岡慎之助が団体戦に続き個人総合金!2冠達成!橋本大輝は6位/パリ2024体操
7月27日から競技がスタートしたパリ2024体操男子は、大会1日目に団体戦と個人総合、種目別を兼ねた予選が行われ、7月31日の男子個人総合決勝に、2連覇のかかる橋本大輝と、20歳で初出場の岡慎之助が駒を進めた。
団体戦同様、あん馬でバランスを崩して一度演技を中断し、一気に順位を落とした橋本に対して、岡は大きなミスなく6種目全てをまとめ、中華人民共和国の2021年世界王者、チャン・ボヘン(張博恒)の追い上げを0.233点差で逃げ切り、86.832点で金メダルを獲得。2日前の団体戦金メダルに続き、2冠を達成した。橋本は、あん馬での落ち込み後、一時18位まで順位を落とすも、最終種目の得意とする鉄棒まで諦めることなく追い上げ6位入賞に終わった。
橋本は試合を振り返りOlympics.comインタビューにこう答えた。「悔しい思いもあるんですけど、ここに立てたことが幸せですし、みんなのために今大会戦えることができて良かったです」。
あん馬での痛恨のミスも、「僕は1㎜も諦めてなかったです。だからこそ最後まで戦い抜きたいって思いもありました。それができたことが今日は良かったです」と語る。その後4種目の演技を終えると、橋本への大きな拍手が会場に鳴り響いた。「今日この大観衆の中で演技ができたことが良かったですし、演技が終われば温かい拍手があって、それに対してお辞儀をしました」。
2連覇を狙った大きな挑戦を終え、「後悔はないですし、みんなのためにここまで戻ってこれて、今日しっかり戦えたことが良かった」と振り返った。
岡は、会場に駆けつけてくれた団体戦を共に戦ったTEAM JAPANの仲間たちの支えが、大きな力を生み出してくれたと語る。
「遠くからすごい応援、声が聞こえて、自分もすごい力になったし、応援の力ってやっぱすごいなあって改めて感じて。本当にきつい場面もあったんですけど、自分と仲間を信じて最後までやりきれたので良かったと思います」と、試合の1シーン1シーンを思い出しているかのように、噛み締めながら想いを語った。また、一緒に個人総合に出場していた橋本も、岡を激励してくれていたという。「ずっと『自信もって胸張って演技しろよ』って最初の種目から声をかけてくれていたんで、それが凄い自分の自信になったし、力になりました」。
今回、挑戦者として演技に臨めたことが、勝利への鍵だったと振り返る岡は、「勝ちたいって思いもありましたし、もちろん橋本選手に勝てば絶対優勝するだろうって思ってきてたんで、まずはオリンピックをミスなく終えることができたのがすごい良かったと思います」と振り返り、金メダルを勝ち取れて「最高です」と照れながら笑った。
中国と日本2大エースのミスで、メダル争いが混戦に
橋本と岡は、中国のチャン・ボヘン(張博恒)とシャオ・ ルオテン(肖若騰)、英国のジェイク・ジャーマンとジョー・フレーザーと同じローテーションで、ゆか、あん馬、吊り輪、跳馬、平行棒、鉄棒の順で決勝の演技を行った。
1種目目 ゆか
予選と団体戦でも首位に立っていたジャーマンが14.900点の高得点をマーク。橋本は、G難度の大技、リ・ジョンソン(前方伸身宙返り3回ひねり)から、高いEスコア(Execution Score、出来栄えなどをもとにした点数)の演技で14.633点でまとめ、岡も14.566点と好調な滑り出しをする中、橋本のライバルとされているメダル候補のチャンは、序盤のコンビネーションで着地の体勢まで起き上がれずに、頭を床につけるミスで、13.233点に留まる。全24名の決勝進出者の一つ目の演技が終わったところで、1位ジャーマン、3位橋本、5位岡、9位チャンとなる。
2種目目 あん馬
今度は橋本が逆立ちで開脚したところでバランスを崩し、一度あん馬から降りるというミスがあり、12.966点でこの時点で暫定15位に沈む。岡が14.500点で首位に上がると、チャンは14.333点で演技を終えたことで、16位に。日本と中国の2大エースがそれぞれミスにより得点を下げたことで、総合種目のメダル争いは混戦が予想される展開となった。
3種目目 吊り輪
得意とするチャンが14.600点をマークし暫定順位を5位にまで上昇させる一方、橋本は高い出来栄え点を出すも、Dスコア(difficulty score、難易度などをもとにした点数)が低く、18位。岡はオレグ・ベルニャエフ(ウクライナ)に0.166点差まで詰められるも、3種目終了時点でトップを維持する。
4種目目 跳馬
岡がぴたりと床に吸い付くような着地を決め14.300点を出すも、チャンはさらに上のスコアで14.500点、橋本は高難度のロペスで14.766点を出した。ここで、平行棒種目を行ったウクライナ勢が15点以上のハイスコアを出したことで、全体順位は1位がベルニャエフ(57.766点)、2位が同ウクライナのイリア・コフトゥン(57.632点)となり、3位に同点(57.232点)で中国のシャオと岡が入り、橋本は9位(55.765点)まで順位を上げた。
5種目目 平行棒
チャンが15.300点を叩き出し、全体首位に躍り出る。しかし、続いて演技をしたシャオが14.766点の安定した演技で、チャンを僅か0.032点上回ると、中国勢が暫定1-2に立った。橋本は安定感のある演技で、14.433点。このグループの最後に演技をした岡は、オリンピック出場を決めた5月のNHK杯でも高得点を出していた得意の平行棒で、15.100点を記録し、5種目目を終えた時点で、また首位に返り咲いた。
6種目目 鉄棒
0.366点の僅差で、岡、チャン、シャオのTOP3が並ぶ中、橋本は首位の岡まで2.134点差の8位で迎えた最終種目、鉄棒。予選で種目別決勝進出ラインの上位8位を逃し、2連覇の夢が絶たれていた橋本は、個人総合の鉄棒でそのすべてを出し切った。カーチェフ、リューキン、カッシーナなどの高難度の技を美しく決めて14.400点。メダルまでの追い上げには至らなかったものの、橋本の最終演技は悔いのないものとなった。
予選終了後に「個人総合は今日の感じで一種目ずつ0.2点くらい稼げれば(メダルに)届くかな。いけると思います」と自信をのぞかせていた岡は、中国勢が迫る中、大きなプレッシャーをはねのけてE難度のコールマンなどを決め、14.500点。橋本を超える得点を出し、首位に立つと、ここで最終演者のチャンが登場。会場を沸かせる完ぺきな演技をするも、最後の着地は一歩動き、14.633点。この結果、岡の金メダルが決まった。銀メダルとの差は、わずか0.233点だった。
団体種目で金メダルに輝いた体操ニッポン男子は、個人総合を終え、8月3日~5日に行われる種目別に挑戦する。8月3日(土)のあん馬に杉野正尭、8月5日(月)の平行棒に岡と谷川航、同日の鉄棒に岡と杉野が出場する。
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パリ2024予選個人総合結果
※上位6選手のみ記載
パリ2024体操競技の競技日程
以下すべて現地時間(日本はパリより7時間進んでいる)日程は変更になる可能性もある
7月27日(土)
- 11:00〜13:30 男子予選・1班
- 15:30〜18:00 男子予選・2班
- 20:00〜22:30 男子予選・3班
7月29日(月)
- 17:30〜20:30 男子団体決勝
7月31日(水)
- 17:30〜20:15 男子個人総合決勝
8月3日(土)
- 15:30〜 男子種目別ゆか決勝
- 17:10〜 男子種目別あん馬決勝
8月4日(日)
- 15:00〜男子種目別つり輪決勝
- 16:25〜 男子種目別跳馬決勝
8月5日(月)
- 11:45〜 男子種目別平行棒決勝
- 13:31〜 男子種目別鉄棒決勝