【パリ2024への道】バドミントン、出場資格取得プロセスを解説

執筆者 Guillaume Depasse, Chiaki Nishimura|公開日:2022年9月
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Japan Yamaguchi Akane
写真: 2021 Getty Images

パリ2024のバドミントンでは、5種目で合計15個のメダルが争われる。日本開催となった東京2020で大きな期待を背負って戦いに挑んだ日本勢だったが、混合ダブルスの銅メダル1つという結果で大会を終えた。パリ2024でリベンジを果たせるか。出場権のかかる戦いからすべては始まる。

すでにオリンピック競技として定着しているバドミントンは、ミュンヘン1972ソウル1988で公開競技として実施された後、バルセロナ1992でオリンピックデビューを飾った。

それ以来、もっとも成功している国内オリンピック委員会は、メダル47個(金メダル20個を含む)を獲得している中華人民共和国。これにインドネシアが続く。

ヨーロッパの強豪国はデンマークだが、他国も力をつけてきており、フランスの首都パリでは驚きの展開が待っているかもしれない。

ここでは、出場権獲得までの道のりを紹介する。

パリ2024:バドミントンの参加選手数は?

パリ2024オリンピックのバドミントンでは、女子86人、男子86人の計172人が大会に出場する。これは東京2020と同数だ。

男女それぞれ83枠が予選大会を通じて割り当てられ、そのほか、開催国枠1つ、ユニバーサリティ枠2つが確保されている。

出場枠は選手名で割り当てられるが、各国が得られる出場枠には上限があり、男女それぞれ最大8枠となる。種目別の上限は、男女シングルスでは、「パリ・ランキングリスト」の1位から16位までに2選手以上がランクインする国内オリンピック委員会は最大2枠(2選手)、それ以外は最大1枠となる。男子・女子・混合ダブルスでは、1位から8位までに2組以上入っている国内オリンピック委員会が最大2組(4選手)、それ以外は最大1組となる。

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パリ2024:バドミントンの出場枠を得るには?

2024年4月30日時点の「パリ・ランキングリスト」をもとに、男女シングルス、男子・女子・混合ダブルスの出場枠が割り当てられる。

リストは、2023年5月1日から2024年4月28日における以下の大会の成績をもとに作成される。

  • トマス杯・ユーバー杯
  • スディルマン杯
  • 世界選手権
  • グレード2:BWFツアー(レベル1~6)
  • グレード3:BWF大陸別ツアー (インターナショナルチャレンジ、インターナショナルシリーズ、フューチャーシリーズ)
  • 大陸別選手権(個人戦、団体戦)
  • 大陸別複合競技大会 - パンアメリカン競技大会、ヨーロッパ競技大会、アフリカ競技大会(予選期間中に公認された場合)
  • 世界バドミントン連盟(BWF)が公認し、BWFの承認のもとに世界ランキングの一部として事前に組み込まれたその他の国際競技大会

シングルスの出場権獲得方法

パリ・ランキングリストを通じて、合計70枠(男女それぞれ35枠)が割り当てられる。

これらの出場枠には、大陸代表の出場枠も含まれる。各シングルス種目において、5つのBWF大陸連盟から少なくとも2選手ずつの大陸代表枠が設けられている。ただし、2024年4月30日付のパリ・ランキングリストで250位より上位(1~250位)にランクインしていることが条件となる。

ダブルスの出場権獲得方法

2024年4月30日付のパリ・ランキングリストを通じて、男子16組、女子16組、混合16組の計48組が割り当てられる。各ダブルス種目には、BWFの5大陸連盟から、大陸代表枠として少なくとも1組のペアが含まれることになる。

パリ2024:バドミントンの競技フォーマットと日程は?

バドミントン競技の日程は7月27日〜8月5日で、パリ北部に位置するポルト・ド・ラ・シャペル・アリーナで実施される。

シングルス、ダブルスともに、グループステージと決勝トーナメントの2つのフェーズで行われる。シングルスはラウンド16、ダブルスは準々決勝から決勝トーナメントがスタートする。

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パリ2024に向けて注目したいバドミントンの選手は?

男子シングルスでは、デンマークのビクトル・アクセルセンが圧倒的な強さを見せている。東京2020で金メダルを獲得した後、2022年には2度目の世界王者の称号も手に入れた。チームメイトのアンデルス・アントンセンも優勝候補の一角だ。日本の桃田賢斗は、第1シードとして出場した東京2020で決勝トーナメントに届かず、パリでは雪辱を果たすことだろう。

女子シングルスでは、リオ2016の金メダリスト、カロリナ・マリンが2つ目のオリンピック金メダル獲得に挑む。スペイン出身のマリンは、2022年に自身6度目となるヨーロッパ優勝を果たしたが、同年の世界選手権では準々決勝止まりだった。東京で行われた世界選手権で2連覇を飾ったのは、決勝でオリンピック金メダリストのチェン・ユーフェイ(陳雨菲/中華人民共和国)を破った日本の山口茜だ。

女子ダブルスでは、東京2020で銀メダルのチェン・チンチェン(陳清晨)&ジャ・イーファン(賈一凡/中華人民共和国)が2022年の世界選手権で金メダルを獲得。世界選手権で2位になった韓国のキム・ソヨン&コン・ヒヨンとともに、パリ2024で優勝候補の一角を占めることは間違いない。

日本の女子ダブルスは、福島由紀&廣田彩花永原和可那&松本麻佑、志田千陽&松山奈未がランキング上位でしのぎを削る。

男子では、東京2020の銅メダリストであるマレーシアのアーロン・チア&ウーイック・ソー組が世界選手権で金メダルを獲得。次のオリンピックでも同じシナリオの実現を狙っていることだろう。また、オリンピック王者のリー・ヤン(李洋)&ワン・チーリン(王斉麟/Chinese Taipei)もフランスで表彰台の頂点を目指す。

混合ダブルスは、中華人民共和国のペアが優勢だ。オリンピック銀メダリストのツェン・シーウェイ(鄭思維)&ファン・ヤチョン(黄雅瓊)ペアは、前回のオリンピック後まもなくコンビを解消したが、世界選手権では金メダルを獲得している。彼らはフランスの地で、自分たちの経歴で唯一欠けているオリンピック王者の称号を狙うはずだ。オリンピック王者のワン・イルユ(王懿律)&ファン・ドンピン(黄東萍)ペアは、1年後の世界選手権では銅メダルを獲得。東京2020で銅メダル、2022年の世界選手権では銀メダルに輝いた日本の渡辺勇大&東野有紗ペアも、パリでは金メダル候補となるだろう。

バドミントン パリ2024までの流れ

  • 2023年5月1日〜2024年4月28日:パリ・ランキングリストのランキング期間
  • 2024年1月15日:国内オリンピック委員会によるユニバーサリティ枠申請締切日
  • 2024年4月28日:予選期間終了
  • 2024年4月30日:パリ・ランキングリスト発表
  • 2024年5月8日:開催国は世界バドミントン連盟(BWF)に対し、開催国枠の使用意思を書面で表明する
  • 日時未定:三者委員会は国内オリンピック委員会(該当する場合)に対し、ユニバーサリティ枠の割り当てを文書で通知する
  • 2024年5月10日:BWFは国内オリンピック委員会/国内競技連盟に対し、割り当てられた出場枠を通知する
  • 2024年5月24日:国内オリンピック委員会はBWFに対し、割り当てられた出場枠の使用意思を文書で表明する
  • 2024年7月5日まで:BWFは未使用の出場枠をすべて再配分する
  • 2024年7月8日:パリ2024競技エントリー締切
  • 2024年7月26日~8月11日:パリ2024オリンピック競技大会

パリ2024への道、記事一覧

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