パリ2024でオリンピックデビューを飾る、注目の日本代表7選手!

執筆者 Risa Bellino
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パリ2024でオリンピックデビューを飾る、注目の日本代表7選手

32競技329種目が実施されるパリ2024オリンピック開幕まであと7日。1世紀ぶりにフランスの首都パリの舞台で開催されるオリンピックに、日本代表選手団が挑む。

東京2020では、橋本大輝(体操)、阿部一二三・詩(柔道)、須﨑優衣(レスリング)、堀米雄斗(スケートボード)などのオリンピック初出場の日本代表選手が、9種目で金メダルを獲得するという快挙を達成した。パリ2024でも、オリンピックデビューを飾る日本が誇る代表選手たちが、大舞台で頂点を目指す。

ここでは、念願の夢への切符を手にし、初めての大舞台に挑む7人の注目選手を紹介しよう。

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早田ひな(卓球女子日本代表)

  • 生年月日:2000年7月7日(24歳)
  • 出身地:福岡県北九州市
  • 出場種目:卓球女子シングルス・女子団体・混合ダブルス
  • ソーシャルメディア:InstagramX

東京2020で3つのメダルを手にした伊藤美誠(みま)や、平野美宇(みう)とともに2000年生まれの黄金世代の一角として卓球界を盛り上げてきた早田ひな。中華人民共和国に次ぐ強豪国日本の卓球女子の顔として活躍する早田が、オリンピック初出場だということに驚く人も多いかもしれない。東京2020では、リザーブ(補欠)として帯同するという悔しい思いをしたオリンピックの経験を、パリでは “金メダルを獲得した最高の経験” に変えるために、全力で挑む。

2022年3月の代表選考レース初戦で優勝して以降、一躍日本卓球女子のエースへと駆け上がり、2023年の国際舞台では、中国の東京2020女子シングルス金メダルのチェン・ムン(陳夢)やワン・イーディ(王艺迪)を相手に勝利をおさめ、ファンの心を熱くした。

早田は、初出場のパリ大会へ向けて「緊張や不安があると思うけど、できることの最大限を発揮してチーム一丸となって頑張りたい」。目標は「金メダル獲得」と、パリ出発前の取材で力強く口にしている。出場する3種目全てで、早田の活躍に期待が寄せられる。

藤波朱理(レスリング女子日本代表)

  • 生年月日:2003年11月11日(20歳)
  • 出身地:三重県四日市市
  • 出場種目:レスリング女子48kg級
  • ソーシャルメディア:InstagramX

レスリング界で中学2年生から負けなし。公式戦で133勝という連勝記録を誇る20歳の最強レスラー藤波朱理(ふじなみ・あかり)が、いよいよパリでオリンピックデビューを果たす。『霊長類最強女子』といわれた吉田沙保里が樹立した119連勝記録を2023年に越えてから記録を塗り替え続けている藤波だが、彼女が世界に名を馳せるレスラーに成長できたのは、中学時代の敗戦がきっかけだった。

『もっと強くなりたい』と涙ながらに父でコーチの俊一さんに訴えたという藤波は、その悔しさを糧に並々ならぬ努力を重ね、自分のレスリング力を高めてきた。「本人の覚悟、意志が大切だとつくづく思います。あの決心があったから今がある」と俊一さんはTEAM JAPAN TVインタビューで語る。今年3月、練習中に左肘を脱臼するアクシデントで手術を受け、4月のアジア選手権は欠場を余儀なくされたが、5月中旬にはスパーリングを再開しパリへ向けて前進している。

出発前に行われた、日本体育大学の壮行会後に自身のインスタグラムで「一緒に最高の景色を見にいきましょう!」とファンに向けて頼もしい言葉を発信した。パリの舞台でセコンドにつく俊一コーチと共に、夢の舞台で完全復活を目指す。

岡慎之助(体操男子日本代表)

  • 生年月日:2003年10月31日(20歳)
  • 出身地:岡山県岡山市
  • 出場種目:体操男子個人総合、種目別、団体
  • ソーシャルメディア:InstagramYoutube

東京2020で、個人総合と種目別鉄棒の両方で金メダルを獲得した橋本大輝が牽引する体操ニッポン男子。その橋本も一目置く新鋭の6種目オールラウンダー、岡慎之助(おか・しんのすけ)。中学卒業後、15歳で社会人の強豪・徳洲会体操クラブの門をたたき、体操一筋でオリンピック出場を目指して鍛錬を積んできた岡は、世界ジュニア選手権で団体総合と個人総合の金メダルを獲得し、種目別あん馬で2位、平行棒で3位という成績を収めた逸材だ。

体操界から多くの期待を集めるなか、2022年の全日本選手権決勝で演技中に右膝前十字靱帯を断裂する大けがを負い、一線から遠ざかっていたが、長く厳しいリハビリとトレーニングを乗り越え、今年4月の全日本選手権の成績を持ち越して行われた5月のオリンピック最終予選、NHK杯で初優勝を飾り、完全復活。世界ジュニア王者がようやくオリンピックで花を咲かせるときがやってきた。

体操ニッポン男子の切り札として、2大会ぶりの男子団体金メダル奪還、柔軟性を活かしたしなやかさと力強さを併せ持つ演技を武器に、種目別と男子総合でもメダル獲得を狙う。

森秋彩(スポーツクライミング女子日本代表)

  • 生年月日:2003年9月17日(20歳)
  • 出身地:茨城県つくば市
  • 出場種目:スポーツクライミング女子ボルダー&リード複合
  • ソーシャルメディア:Youtube

東京2020オリンピック銀メダリストの野中生萌、銅メダリストの野口啓代(東京大会後引退)に続きスポーツクライミング界を牽引するのが、20歳・現役大学生の森秋彩(もり・あい)だ。154cmと小柄ながら恵まれた大きな手と指の力を持ち、得意のヒールフックなどで課題を攻略する森は、2023年の世界選手権ボルダー&リード複合で初の銅メダルを獲得し、パリ2024のスポーツクライミング日本女子内定第1号となった。同大会のリード単種目では、最強クライマーと呼ばれる東京2020金メダリストのヤンヤ・ガンブレット(スロベニア)を抑えて日本女子選手初優勝を飾り、7月19日現在でガンブレットに1000ポイント差をつけてリード単種目の世界ランキングで1位に立っている。

オリンピックイヤーとなる今年は、2月のリードジャパンカップで通算7勝目を挙げ、5連覇を達成。6月に行われたワールドカップ・インスブルック大会でリード2位、7月のシャモニー大会で同種目優勝と、パリ本番に向けて得意種目にさらに磨きをかけている。

2019年16歳シニア国際大会デビュー後、クライミング世界選手権・リードで日本人最年少表彰台となる銅メダルの快挙を達成するも、東京2020の代表選考に落選した悔しさをバネに強化を続けてきた成果が、ようやくパリの舞台で発揮されることになる。複合種目女子は、8月6日から2日間で準決勝が行われ、10日に決勝が開催される。

小野寺吟雲(スケートボード男子日本代表)

  • 生年月日:2010年2月15日(14歳)
  • 出身地:神奈川県横浜市
  • 出場競技:スケートボード男子ストリート
  • ソーシャルメディア:Instagram

東京2020で新種目として採用されたスケートボードで、12歳から22歳の精鋭たちが揃った日本代表が金メダル3つを含む5つのメダルを獲得し、選手層の厚さと卓越した技術を世界に示した。そんなトップスケーターがひしめく日本の激しい代表争いを勝ち抜き、パリでオリンピックデビューを飾るのが、ストリート種目でメダル有力候補に挙げられる、小野寺吟雲(おのでら・ぎんう)だ。

スケートボードのレジェンドと呼ばれるトニー・ホーク(アメリカ合衆国)にも「(彼のスケートボードは)魔法のようだ。本当に、とても上手だね。彼は不可能なコンビネーションをやってのける」と賞賛される大技で世界を魅了する小野寺は、若干14歳ながらインスタグラムで36万人を超えるフォロワーを持つ、今最も熱いスケーターのひとりだ。

7歳から本格的に競技を始め、翌年から海外の招待大会に出場して頭角を現すと、次々と国際大会で好成績を残し、2022年に日本選手権を史上最年少の12歳で制覇。2023年のオリンピック予選も兼ねた世界選手権で3位に入り、世界選手権史上最年少の男子ストリートメダリストとなった。パリ出場枠を決める今年のオリンピック予選シリーズ2戦では、両大会とも準優勝を果たし、激戦を勝ち抜いて日本代表の座を手にした。オリンピックでは、成長著しい小野寺から繰り出される世界を圧倒するパフォーマンスに注目が集まる。

角田夏実(柔道女子日本代表)

  • 生年月日:1992年8月6日(31歳)※年齢はパリオリンピック開会式(2024年7月26日)を基準とした。
  • 出身地:千葉県八千代市
  • 出場種目:柔道女子48kg級
  • ソーシャルメディア:InstagramXYoutube

2023年7月、「諦めずによかったと思っています!やっとスタートラインに立てました」と自身のインスタグラムでオリンピック内定の喜びの声をあげた角田夏実(つのだ・なつみ)。伝統的に世界屈指の選手をオリンピックに送り出している柔道強豪国日本のオリンピック代表への道は簡単なものではなかった。

52kg級を主戦場に長年戦ってきた角田は、東京2020金メダリストの阿部詩や志々目愛と激しいライバル争いを繰り広げていたが、国際大会で2人に勝てない苦しい時期が続いたことで、オリンピック出場の可能性を求めて2019年に48kg級へ転向を決める。階級を下げて東京オリンピックを目指すも、その夢は2017年世界柔道ブダペスト覇者の渡名喜風南(となき・ふうな)に阻まれ、代表の座を手にすることができなかった。一時は引退も考えたという角田だが、オリンピックの夢を追い続けることを決意した後は、見事な快進撃を続けた。2021年3月のGSタシケントで2位に入ると、6月の世界柔道ブダペストではオール1本勝ちで優勝。その後、2023年まで3連覇を飾り、谷(田村)亮子阿武教子に続く日本女子3人目の快挙を達成し、悲願のオリンピックの切符を手に入れた。

柔道日本女子では歴代最年長記録となる31歳で初出場となるオリンピックで、世界レベルの関節技を武器に、メダル獲得を狙う。

安楽宙斗(スポーツクライミング男子日本代表)

  • 生年月日:2006年11月14日(17歳)
  • 出身地:千葉県八千代市
  • 出場競技:スポーツクライミング男子ボルダー&リード複合
  • ソーシャルメディア:Instagramthreads

東京2020から種目構成が変更され、ボルダー&リードの複合種目となってパリ2024で初開催される、スポーツクライミング。その「ボルダー」と「リード」単種目、さらに「複合種目」の3つで現在世界ランキングトップに立ち、初のオリンピックを迎えるのが、安楽宙斗(あんらく・そらと)だ。

体格も筋力も異なる選手たちがそれぞれの得意とするスタイル・特徴を活かして課題を攻略していくところが魅力であるスポーツクライミングで、『脱力スタイル』と呼ばれる安楽のクライミングは、国内外で多くのファンを持つ。腕を開くと180cmを超えるという長いリーチを武器に、力まずに身体を上手く使って壁に吸い付くようにホールドを掴んでいく動きは、試合の解説者などからも「なんて簡単そうに課題をクリアしてしまうんだ!」と驚きの声があがるほどだ。

2021年の東京オリンピック後から国際大会に出場し、世界ユース選手権のリードで2連覇、ボルダーでも銀・銅メダルを2年連続で獲得すると、2023年、高校2年生でボルダーとリードのワールドカップでそれぞれ初優勝を果たし、同年に年間総合優勝の快挙を成し遂げた。初出場したシニアの世界選手権では、得意のリードで準優勝、ボルダーと複合で4位に入賞。アジア大陸予選大会でパリ2024の切符を掴み、東京大会4位の楢﨑智亜とともに、男子2枠の日本代表に選出され、念願のオリンピック出場を果たす。

パリで新種目として開催される複合で初代王者のタイトルを掴むことができるのか、注目したい。