はICFに対し、割り当てられた出場枠の使用意思を表明する
- 日時未定:三者委員会は国内オリンピック委員会(該当する場合)に対し、ユニバーサリティ枠の割り当てを文書で通知する
- 2024年6月30日:ICFは未使用の出場枠を再配分する
- 2024年7月8日:パリ2024競技エントリーの締め切り
- 2024年7月26日〜8月11日:パリ2024オリンピック競技大会
パリ2024への道、記事一覧
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