金メダル、引退、パリオリンピック出場権獲得…スポーツ界の2022年を振り返る

2022年のスポーツ選手の戦いぶりを振り返ろう!

1 執筆者 Chiaki Nishimura
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(Getty Images)

今年も国内外で激しい戦いを繰り広げてきたスポーツ選手たち。自分自身の限界を乗り越えようとする勇姿は人々の心を揺さぶり、勇気や活力、感動を多くの人に届けた。

パリオリンピック出場権獲得のための戦いが本格化する2023年を迎えるにあたり、Olympics.comでは2022年のスポーツ選手らの活躍を、オリンピックを中心に5つの視点で振り返ってみたい。

北京2022:平野歩夢、高木美帆、小林陵侑、悲願の金メダル

日本勢にとって冬季オリンピック最多となる18個のメダルを獲得した2022年2月の北京オリンピック

日本選手金メダル第1号となったのは小林陵侑(スキージャンプ男子個人ノーマルヒル)で、日本のエース・小林は、長野1998以来、24年ぶりにスキージャンプ界に金メダルをもたらした。

一方、過去2回の冬季オリンピックで銀メダル2つを獲得し、北京2022で悲願の金メダルに輝いたのがスノーボード男子ハーフパイプの平野歩夢。平野は北京2022の半年前に行われた東京2020のスケートボード競技に出場した後、スノーボードへと切り替えて短い準備期間で北京オリンピック代表の座を掴むと、大会では逆転勝利というドラマティックな展開で金メダルを手繰り寄せた。平野の「二刀流」への挑戦は、多くの人に感動と勇気を与えた。

もうひとりの金メダリストは、北京2022の日本選手団の主将を務め、スピードスケート5種目に挑戦した髙木美帆。スピードスケート女子500m、1500m、女子団体パシュートのそれぞれで銀メダルを獲得した髙木は、5種目となった1000mで優勝。個人種目で自身初の金メダルとなった。

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羽生結弦、小平奈緒、内村航平ら引退

数々のオリンピアンが競技生活にピリオドを打ち、新たな1歩を踏み出した2022年。

その中のひとりが、北京2008オリンピックから東京2020までの4大会に出場し、金メダル3個、銀メダル4個を手にした内村航平さん。「日本の美しい体操」で世界中のファンを魅了し、国内ではNHK杯個人総合10連覇、全日本選手権10連覇、国外では世界選手権6連覇を達成した。体操界のレジェンドとしてその地位を確立した内村さんは、1月に引退を発表。3月には引退試合が行われ、現役生活に別れを告げた。

一方、世界トップのフィギュアスケート選手としてその一挙手一投足が世界中から注目を集めたフィギュアスケートの羽生結弦さんが7月にプロ転向を発表。男子シングルでオリンピックに3度出場し、金メダルを2つ獲得した稀代のスターは、怪我に悩まされながらも北京オリンピックでは前人未到の4回転アクセルに挑戦。彼のパフォーマンスが感動を呼んだ。プロ転向後には自身のYouTubeチャンネルを開設したほか、11月、12月にはアイスショーでファンを魅了した。

長年スピードスケート界のエースとして活躍してきた小平奈緒さんが10月の全日本距離別選手権を最後に現役生活に区切りをつけた。バンクーバー2010から4大会連続でオリンピックに出場し、平昌2018オリンピックの女子500mで金メダルを獲得。多くの人がラストランの会場となった長野県長野市のエムウェーブにかけつけ、声援を送った。

このほか、フィギュアスケートでオリンピックに出場した宮原知子さんや田中刑事さんなども現役引退した。

体操男子、サーフィン男子、パリ2024出場権獲得

13競技においてパリ2024オリンピックの出場権をかけた戦いが始まった2022年。体操男子日本代表、サーフィン男子日本代表がいち早く出場権を獲得した。

2022年9月16日〜24日に米カリフォルニアのハンティントンビーチで行われた2022年ISAワールドサーフィンゲームズで、東京2020オリンピック銀メダリストの五十嵐カノアが優勝。これによって得たポイントがチームの成績に加算され、日本代表チームが男子トップとなり、パリ2024の出場枠を1枠獲得した

一方、体操競技では、2022年10月29日〜11月6日に英リバプール行われた世界選手権で、東京2020オリンピック個人総合で金メダルを獲得した橋本大輝率いる男子日本代表が準優勝。上位3チームに与えられるパリ2024への出場権を獲得した。 

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世界選手権で生まれた「日本初」

世界各地で行われた世界選手権において、今年も数々の「日本初」が誕生した。選手たちが過去の記録を塗り替えようと健闘するニュースに触れ、パリ2024に向けて期待感が高まった人も少なくないだろう。その一部を紹介したい。

■ 水泳

まず、6月17日〜年7月3日にブダペストで行われた水泳競技の世界選手権では、女子シンクロ板飛び込みの金戸凜&三上紗也可組、男子高飛び込みの玉井陸斗が飛び込み種目で日本史上最高の銀メダルに輝いた。

競泳では、男子100mバタフライで水沼尚輝が2位。同種目でのメダル獲得はオリンピック、世界選手権を通じて日本史上初。

■ フェンシング

一方、エジプト・カイロを舞台に行われたフェンシングの世界選手権(7月15日〜 23日)では、江村美咲女子サーブル個人で優勝。日本女子個人として初、男女を通じてサーブル種目で初めて金メダルに輝いた。また、東京2020の男子エペ団体で金メダルを獲得した見延和靖が、世界選手権のエペ個人で2位となり、同種目で日本初のメダル獲得となった。

■ 陸上競技

7月15日〜24日に米オレゴン州ユージーンで行われた世界選手権でも、日本勢は数々の「日本初」を成し遂げた。そのひとつが山西利和によるもので、山西は男子20km競歩で2連覇を達成。世界陸上での2連覇は日本勢男女を通じて初。また、やり投の北口榛花が銅メダルを獲得し、女子フィールド種目で日本勢初のメダル獲得となった。

男子100mではサニブラウン・アブデル・ハキームが日本勢として初めて同種目の決勝に駒を進め、10秒06で7位に入賞。男子走高跳では真野友博が日本初の決勝進出で8位に入賞した。

■ バドミントン

今年はバドミントンの世界選手権が初めて日本で開催された。8月22日〜28日に東京で催されたこの大会で、前回大会女王の山口茜が東京2020金メダリストのチェン・ユーフェイ(中華人民共和国)を破って優勝。日本人初の女子シングルス2連覇を達成した。

■ レスリング

10月17日~23日にスペイン・ポンテベドラで行われたレスリングのU-23(23歳以下)世界選手権の女子50kg級では、東京2020金メダルの須崎優衣が優勝。須崎はカデット(17歳以下)、ジュニア(20歳以下)、U23、シニア世界選手権、オリンピックという、世界5大タイトルを獲得したことになり、男女を通じて日本のみならずレスリング史上初の「グランスラム」達成となった。

■ BMXフリースタイル

もうひとつ付け加えておくと、11月9日〜13日にアブダビで行われたアーバンサイクリング世界選手権のBMXフリースタイル・パーク種目において、中村輪夢が日本勢として初めて表彰台の頂点に立った。2021年に行われた東京オリンピックで注目を集めたアーバンスポーツと呼ばれる都市型スポーツ。中村の快挙は2024年のパリオリンピックでの日本勢のさらなる活躍を予感させた。

さらに盛り上がるスケートボード界

2021年に行われた東京2020オリンピックで初採用されたスケートボード競技で日本勢は4つのメダルを獲得したが、日本人スケーターの勢いは2022年にも続き、ますますヒートアップしている。

6月26日〜7月3日にイタリア・ローマでストリート・スケートボード・ローマ2022が開催された。パリ2024オリンピックの予選を兼ねたこの大会で、中山楓奈(1位)、西矢椛(2位)、織田夢海(3位)が表彰台を独占。さらに4位には赤間凛音、6位に吉沢恋が入るなど、日本女子の層の厚さを国際舞台で示した。

また7月16日、17日に米フロリダ州ジャクソンビルで行われたスケートボード・ストリートの世界最高峰プロツアー、ストリートリーグ(SLS)第1戦では、堀米雄斗白井空良が日本勢初のワンツーフィニッシュを飾った。

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