男子フルーレ団体3大会ぶりのメダル、悲願の金!パリ2024フェンシング

執筆者 Risa Bellino
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男子フルーレ団体3大会ぶり金メダル!パリ2024フェンシング
写真: 2024 Getty Images

パリ2024オリンピックフェンシング競技で連日メダルラッシュが続くTEAM JAPAN。フェンシング競技最終日を飾るのは、日本がフェンシングではじめてオリンピックメダルを獲得した種目、男子フルーレの団体戦だった。

フルーレは、太田雄貴による北京2008フルーレ個人種目の銀メダル獲得によって、一気に日本にフェンシング競技が普及したきっかけとなった種目だが、ロンドン2012で、太田をはじめ千田健太三宅諒淡路卓がフルーレ団体銀メダルを獲得して以来、メダルから遠ざかっていた。3大会ぶりとなるメダル獲得をかけた決勝に、敷根崇裕、松山恭助、飯村一輝、リザーブ永野雄大が挑み、イタリア代表を相手に45対36で完勝。日本にフェンシング人気をもたらした種目で、見事にその栄光を取り戻した。

日本フェンシング代表は、パリ大会で過去最高となる合計5つのメダルを獲得(金2:男子エペ個人、男子フルーレ団体、銀1:男子エペ団体、銅2:女子フルーレ団体、女子サーブル団体)の快挙を成し遂げた。

松山は試合後のOlympics.comのインタビューで、「この3日間、日本チームが3日連続でメダルを獲得して、個人戦終わってから6日間ある中で、僕ら精神的にものすごい追い込まれてて、苦しくて、プレッシャーがあって、メダルなしじゃ日本帰れないなと思ってた」と胸の内を明かした。しかし、「実力があるからこそ、そういうプレッシャーを跳ね除けて前に進んで立ち向かうことができたと思うんで、まず優勝したこともそうなんですけど、その現実から逃げずに戦った自分とチームを本当に誇りに思います」と充実した表情を見せた。

飯村は、「今の自分にできる最大限のプレーをし続けようと自分の中で言い聞かせて、常に今を楽しめたのが、こういう結果に繋がった」と振り返り、敷根は、「東京オリンピックはすごい悔しかったので、その悔しさを今回晴らせてすごい嬉しいなっていうのが大きいです」と喜びを噛み締めた。そして「このチームなら金メダル取れるっていうのは信じてたんですけど、(プレッシャーに)打ち勝つことができて、最高の形で終えることができたのは、男子フルーレはすごい強いなっていうのを感じました」と続けた。

イタリアが1点差まで追い上げてきた勝負どころとなる第8戦で勝利した永野は、「今まで練習は誰よりもしてきた自信があったのと、相手が自分より全然強い相手だったんで、とにかく足を止めないで自分ができることをやろうと思って、それが上手くいった」と振り返った。

男子フルーレ団体3大会ぶり金メダル!パリ2024フェンシング

写真: 2024 Getty Images

1チーム3人(+リザーブ)で、3分間の試合を9回行い、合計ポイントを競う団体種目において、世界ランキング1位の日本は、出場8チームのトーナメント初戦となる準々決勝で、世界8位のカナダと対戦。第1戦~9戦目までリードを奪い、19点差の快勝で準決勝進出を決める。

準決勝では、東京2020フルーレ団体金メダルの開催国フランスを相手に、第1戦から敷根が5対3で勝利し勢いをつけると、第2戦目で飯村がさらにポイントを重ね、6点差(10対4)の大きなリードを広げる。5戦目にフランスが巻き返し23対23で同点に追いつかれるが、その後も順調に白星を重ねた日本は、完全アウェーの中で45対37で勝利し、決勝への切符を掴んだ。

決勝の相手は、世界2位のイタリア代表。フェンシング競技のパリ2024を締めくくる最終試合として、現地時間8月4日20時50分からグラン・パレにて試合が行われた。第1戦は敷根が2023年フルーレ個人世界王者のトマゾ・マリニ を相手に5対3で白星発進すると、第2戦の飯村と第3戦の松山もリードを続ける。しかし、第4戦目でワールドカップで表彰台に上っているギヨーム・ビアンキを相手に、敷根が6ポイントを許し、18対20の逆転を許す。第5戦に松山がマリニを相手に同点で試合を折り返すと、第6戦、飯村が4ポイントを連取するなど勢いをつけて7ポイントを得点し、30対28で逆転。もう一度日本に流れを引き戻した。

第7戦は、ビアンキが再び日本チームから得点を奪い、1点差(35対34)に詰め寄るも、第8戦で敷根に変わり投入されたリザーブの永野雄大がイタリアに圧倒的な強さでスコアを5対0とし、その差を6点差(40対34)に広げて最終試合へとつなげる。第9戦目は、フルーレ個人で今大会銅メダルを獲得した飯村が4点を連取すると、さらにイタリア代表を引き離し、45対36で見事な勝利を収めた。

フェンシングTEAM JAPANは、これまでに太田雄貴による北京2008フルーレ個人の銀、ロンドン2012のフルーレ団体銀、東京2020エペ団体金を獲得していたが、パリ2024では史上初めて1大会で複数メダルを獲得する快挙を成し遂げている。(日本史上最高となる5個)

パリ2024フェンシング競技の最終試合としてグラン・パレで行われた決勝を制した、日本男子フルーレ団体

写真: 2024 Getty Images