堀米雄斗、2連覇達成「夢のような時間」パリ2024スケートボード男子ストリート金メダル

執筆者 Chiaki Nishimura
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堀米雄斗、2連覇達成「夢のような時間」
写真: Cameron Spencer/Getty Images

2021年に東京2020オリンピックの金メダルから3年、苦悩の日々を乗り越え、堀米雄斗がパリ2024オリンピックの舞台で表彰台の頂点に立った!

7月26日に始まったパリ2024オリンピックは、大会3日目を迎えた7月29日にスケートボード男子ストリートの予選・決勝が行われ、暫定7位に沈んでいた堀米雄斗は、最後の最後のトリックで97.08点をマークして首位に浮上。オリンピック2連覇を達成した。堀米は、決勝後のOlympics.comのインタビューにこたえ、「もう本当に信じられないし、夢のような時間ですね」と語った。

金メダルという結果について、「いやもうこれを想像は全然できなかったですね。オリンピックに行けるかも分からない状況で本当に精神的にもすごい辛かったし、体ももちろんキツかったんですけど、支えてくれた仲間、家族、サポートしてくれたみんな、ファンのおかげで最後まで滑り切ることができたし、信じることができた。本当にわずかなチャンスを……オリンピック予選までは1パーセントくらいしかない可能性だったと思うんですけど、最後まで信じてこれたのが今日の優勝の鍵になったと思います」と続けた。

同じく決勝に進出していた白井空良(そら)は最後のトリックで得点を更新することができず4位で戦いを終えた。また、14歳で戦いの舞台に立っていた日本代表の小野寺吟雲(ぎんう)は難易度の高い技に果敢に挑んだもののベストトリックで得点を2つそろえることができず14位で予選敗退となった。

堀米雄斗、最後まで攻め続けて手にした金メダル

長かったここまでの数年間。堀米はパリ2024オリンピック予選において、好成績を残すことができず、最終予選となったオリンピック予選シリーズ・ブダペスト大会で、大会前は日本勢5番手に沈んでおり、日本代表3枠に入ることさえも危ぶまれた。しかし、最終戦で優勝してそのチャンスを自ら手繰り寄せ、出場を決めた。

それからおよそ1ヶ月後のオリンピック。7月29日正午に始まった予選を4位で通過し、8人で行われる決勝に進んだ堀米は、決勝では45秒でパーク内を自由に滑走する「ラン」の1本目をクリーンに決めて89.72点をマーク。余裕を持って戦いを進め、後半戦となる「ベストトリック」(シングルトリックを5本実施)に進んだ。

堀米は1本目を決めて94.16点という高得点を得たものの、2本目、3本目、4本目と失敗。最後5本目のトリックを暫定7位に沈んだ状態で迎えた。

暫定首位に立っていたジャガー・イートン(アメリカ合衆国)との差は96.98点。トップに立つには96.99点が必要となる中、会場に詰めかけた多くの観客が大きな声援を送る中、堀米は集中力を高めて再び跳ぶと、「ノーリー270ブラントスライド」を見事にメイク。その瞬間、堀米は雄叫びをあげ、会場のボルテージは一気に最高潮に達した。そして映し出された得点は97.08点。堀米は合計281.14点で首位に立ち、観客の声援に応えて技の成功を祝った。

その後、白井、イートン、暫定3位に立っていた絶対王者的存在のナイジャ・ヒューストン(アメリカ合衆国)が最後のトリックを行ったがいずれも得点を更新することはできず、堀米の2連覇が決まった。

長年ともに数々の国際舞台で戦ってきたヒューストン、イートンと表彰台に立ったことについて、堀米は「本当にスペシャルモーメントっていうか……やっぱナイジャはこの何十年間ずっと活躍してきて、自分も小さい頃からインスピレーションを受けて来たし、今でもすごい受けてますね。その理由が、スケートボードってオリンピックだけじゃなくてカルチャーの部分がすごい深いから、ストリートの部分でも他の人にはできないくらい攻めてる。そういうところで自分もインスピレーションを常にもらっているし、モチベーションも上がっているので、そういう仲間たちと表彰台に上がれたのがすごく嬉しいです」と喜びを語った。