アスリートたちの年末年始…オリンピックイヤー前年の2023年がスタート!
パリ2024オリンピックを翌年に控えた2023年がいよいよ始まった。アスリートたちはどんな気持ちで2022年を締めくくり、2023年を迎えたのだろうか?
パリ2024オリンピックイヤー前年となる2023年が幕を開けた。今年の世界選手権や各種大会の結果がパリオリンピック出場権獲得につながり、その先で4年に1度のスポーツの祭典がアスリートたちを待っている。
オリンピックを目指す選手たちにとって重要な1年となる2023年を迎えるにあたり、彼らはどんな気持ちで年末年始を過ごしたのか。選手たちがソーシャルメディアを通じて多くのファンと共有した2022年の総括や2023年の目標をまとめた。
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卓球・張本智和
2022年11月に、現行ランキングシステムにおいて日本男子最高となる世界ランキング2位に上り詰めた、卓球男子シングルスの張本智和。2003年6月生まれで19歳の張本は、飛躍の1年を「2022年は全力で走り抜いた1年でした」と振り返り、2023年の目標として「世界チャンピオン」になることを掲げた。
2023年1月1日付の卓球・男子シングルスの世界ランキングは、1位が東京オリンピック銀メダリストのファン・ジェンドン(樊振東、25)、2位が張本、3位がオリンピック2連覇中のマ・ロン(馬龍、34)。4位には中華人民共和国出身の若手選手として注目される、ワン・チューチン(王楚欽、22)がランクインするなどライバルは少なくない。
卓球の世界選手権は5月20日〜28日に南アフリカのダーバンで予定され、そのアジア予選が1月7日〜13日の日程でカタール・ドーハで開催される。張本は代表メンバーとして男子シングルス、男子ダブルス、混合ダブルスにエントリー。「世界チャンピオン」という目標への第1歩が早速スタートする。
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競泳・池江璃花子
「辛いの一言では片付けられないほど、辛い一年でした」
2022年をこう振り返ったのは競泳の池江璃花子。3月に東京で行われた国際大会日本代表選考会で派遣標準記録をクリアできずに、6月の世界選手権(ブダペスト)への出場を逃し、10月には強化トレーニング専念のため、年内は大会に出場しないことが報じられた。
11月には自身のソーシャルメディアで辛い気持ちを吐露。「長い目で待っててください」とつづり、12月には、白血病治療を乗り越えて退院してから3年が経ったことを報告。「完全寛解まであと2年、みんないつもありがとう」と感謝の気持ちを表現した。
水泳競技では7月に福岡で世界選手権が予定されており、オリンピックイヤー前年そして日本開催ということで一層の注目を集めることだろう。日本代表選手選考会を兼ねて、4月3日〜9日には日本選手権が行われる。
サッカー・久保建英
サッカー日本代表でレアル・ソシエダに所属する久保建英は、2022年12月31日に行われたラ・リーガ第15節のオサスナ戦に先発出場し、2-0の勝利に貢献。「2022年の終わりに相応しい試合でした!」と振り返り、2022年を締めくくった。
パリオリンピックの男子サッカー競技は2001年1月1日以降に生まれた選手(パリオリンピック開催の年に23歳以下)という年齢制限のもとで行われる。東京2020で日本代表を準決勝に導いた2001年6月4日生まれの久保も出場の可能性が大いにある。
体調不良により2022年のワールドカップが不完全燃焼に終わった久保にとって、パリ2024オリンピックはその思いをぶつけるチャンスとなるだろう。それに向けて、2023年にはU23アジアカップ2024の予選大会が9月4日〜12日に予定されている。
スケートボード・四十住さくら
仲間意識の高いスケートボード界らしい投稿だったのが、世界トップレベルで活躍する四十住さくら。オリンピック女王の四十住は、スケート仲間のスカイ・ブラウン(英国)やギー・クーリー(ブラジル)と声をそろえて、「あけましておめでとう」を英語、日本語、ポルトガル語で表現した。
パリ2024ではパーク種目での2連覇が期待される四十住は、「今年はパリオリンピック予選の大会もあるので、怪我なく、大好きなスケートボード、楽しみながら頑張ります」と、意気込みも十分!
スケートボードの次のパリ2024予選大会は1月から2月にかけてUAEで行われる世界選手権。この大会の成績に応じてポイントが与えられ、それがパリオリンピック出場をかけたランキングに反映される。パーク種目初の予選大会となるだけに、四十住は準備万端で大会に臨むことだろう。
柔道・阿部一二三
「2022年は目標としていた超越を実現する事が出来た1年でした!」と、満足の2022年だったことをつづったのが柔道男子66kg級の阿部一二三。
2022年4月に行われた体重別選手権で優勝すると、7月に出場したグランドスラム・ブダペスト大会でも優勝。さらに10月にタシケントで実施された世界選手権でも表彰台の頂点に立った。
東京2020金メダリストの阿部は、ライバルの丸山城志郎とともに2023年5月7日〜14日にドーハで予定されている世界選手権の日本代表メンバーに選出されている。東京オリンピック出場をかけて競い合った阿部と丸山の熱く激しいライバル関係はパリ2024に向けても目が離せないものとなるだろう。
バドミントン・山口茜
年賀状に直筆のメッセージを添えて投稿したのはバドミントン世界ランキング1位(1月3日付)の山口茜。
2022年に東京開催となった世界選手権の女子シングルスで、山口は2連覇を達成。観客からの声援の力を改めて実感した山口は、「会場にお客さんがいて、どよめきが上がって、一緒に楽しんで喜んでもらえる。応援のパワーとバドミントンの楽しさをより一層実感した1年でした」と2022年を振り返った。
2022年12月にはワールドツアーファイナルズで、東京2020金メダリストのチェン・ユーフェイ(陳雨菲/中華人民共和国)との戦いを制して優勝。2023年でのさらなる飛躍を予感させる結果となった。
2023年は年始最初のツアーとして1月10日〜15日にマレーシアオープン(スーパー1000)が予定されている。
日本バスケットボール協会
2023年はバスケットボールに日本中が熱狂することになるだろう。
そんなことを予感させる投稿は、日本バスケットボール協会。「今年は、バスケだ。」をキャッチコピーに、「今年8月、バスケ最強国を決めるワールドカップが沖縄にやってくる」と投稿した。
日本男子はこの大会でアジア1位になればパリ2024の出場権をいち早く獲得することができる。アジア2位あるいは全体で上位に食い込んだ場合は、FIBAオリンピック・予選トーナメントへの出場権を得る。
男子ワールドカップは2023年8月25日~9月10日の日程で、日本・沖縄、フィリピン、インドネシア・ジャカルタで共催される。
陸上競技・北口榛花
2022年の世界陸上競技選手権の槍投げで日本女子選手として史上初めてフィールド種目でメダルを獲得した北口榛花にとって2022年は充実の1年と言えるものだった。
陸上・世界最高峰のリーグ戦ダイヤモンドリーグ第4戦のパリ大会で日本人選手として初優勝を遂げた北口は、翌月に行われた世界選手権で銅メダルを獲得。8月〜9月に行われたダイヤモンドリーグ3大会でも表彰台に立つなど世界の舞台で存在感を示した。
そんな北口は、2022年の締めくくりとして自身のソーシャルメディアに、金メダルを獲得した2015年世界ユース陸上競技選手権の写真と、銅メダルを獲得した2022年世界陸上競技選手権の写真を並べて投稿し、「時間がかかったし、まだ時間がかかると思うけど、自分の道を歩き続けます」と英語でつづった。
バレーボール・髙橋藍
V1リーグのサントリーサンバーズに所属する兄・髙橋塁とともに兄弟のYouTubeチャンネルで2022年を振り返ったのが、バレーボールの髙橋藍。
東京2020で29年ぶりに8強入りを果たした男子日本代表の最年少選手で、アウトサイドヒッターとして活躍した髙橋は、世界で通用する選手となるべく、2021年12月にイタリア・セリエAのパッラヴォーロ・パドヴァに期限付きで加入。シーズン終了後に行われたネーションズリーグでは、日本代表過去最高の5位で戦いを終えると、再びイタリアに戻ってパドヴァとの契約を更新し、同チームで技術を磨いてきた。
2022年をイタリアでスタートした髙橋は「すごい楽しい」1年だったことと振り返り、成長や自信を実感した実りある年になったことを語った。
1月2日には早速練習を開始し、チームメイトのダヴィデ・ガルディーニ(イタリア)やマティアス・デメ(ベルギー代表)と一緒に、イタリアのお菓子「カンノーロ」を仲良く食べる様子をインスタグラムのストーリーズに投稿した。
2023年は9月30日~10月8日の日程でパリオリンピック予選を兼ねたワールドカップバレー2023が行われる。会場のひとつとして選ばれたのが日本。バレーボールがますます盛り上がる2023年となりそうだ。
フェンシング・江村美咲
「何よりも世界選手権で個人金メダル、団体銅メダルを獲得できたことはオリンピックでの金メダル獲得に向けて大きな一歩となりました」
2022年をこう振り返ったのはフェンシング女子サーブルの江村美咲。5月のワールドカップ・チュニジア大会の個人種目で日本女子サーブル選手として初優勝を飾った江村は、7月の世界選手権で個人優勝、団体戦でもチームを率いて3位という成績を残し、飛躍の2022年となった。
フェンシング競技では、各大会の成績に応じて得たポイントがランキングに反映され、それがパリ2024出場権獲得につながる。ポイント獲得期間は2023年4月3日〜2024年4月1日。この間のワールドカップ各大会やグランプリ大会、世界選手権のひとつひとつが重要となる。
スポーツクライミング・藤井快
家族写真を投稿し、2023年について「競技人生の大切な年になると思うので、しっかり整えて強い姿を見せられるように頑張ります」とつづったのは、5月に第2子誕生を報告したスポーツクライミングの藤井快。
その言葉通り、パリオリンピックを目指す藤井にとって2023年は重要な年となることは間違いない。
2022年ワールドカップシリーズ最終戦で初めて実施されたボルダリング&リードの複合種目で、藤井は、楢崎智亜、緒方良行に続いて3位。パリ2024のスポーツクライミングのボルダリング&リードの混合種目には、1ヶ国最大4人(男女2人ずつ)が出場でき、2022年の成績を見る限り、緒方、楢崎、藤井が日本代表の座をかけて激しい戦いを繰り広げることが予想される。
2023年最大の注目は8月1日〜12日にスイス・ベルンで行われるIFSCクライミング世界選手権(ボルダリング&リード)。この大会で上位3選手がパリへの切符を掴む。
ブレイキン・Ami(湯浅亜実)
「New Year Session」と称して、姉のAyu(湯浅亜優)と一緒に姉妹ダンスを披露したBガールAmi(湯浅亜実)。パリ2024でオリンピック新競技として採用されるブレイキン界(ブレイクダンス)で長らくトップとして活躍してきたAmiは、2022年も数々の大会やショーなどで世界各地に足を運び、2022年に大韓民国で行われた世界選手権では2年ぶりに優勝した。
パリオリンピックで金メダル候補として目されるAmiは、新年のメッセージとして「今年も元気もりもりに、自分のペースで、時々足元も気にしながら、上を向いて進んでいこうと思います」とコメント。直近の大会としては、2月24日、25日に北九州で開催される国際大会「WDSFブレイキン・フォー・ゴールド」への出場が予想される。