パリ2024金メダル20の瞬間、20の笑顔
スポーツ界では数えきれないほど多くの感動に包まれた2024年。その中心となったパリ2024の日本勢の金メダル20の瞬間を改めて動画ハイライトとともに振り返る。
2024年夏に16日間にわたって熱戦が繰り広げられたパリオリンピック。日本勢にとって海外で行われた大会としては過去最多となるメダル総数45を数え、金メダルも最多の20個となった。
金メダル獲得の瞬間は、選手たちやコーチそしてサポートにあたる周囲の人々、そして遠くから応援するファンの人たちにとっても最高の瞬間として感動をもたらした。
改めて20の金メダルの瞬間を大会初日から順に動画、そして最高と笑顔と共に振り返ってみよう。
角田夏実 柔道⼥⼦48kg級
7月27日の大会1日目に、日本勢の金メダル第1号のなったのが柔道⼥⼦48kg級の角田夏実。2019年にオリンピックのために階級を52kg級から48kg級に変更してようやく掴んだオリンピックの舞台。角田はこの階級で日本に20年ぶりとなる金メダル(アテネ2004の谷亮子さん以来)をもたらしただけでなく、このメダルは、日本の夏季オリンピック通算500個目(金170、銀150、銅180)の記念すべきメダルとなった。
阿部一二三 柔道男⼦66kg級
7月28日の大会2日目には2つの金メダリストが誕生した。そのひとりが柔道男⼦66kg級で2連覇を達成した阿部一二三だ。
妹の詩と、東京2020から続く「きょうだい同日金メダル」を目指したが、詩が2回戦敗退。一二三は「妹の分も兄がやるしかないという気持ち」で戦いに臨み、勝ち取った金メダルだった。
吉沢恋 スケートボード⼥⼦ストリート
7月28日に金メダルを獲得した日本代表のもう1人のアスリートがスケートボード⼥⼦ストリートの吉沢恋(ここ)。当時14歳だった吉沢は、決勝4本目で「ビックスピンフリップ・フロントサイドボードスライド」を決めて同日最高となる96.49点をたたき出し、首位に浮上して金メダルを獲得。最初の国際大会に出場した2年前の自分に「今戦っている舞台で勝ち上がってオリンピックで1位取れたよって言ってあげたいです」と語った。
加納虹輝 フェンシグ男⼦エペ個⼈
大会2日目の7月28日。今大会で日本フェンシング・チームを勢いづけたのが、男⼦エペ個⼈の加納虹輝の金メダル。東京2020のエペ団体で日本勢初の金メダルを手にしていた加納が、今度はエペ個人で日本勢初の金メダルをもたらした。
体操男子団体
大会3日目の7月29日に行われた体操男子団体決勝。2大会連続出場の橋本大輝、萱和磨、谷川航と男子代表メンバー最年少20歳の岡慎之助、団体戦での貢献度を見込まれ代表入りした杉野正尭の5人で挑んだ日本代表は、最終種目鉄棒の開始時点で強豪・中華人民共和国チームに3.267点差をつけられ金メダルは絶望的かと思われたが、中国チームのメンバーが鉄棒でまさかの落下。最後はエース橋本大輝がミスなく着地までぴたりと決め、暫定首位に。中国が日本の得点を上回ることができず、日本代表の優勝。2大会ぶりに金メダルを奪還した。
堀米雄斗 スケートボード男子ストリート
悪天候の影響により、7月27日に予定されていたスケートボード男子ストリートは大会3日目の29日に実施され、堀米雄斗が2連覇を達成した。
東京2020からの3年間のパリ代表争いで、一時はパリ出場圏外にいた堀米だったが、「1%でも可能性があるなら」と信じて出場枠を掴み取った堀米。決勝では最終トリック時点で7位に沈んでいたが、最後に同日最高得点を叩き出し、勝利を手繰り寄せた。
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永瀬貴規 柔道男子81kg級
大会4日目の7月30日、柔道男子81kg級の永瀬貴規が東京20202に続く連覇を達成した。永瀬は決勝で世界選手権3連覇中のタト・グリガラシビリ(ジョージア)と対戦。開始2分40秒すぎに谷落で1本勝ちをおさめた。同階級での日本勢初の連覇となった。
岡慎之助 体操男子個人総合
大会5日目の7月31日、体操男子個人総合で岡慎之助が自身2つ目の金メダルを獲得した。
2連覇のかかる橋本大輝が今大会で本領を発揮できない中、20歳で初出場の岡慎之助が大きなミスなく6種目すべてをまとめ、中華人民共和国の2021年世界王者、チャン・ボヘン(張博恒)の追い上げを0.233点差で逃げ切り、86.832点で金メダルを獲得。体操界の新スターが誕生した。
フェンシング男子フルーレ団体
パリ大会で連日メダルラッシュが続いていたフェンシング日本代表チーム。第9日の8月4日に最終日を迎え、敷根崇裕、松山恭助、飯村一輝、リザーブ永野雄大で挑んだフェンシング男子フルーレ団体が頂点に上り詰めた。フルーレは、太田雄貴による北京2008フルーレ個人種目の銀メダル獲得によって、一気に日本にフェンシング競技が普及したきっかけとなった種目。だがロンドン2012以来、表彰台から遠ざかっており、3大会ぶり、しかもロンドン大会を上回る悲願の金メダルを首にかけた。
日本フェンシング代表は、パリ大会で過去最高となる合計5つのメダルを獲得(金2:男子エペ個人、男子フルーレ団体、銀1:男子エペ団体、銅2:女子フルーレ団体、女子サーブル団体)の快挙を成し遂げた。
岡慎之助 体操男子種目別鉄棒
体操男子の最終種目となった種目別・鉄棒決勝が、大会10日目の8月5日に行われ、個人総合、団体総合で2冠を達成していた岡慎之助が鉄棒で金メダルを獲得。種目別の平行棒で銅メダルを獲得していた岡にとって4つめのメダル(3つ目の金メダル)となった。
日本男子の3冠達成は、ミュンヘン1972オリンピックの加藤沢男以来、52年ぶりの偉業で、体操競技でオリンピック1大会4個のメダル獲得は、ロサンゼルス1984の具志堅幸司以来、40年ぶりの快挙となった。
文田健一郎 レスリング男子グレコローマンスタイル60kg級
大会11日目の8月6日、レスリング男子グレコローマンスタイル60kg級で文田健一郎が、3年前の東京2020で決勝で敗れた悔しさを晴らし悲願の金メダルを獲得した。日本勢にとって、ロサンゼルス1984の宮原厚次(52kg級)以来となる男子グレコローマンでの金メダルとなった。
日下尚 レスリング男子グレコローマンスタイル77kg級
大会12日目の8月7日、初出場の日下尚が男子グレコローマンスタイル77kg級で金メダルを獲得した。前日の文田に続く日本勢2つ目のグレコローマン金メダルとなり、1964年の東京大会以来60年ぶりに日本選手がグレコローマンで1大会で2つの金メダルを獲得した。
藤波朱理 レスリング女子フリースタイル53kg級
大会13日目の8月8日、初出場の藤波朱理がレスリング女子フリースタイル53kg級で金メダルを獲得した。藤波は圧倒的強さで決勝まで勝ち上がり、決勝ではテクニカルスペリオリティーの10-0でルシアヤミレト・ジェペスグスマン(エクアドル)を下して優勝した。藤波は中学2年から続く公式戦連勝記録を「137」に更新した。
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樋口黎 レスリング男子フリースタイル57kg級
大会14日目の8月9日には、日本人レスラーが2つの金メダルを追加した。そのひとりがレスリング男子フリースタイル57kg級の樋口黎(れい)。8年前のリオオリンピックで銀メダルを獲得していた樋口は、次の東京大会では予選大会で減量に失敗するなど代表の座を逃していた樋口。減量の苦しみを乗り越えて悲願の金メダルを首にかけた。
櫻井つぐみ レスリング女子フリースタイル57kg級
樋口と同じ8月9日にレスリング女子フリースタイル57kg級の櫻井つぐみが金メダルに輝いた。同階級での日本勢の金メダルは、2016年のリオ大会(58kg級)の伊調馨、2021年の東京大会(57kg級)の金城梨紗子(旧姓・川井)に続いて3大会連続となった。
湯浅亜実 ブレイキンBガール
パリ2024でオリンピックデビューとなったブレイキンの女子種目Bガールが実施された大会14日目の8月9日、Amiこと湯浅亜実が2023年世界王者の17歳リトアニア代表Nickaを破って初代オリンピック金メダリストに輝いた。
元木咲良 レスリング女子フリースタイル62kg級
大会も残り2日となった8月10日には2人の日本人金メダリストが誕生した。そのひとりがレスリング女子フリースタイル62kg級の元木咲良。2000年のシドニー大会に出場した元レスラーの元木康年さんを父に持つ元木咲良は、父親の思いを継いで金メダルに輝いた。
北口榛花 陸上競技女子やり投
そして大会15日目の8月10日には陸上競技女子やり投の北口榛花が金メダルを獲得。陸上競技の女子フィールド種目で日本人選手が金メダルに輝くのは史上初のことで、日本陸上界の新たな歴史を切り拓いた。
清岡幸大郎 レスリング男子フリースタイル65kg級
大会最終日となった8月11日にも2人の日本人メダリストが誕生。レスリング男子フリースタイル65kg級の清岡幸大郎が2022年世界王者でアジア選手権3連覇中のラフマン・アモウザドハリリ(イラン)を制して金メダルに輝いた。
清岡は2日前に金メダルを手にした櫻井つぐみと幼い頃からともにレスリングに励んでおり、最強の幼馴染ふたりとなった。
鏡優翔 レスリング女子フリースタイル76kg級
同じく大会最終日の8月11日、パリ2024におけるレスリング競技の最終試合となった女子フリースタイル76kg級決勝で鏡優翔がケネディアレクシス・ブレーデス(アメリカ合衆国)との接戦を制して優勝した。
レスリング強豪の日本女子とはいえ、これまで最重量級では金メダルに届いておらず、鏡が日本女子初の最重量級金メダリストとなった。