フェンシング・江村美咲、パリに向けて1歩ずつ「ひとつ夢が叶いました」

5月6日〜8日にチュニジアのハンマメットで行われたフェンシング女子サーブルのワールドカップで、日本女子個人として初めて表彰台の頂点に立った江村美咲。パリ2024オリンピックに向けて活躍が期待される江村に注目した。

1 執筆者 Chiaki Nishimura
Emura Misaki (c)Federation of Japonaise d’Escrime
(日本フェンシング協会提供)

東京2020オリンピックの男子エペ団体で、日本勢が見事を優勝を収め、初の金メダル獲得となった日本フェンシング界。

男子の大躍進を受け、パリ2024での女子の活躍も期待される中、チュニジアで行われた女子サーブルのワールドカップで、**江村美咲**が日本勢女子としてワールドカップで悲願の金メダルを獲得し、小林かなえが3位に輝いた。江村は「ひとつ夢が叶いました。まだ実感も湧きませんし、言葉にもなりません」とその思いをインスタグラムに綴った。

団体戦にも出場した江村は、準決勝で東京2020銀メダルのフランス(世界ランキング1位)に45-30で勝利。決勝戦では東京2020銅メダルの韓国(同2位)に25-45で惜しくも敗れたが、初めて団体で表彰台に立った3月のワールドカップ・ギリシャ大会に続き、2度目のメダル獲得となった。

江村は団体戦で優勝できなかったことの悔しさをにじませた一方、「ギリシャでの初のメダルが偶然ではなかった事を証明できたこと、チームとして良い雰囲気で最後まで戦えたことには自分達の成長を感じ、自信にも繋がりました」と、ワールドカップ・チュニジア大会で得た手応えを言葉にした。

フェンシング一家に育った江村美咲

東京2020オリンピック女子サーブル日本代表の江村美咲は、1998年生まれの現在23歳。ソウル1988オリンピックで男子フルーレ代表だった宏二さんを父に持つ。宏二さんは太田雄貴さんが銀メダルを獲得した北京2008で代表監督を務め、男子団体銀メダルとなったロンドン2012ではコーチを務めた人物。一方、母親の孝枝さんも世界選手権のエペ日本代表の経験を持つ。

そんな両親のもと大分で生まれた江村は、両親の影響を受けて小学3年生のときにフェンシングを始めた。当初は父と同様フルーレに取り組んでいたが、あるサーブル大会の優勝賞品が当時好きだったというキャラクター「ウサビッチ」のジグソーパズルだったことからその大会に出場し、見事優勝。これがきっかけとなり、中学校に入る前にはサーブルに転向した。

高校1年生だった15歳で出場したユースオリンピック2014南京大会では、準決勝まで駒を進め、3位決定戦で敗れて涙の4位。だが、大陸別混合団体戦では金メダルに輝き、これが大きな自信に。ユースオリンピックでの経験をきっかけに「東京オリンピックでメダルをとりたいと思うようになりました」(JOCのインタビューより)。

パリ2024オリンピックを見据えて

2021年の東京2020オリンピックの個人戦は3回戦で敗退したものの、団体の5位に貢献。「メダルには届きませんでしたが、この舞台でプレーできたことに感謝の気持ちでいっぱいです。日本の女子サーブルはここで止まりませんし、もっともっと強くなって、またこの舞台に帰ってきたいです」とインスタグラムに綴り、パリ2024での活躍を誓った。

そのパリに向けて、国際大会を転戦する江村。今年3月に行われたワールドカップ・ギリシャ大会で団体初の表彰台に輝いた際には、「団体でパリ五輪の出場権を獲得するために、これから(各種国際大会で)金メダルを目指すことはもちろん、長期的に結果を出し続けて行きたいと思います」と気持ちを引き締めた。次戦は、5月20日〜22日の日程で行われるワールドカップグランプリ・イタリア大会。「結果を更新し続けられるよう精進します」と力を込めた。

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