【パリ2024への道】陸上競技、出場資格取得プロセスを解説
古代オリンピックで実施されたスポーツのひとつである陸上競技は、1896年にアテネで復活して以来、近代オリンピックの主役的な存在となっている。パリ2024の陸上競技は、世界各地から1,810人のアスリートが参加し、栄冠を目指して競い合う。注目アスリート、スケジュール、出場権獲得までの道のりなどを紹介しよう。
紀元前776年に初めて開催された古代オリンピック。この大会で採用された陸上競技は、1896年のアテネ大会で男子12種目が実施されて以来、近代オリンピック競技プログラムの一部となっている。
女子が初めて参加したのはアムステルダム1928で、2024年のパリ大会では、男女が同数のアスリート(それぞれ905人)が陸上競技に出場する。
パリ2024:陸上競技の参加選手数は?
パリ2024では、女子905人、男子905人、合計1,810選手が陸上競技に出場する。各地の国内オリンピック委員会は、個人種目のそれぞれで最大3選手、団体種目のそれぞれで最大2チーム、リレー種目のそれぞれで最大1チームの出場枠を得ることができる。
ユニバーサリティ枠として、資格を有する男子および女子、リレーチームを持たない国内オリンピック委員会は、100m、800m、マラソンのいずれかに同委員会の最高位の選手(男子または女子)をエントリー申請することができる。
パリ2024オリンピック陸上競技各種目の最大出場人数は以下の通りとなる。
パリ2024:陸上競技の出場枠を得るには?
パリ2024の出場枠は2つの方法で得ることができる。出場枠の50%は期間内に参加標準記録を達成することによって与えられ、残りの50%はランキング期間内のワールドアスレティックス(世界陸連)の世界ランキングによって与えられる。
10000m、マラソン、混成競技、競歩を除くすべての個人種目の予選・ランキング対象期間は、2023年7月1日〜2024年6月30日となる。
10000m、混成競技、競歩、リレーについては2022年12月31日〜2024年6月30日、マラソンについては2022年11月1日〜2024年4月30日が予選・ランキング対象期間となる。
すべての記録は、世界陸連、その地域協会または国内連盟がその規則に従って主催または公認し、世界陸連グローバルカレンダーに掲載された競技会中に達成されなければならない。
リレー種目については、2024年の世界リレーのトップ14の国内オリンピック委員会が自動的にパリ2024への出場権を獲得し、残りのチームは2022年12月31日〜2024年6月30日の期間の世界陸連のリレー成績表をもとに選出される。
パリ2024の全種目の参加標準記録
パリ2024:陸上競技の競技日程は?
パリ2024の陸上競技は、2024年8月2日〜11日の日程でスタッド・ド・フランスを中心に開催される。
【パリ2024の種目一覧】
- 100m(女子/男子)
- 200m(女子/男子)
- 400m(女子/男子)
- 800m(女子/男子)
- 1500m(女子/男子)
- 5000m(女子/男子)
- 10,000m(女子/男子)
- 100mハードル(女子)
- 110mハードル(男子)
- 400mハードル(女子/男子)
- 3000m障害(女子/男子)
- 4x100mリレー(女子/男子)
- 4x400mリレー(女子/男子/混合)
- 走高跳(女子/男子)
- 棒高跳(女子/男子)
- 走幅跳(女子/男子)
- 三段跳(女子/男子)
- 砲丸投(女子/男子)
- 円盤投(女子/男子)
- ハンマー投(女子/男子)
- やり投(女子/男子)
- 七種競技(女子
- 十種競技(男子)
- 20km競歩(女子/男子)
- 42.195km競歩団体(混合)
- マラソン(女子/男子):パリオリンピック最後の週末(8月10日、11日)に行われる
パリ2024に向けて注目したい陸上選手は?
2022年12月5日、ワールドアスレティックス・アワードにおいて、シドニー・マクラフリン(アメリカ合衆国)とアルマンド・デュプランティス(スウェーデン)が、女子および男子の年間最優秀選手賞に選出された。
400mハードルのマクラフリンは、2022年7月に米オレゴンで行われた世界陸上で自身が持つ世界記録を更新。2021年の東京2020オリンピックに続き、同大会で表彰台の頂点に立った。
「モンド」の名で知られる棒高跳のデュプランティスは、2022年の世界陸上で6m21の世界新記録を樹立し、ベオグラードで達成した室内世界記録(6m20)に加えて、文字通り、そして比喩的な意味でもこの種目のレベルを上げ続けている。
一方、**ユリマール・ロハス**は三段跳を支配し続けるアスリートのひとりだ。ベネズエラ出身の彼女はオリンピック王者であり、これまでに世界選手権を3度制している。そして現在、世界記録(15m74)を保持している。彼女はパリ2024でも優勝候補のひとりとなるだろう。
マラソンでは、ケニアのエリウド・キプチョゲが東京2020オリンピックで連覇を達成し、2022年のベルリンマラソンでは2時間1分9秒というタイムで自身の持っていた世界記録を更新した。
スプリント種目は常にオリンピックのハイライトであり、女子100mと200mではジャマイカのエレイン・トンプソン・ヘラ、シェリー・アン・フレーザー・プライス、シェリカ・ジャクソンの3人が圧倒的な強さを見せている。男子短距離では、アメリカ合衆国のフレッド・カーリー、ノア・ライルズ、**エリヨン・ナイトン**から目が離せない。現在18歳のナイトンは、ウサイン・ボルトが彼の年齢だったときの記録よりも速い記録をマークしている。
パリオリンピックの開催国であるフランスのファンは、同国出身の選手たちの力強いパフォーマンスに期待していることだろう。中でも十種競技のケビン・メイヤーは、リオ2016、東京2020の銀メダルに続き、2022年の世界選手権で自身2つ目の金メダルを獲得。彼は、パリ2024で地元の観衆の前で表彰台の頂点に立つことを目標に掲げていることだろう。
その他にも、女子砲丸投げのゴン・リージャオ(中華人民共和国)、男子1500mのヤコブ・インゲブリクトセン(ノルウェー)、男子走高跳のムタズ・エサ・バルシム(カタール)、女子800mのアシング・ムー(アメリカ合衆国)、男子砲丸投のライアン・クラウザー(アメリカ合衆国)、男子400mハードルのアリソン・ドス・サントス(ブラジル)など、オリンピックまでの期間、そしてパリ2024での活躍が注目される。
日本勢は、東京2020オリンピックの20km競歩で銅メダルを獲得し、2022年の世界選手権で同種目2連覇を達成した山西利和、2022年の世界選手権のやり投で日本女子初の銅メダルを獲得した北口榛花、東京2020の1500mで日本選手として史上初めて決勝進出を果たした田中希実といった選手たちから目が離せない。
陸上競技、パリ2024までの流れ
- 2022年11月1日:マラソンの予選・ランキング対象期間開始
- 2022年12月:世界陸連がすべての種目の参加標準記録を確定する。同基準はすべての国内オリンピック委員会および国内競技委員会に配布される
- 2022年12月31日:10000m、混成競技、競歩、リレーの予選・ランキング対象期間開始
- 2023年7月1日:すべての個人種目(10000m、マラソン、混成競技、競歩を除く)の予選・ランキング対象期間開始
- 2024年1月30日:マラソンの予選・ランキング対象期間終了(出場枠の80%)
- 2024年4月23日:参加標準記録突破競技者がいない国内オリンピック委員会による参加標準記録未達成競技者のエントリー申請期限
- 2024年4月30日:マラソンの予選・ランキング対象期間終了(出場枠の残り20%)
- 2024年5月1日:世界陸連は以下を実施(マラソンが対象)
- 承認された参加基準記録未達成競技者のリストの確定
- 参加基準記録によって参加資格を与えられた競技者リストの確定
- 世界陸連の世界ランキングと参加資格を取得した競技者の公表
- 2024年5月3日:マラソン出場枠辞退の締切日
- 2024年5月4日~6日:世界陸連がマラソンの未使用出場枠を再配分する
- 2024年5月8日:世界陸連は最終エントリーの資格を持つすべての選手の最終リストを掲載した「Road to Paris for Marathon」の最終版を公開する
- 2024年4月/5月(日付未定):世界リレー
- 2024年4月/5月(日付未定):世界競歩チーム選手権
- 2024年5月31日:参加標準記録突破競技者がいない国内オリンピック委員会による参加標準記録未達成競技者のエントリー申請期限(100m、800m)
- 2024年6月30日:すべての種目の予選・ランキング対象期間終了(マラソンを除く)
- 2024年7月2日:世界陸連は以下を実施
- 承認された参加基準記録未達成競技者のリストの確定
- 参加基準記録によって参加資格を与えられた競技者リストの確定
- 世界陸連の世界ランキングと参加資格を取得した競技者の公表
- 参加資格を与えられたリレーチームのリストの確定
- 2024年7月4日:すべての種目(マラソンを除く)の出場枠辞退の締切日
- 2024年7月5日~6日:世界陸連はすべての種目(マラソンを除く)の未使用出場枠を再配分する
- 2024年7月7日:世界陸連は最終エントリーの資格を持つすべての選手およびリレーチームの最終リストを掲載したすべての種目(マラソンを除く)の「Road to Paris」の最終版を公開する
- 2024年7月8日:パリ2024競技エントリー締切
- 2024年7月26日~8月11日:パリ2024オリンピック競技大会
パリ2024への道、記事一覧
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