【パリ2024への道】スポーツクライミング(スピード)、出場資格取得プロセスを解説

執筆者 Marta Martín
1 |
Kiromal Katibin
写真: 2021 Getty Images

パリ2024ではスポーツクライミングの競技形式が一新し、スピード種目ではオリンピック初代王者が誕生する。そのパリオリンピックに向けて、選手らはどんな道のりをたどるのだろうか。出場権獲得のプロセスをたどってみよう。

東京2020の**スポーツクライミング**では、ボルダー、リード、スピードを組み合わせた複合1種目の男女それぞれでメダルが授与されたが、パリ大会ではスピードが複合から抜け、スピード単独、そしてボルダーとリードの複合の合計2種目で選手らが競い合う。

東京オリンピックを制したスペインの**アルベルト・ヒネスとスロベニアのヤーニャ・ガーンブレット**は、それぞれボルダー、リードに強い選手であることから、パリ2024のスピードでは新たなスターが誕生することが予想される。

しかし、オリンピックの舞台で自らの力を発揮する前に、アスリートたちは予選大会を通過してパリ出場権を獲得しなければならない。

ここでは、パリ2024でのスピード種目の予選大会に関する情報を紹介したい。

パリ2024でのスピードに出場する選手数は?

パリ2024では、男女それぞれ14選手がスピードの種目に出場する。出場枠は、他の競技のように国内オリンピック委員会ではなく、出場資格を持つ各選手に割り当てられる。各地の国内オリンピック委員会が派遣する選手の上限として、最大4人(男子2人、女子2人)と定められている。

開催国のフランスには男女各1枠が与えられているほか、ユニバーサリティ枠として男女各1枠も用意されている。今後2年間のプロセスの中で、スピードのスペシャリストの男女それぞれ12人に出場枠が与えられる。

出場資格を得るためには、2008年1月1日以前に生まれたクライマーであることが条件となる。

関連記事パリ2024:オリンピック出場権獲得への挑戦が始まる

パリ2024:スポーツクライミングの出場枠を得るには?

開催国枠(男女各1名)とユニバーサリティ出場枠(男女各1名)を除き、スピード種目では、2023年の世界選手権、2023年の大陸予選、2024年のオリンピック予選シリーズ(※)の3つの方法で出場資格を得られる。

IFSCクライミング世界選手権(スピード)、スイス・ベルン 2023年8月 - 4枠

2023年の世界選手権の男女それぞれトップ3選手は、国内オリンピック委員会ごとの男女別出場枠の上限を尊重し、それぞれ1枠を獲得する。

IFSC大陸予選(スピード)、2023年9月~12月 - 10枠

各大陸予選の男女それぞれのトップ選手は、国内オリンピック委員会ごとの男女別出場枠の上限を尊重し、それぞれ1枠を獲得する。大陸別予選の優勝者が2023年の世界選手権ですでに出場枠を獲得していた場合、その出場枠は、大陸別予選でまだ出場権を獲得していない次点の有資格クライマーに割り振られる。

大陸別予選は以下の通り。

  • ヨーロッパ予選:イタリア 2023年9月15日〜16日
  • パンアメリカン予選:パンアメリカン競技大会、チリ・サンティアゴ 2023年10月21日〜24日
  • アジア予選:インドネシア・ジャカルタ 2023年11月9日〜12日
  • オセアニア予選:オーストラリア・メルボルン、2023年11月24日〜26日
  • アフリカ予選:会場未定、2023年12月14日〜17日

オリンピック予選大会シリーズ、2024年3月~6月 - 10枠

オリンピック予選大会シリーズ(OQS)は、新たなマルチスポーツの大会として3大会が予定され、パリ2024の出場権を獲得する最後のチャンスとなる。

スポーツクライミングにおけるこの予選シリーズは、招待制で実施される予定で、2023年の国際大会の結果や順位に応じて招待選手が決まる(各国内オリンピック委員会から男女それぞれ最大1選手)。

この割り当てに関する手順は定まっておらず、出場枠は国内オリンピック委員会における性別ごとの最大出場枠を尊重して割り当てられる。

パリ2024:スポーツクライミングの競技フォーマットと日程は?

パリ2024のスポーツクライミングは、2024年8月5日〜10日の日程でル・ブルジェで開催される予定だ。

スピード種目は8月5日、6日に予選が行われ、上位入賞者が決勝に進出する。8月7日の女子決勝でスピード種目でオリンピック初のスピード金メダリストが確定し、翌日に男子決勝が実施される。

関連記事

パリ2024に向けて注目したいスピードの選手は?

東京2020では、スピード種目での卓越したパフォーマンスにより複合金メダルを獲得したスペインのアルベルト・ヒネスは、ボルダリングのスペシャリストである。しかし、もうひとり、スピード種目で好調を維持している選手といえば、エリック・ノヤ(スペイン)がいる。

また、過去数年、最も存在感を発揮しているのは、インドネシアのレオナルド・べドリックキロマル・カティビンである。カティビンは現在の世界記録保持者で、今シーズンのワールドカップのシャモニー大会で5秒00を記録し、自身5度目となる自己ベスト更新を果たした。

また、男子ではイタリアのルドビコ・フォッサリが2019年の世界選手権スピードを制しており、注目すべきクライマーである。

女子では、ポーランド勢が強さを見せつけており、2021年スピード世界選手で優勝したナタリア・カルッカ、世界選手権で2度の優勝歴を誇り、世界記録保持者(6秒53)でもあるアレクサンドラ・ミロスワフ、現在ワールドカップで首位を走るアレクサンドラ・カルッカパトリシア・フージャックなどがクライミングのスピード種目を牽引する。

彼女たちを脅かす最大のクライマーは、アメリカ合衆国出身の19歳エマ・ハントで、彼女もまた金メダルを狙う存在だ。

スピード、パリ2024までの流れ

  • 2023年8月:IFSC世界選手権、スイス・ベルン
  • 大会終了後5日以内:IFSC(国際スポーツクライミング連盟)は国内オリンピック委員会に対し、獲得した出場枠を書面で通知する
  • 前段階から2週間以内:国内オリンピック委員会はIFSCに対し、割り当てられた出場枠の使用意思を表明する
  • 2023年9月~12月:IFSC大陸予選
  • 開催後5日以内:IFSCは国内オリンピック委員会に対し、割り当てられた出場枠を書面で通知する
  • 前段階から2週間以内:国内オリンピック委員会はIFSCに対し、割り当てられた出場枠の使用意思を表明する
  • 2024年3月~6月:オリンピック予選シリーズ
  • イベント/シリーズから5日以内:IFSCが国内オリンピック委員会に対し、獲得した出場枠を書面で通知する
  • 競技会終了後2週間以内:国内オリンピック委員会はIFSCに対し、割り当てられた出場枠の使用意思を表明する
  • 前段階の後:未使用の開催国枠の再配分する(必要な場合)。IFSCが国内オリンピック委員会に割り当てられた出場枠を書面で通知する
  • 前段階から2週間以内:国内オリンピック委員会はIFSCに対し、割り当てられた出場枠の使用意思を表明する
  • 最後の大会/シリーズが終了し、国内オリンピック委員会の出場枠が確認された後:開催国枠の再割当(必要な場合)。IFSCは国内オリンピック委員会に対し、獲得した出場枠を書面で通知する
  • 前段階から2週間以内:国内オリンピック委員会は割り当てられた出場枠の使用意思をIFSCに表明する
  • 予選期間終了時:三者委員会は、国内オリンピック委員会へのユニバーサリティ枠の割り当てを書面で通知する(該当する場合)
  • 予選期間終了時:ユニバーサリティ枠の再割当(必要な場合)。IFSCは国内オリンピック委員会に対し、獲得した出場枠を書面で通知する
  • 前段階から2週間以内:国内オリンピック委員会はIFSCに対し、割り当てられた出場枠の使用意思を表明する
  • 前段階に続く:IFSCは未使用の出場枠をすべて再配分する
  • 2024年7月8日:パリ2024競技エントリー締切日
  • 技術ミーティング:競技エントリー締切後、IFSCは未使用の出場枠を再配分する
  • 2024年7月26日~8月11日:パリ2024オリンピック競技大会

パリ2024への道、記事一覧

3x3バスケットボール7人制ラクビーアーチェリーウエイトリフティング|カヌー(スプリントスラローム)|近代五種ゴルフサーフィン射撃柔道|水泳競技(アーティスティックスイミング水球競泳飛込マラソンスイミング)|自転車(BMXフリースタイルBMXレーシングトラックレースマウンテンバイクロードレース)|スポーツクライミング(スピードボルダー&リード)|スケートボードセーリング|体操(新体操体操競技トランポリン)|卓球テコンドーテニストライアスロン|馬術(総合馬術障害馬術馬場馬術)|バスケットボールバドミントンバレーボールハンドボールビーチバレーボールフェンシングブレイキンボクシングボートホッケー陸上競技レスリング

パリ2024各競技の出場資格取得プロセスについて、より詳しい内容はこちらから。