【パリ2024への道】スポーツクライミング(ボルダー&リード)、出場資格取得プロセスを解説

執筆者 Marta Martín|作成日;2022年8月
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東京オリンピック銀メダリスト野中生萌
写真: GETTY IMAGES

パリ2024では、スポーツクライミングの競技形式が一新され、東京2020でオリンピックデビューを果たしたこの競技への期待はさらに高まっている。選手らはどんな道のりを経てパリオリンピックの切符をつかむのだろうか。出場権獲得のプロセスをたどってみよう。

スペインのアルベルト・ヒネスとスロベニアのヤーニャ・ガーンブレットは、東京2020オリンピックで初めて実施されたスポーツクライミングで、オリンピック初のチャンピオンに輝いた。

しかし、パリ2024では競技形式が見直されたため、彼らは必ずしも優勝候補とは言えない。

東京2020では、ボルダー、リード、スピードを組み合わせた複合1種目の男女それぞれでメダルが授与されたが、パリ大会ではスピードが複合から抜け、スピード単独、そしてボルダーとリードの複合の合計2種目で選手らが競い合う。

しかし、オリンピックの舞台に立つ前に、アスリートは予選大会で好成績を残してパリ出場権を獲得しなければならない。

ここでは、パリ2024でのボルダーとリードの予選大会に関する情報を紹介したい。

パリ2024でのボルダー&リードに出場する選手数は?

パリ2024では、男女それぞれ20選手がボルダー&リードの種目に出場する。出場枠は、他の競技のように国内オリンピック委員会ではなく、出場資格を持つ各選手に割り当てられる。各地の国内オリンピック委員会が派遣する選手の上限は、最大4人(男子2人、女子2人)となる。

開催国のフランスには男女各1枠が与えられているほか、ユニバーサリティー枠として男女各1枠も用意されている。パリ2024までの間に実施される各種大会を通じ、ボルダー&リードの男女それぞれ18選手に出場枠が与えられる。

出場資格を得るためには、2008年1月1日以前に生まれたクライマーであることが条件となる。

パリ2024:スポーツクライミングの出場枠を得るには?

開催国枠(男女各1名)とユニバーサリティ出場枠(男女各1名)を除き、ボルダーとリードの複合種目では、2023年の世界選手権、2023年の大陸予選、2024年のオリンピック予選シリーズ(※)の3つの方法で出場資格を得ることができる。

IFSCクライミング世界選手権(ボルダー&リード)、スイス・ベルン 2023年8月/6枠

2023年の世界選手権の男女それぞれトップ3選手が、国内オリンピック委員会ごとの男女別出場枠の上限を尊重し、それぞれ1枠を獲得する。

IFSC大陸予選(ボルダー&リード)、2023年9月~12月/10枠

各大陸予選の男女それぞれトップ選手は、国内オリンピック委員会ごとの男女別出場枠の上限を尊重し、それぞれ1枠を獲得する。大陸別予選の優勝者が2023年の世界選手権ですでに出場枠を獲得していた場合、その出場枠は、大陸別予選でまだ出場権を獲得していない次点の有資格クライマーに割り振られる。

  • パンアメリカン予選:パンアメリカン競技大会、チリ・サンティアゴ 2023年10月21日〜24日
  • ヨーロッパ予選:フランス・ラバル2023年10月27日〜29日
  • アジア予選:インドネシア・ジャカルタ 2023年11月9日〜12日 
  • オセアニア予選:会場未定、2023年11月23日〜26日
  • アフリカ予選:会場未定、2023年12月14日〜17日

オリンピック予選シリーズ、2024年3月~6月/20枠

オリンピック予選シリーズ(OQS)は、新たなマルチスポーツの大会として3大会が予定され、パリ2024の出場権を獲得する最後のチャンスとなる。

スポーツクライミングにおけるこの予選シリーズは、招待制で実施される予定で、2023年の国際大会の結果や順位に応じて招待選手が決まる(各国内オリンピック委員会から男女それぞれ最大1選手)。

パリ2024:スポーツクライミングの競技フォーマットと日程は?

パリ2024のスポーツクライミングは、2024年8月5日〜10日の日程でル・ブルジェで開催される予定だ。

ボルダー&リードでは、ボルダー、リードのそれぞれの競技を終えて総合ランキングのトップに立った選手が優勝し、金メダルを獲得する。

8月5日にボルダー男子の準決勝、6日にボルダー女子の準決勝、7日にリード男子の準決勝、8日リード女子の準決勝が行われる。そして、8月9日にボルダー&リードの男子決勝、8月10日にボルダー&リードの女子決勝が行われる。

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パリ2024に向けて注目したいボルダー、リードの選手は?

スペインのアルベルト・ヒネスは、東京2020ではスピード種目のパフォーマンスが有利に働いて金メダルを獲得したが、ボルダーのスペシャリストである。一方の、ヤーニャ・ガーンブレットはリードのスペシャリスト。つまり、連覇を狙うふたりが要注目選手であることに変わりはない。

このほか、男子ボルダーでは日本のクライマーが存在感を高めている。16歳の安楽宙斗、楢崎智亜(東京2020で4位)、緒方良行が3人が世界ランキング上位に名を連ねている。また、2023年のワールドカップで好成績をおさめている大韓民国の20歳イ・ドヒュンや、フランスのメジディ・シャールックも有力選手に挙げられる。

女子ボルダーでは、アメリカ合衆国のナタリア・グロスマンブルック・ラバトゥ(東京2020で5位)が2022年・2023年のボルダリングの主役として活躍。また、日本の野中生萌(東京2020で銀メダル)、フランスの18歳、オリアン・ベルトーネからも目が離せない。

男子リードでは、コリン・ダフィー、ジェシー・グルーパー(アメリカ合衆国)、ヤニック・フロへ(ドイツ)、ルカ・ポトカ(スロベニア)、アレクサンダー・メゴス(ドイツ)などがトップレベルでしのぎを削る。

女子リードでは、スーパースターのガーンブレットがソ・チェヒョン(大韓民国)、ラウラ・ロゴラ(イタリア)のほか、グロスマン、ラバトゥといった強豪らと競い合う。

ボルダー&リード、パリ2024までの流れ

  • 2023年8月:IFSC世界選手権、スイス・ベルン
  • 大会終了後5日以内:IFSC(国際スポーツクライミング連盟)は国内オリンピック委員会に対し、獲得した出場枠を書面で通知する
  • 前段階から2週間以内:国内オリンピック委員会はIFSCに対し、割り当てられた出場枠の使用意思を表明する
  • 2023年9月~12月:IFSC大陸予選
  • 開催後5日以内:IFSCは国内オリンピック委員会に対し、割り当てられた出場枠を書面で通知する
  • 前段階から2週間以内:国内オリンピック委員会はIFSCに対し、割り当てられた出場枠の使用意思を表明する
  • 2024年3月~6月:オリンピック予選シリーズ
  • イベント/シリーズから5日以内:IFSCが国内オリンピック委員会に対し、獲得した出場枠を書面で通知する
  • 競技会終了後2週間以内:国内オリンピック委員会はIFSCに対し、割り当てられた出場枠の使用意思を表明する
  • 前段階の後:未使用の開催国枠の再配分する(必要な場合)。IFSCが国内オリンピック委員会に割り当てられた出場枠を書面で通知する
  • 前段階から2週間以内:国内オリンピック委員会はIFSCに対し、割り当てられた出場枠の使用意思を表明する
  • 最後の大会/シリーズが終了し、国内オリンピック委員会の出場枠が確認された後:開催国枠の再割当(必要な場合)。IFSCは国内オリンピック委員会に対し、獲得した出場枠を書面で通知する
  • 前段階から2週間以内:国内オリンピック委員会は割り当てられた出場枠の使用意思をIFSCに表明する
  • 予選期間終了時:三者委員会は、国内オリンピック委員会へのユニバーサリティ枠の割り当てを書面で通知する(該当する場合)
  • 予選期間終了時:ユニバーサリティ枠の再割当(必要な場合)。IFSCは国内オリンピック委員会に対し、獲得した出場枠を書面で通知する
  • 前段階から2週間以内:国内オリンピック委員会はIFSCに対し、割り当てられた出場枠の使用意思を表明する
  • 前段階に続く:IFSCは未使用の出場枠をすべて再配分する
  • 2024年7月8日:パリ2024競技エントリー締切日
  • 技術ミーティング:競技エントリー締切後、IFSCは未使用の出場枠を再配分する
  • 2024年7月26日~8月11日:パリ2024オリンピック競技大会

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