パリ2024まであと1年:トップアスリートがパリに最も期待していること
パリ2024オリンピックの開会式まであと1年となった今、世界最高のアスリートたちはパリに何を期待し楽しみにしているのか。その声を聞いてみよう。
オリンピック聖火台に火が灯されてパリ2024オリンピックが開幕するまであと1年となった。
世界中のスポーツファンは、世界最大のスポーツの祭典を心待ちにしているが、競技大会に出場する10,500名以上のアスリートほど興奮している人はいないかもしれない。
パリ2024まで1年前となったことを記念して、Olympics.comは、アスリートたちにパリ2024で何を期待し何を楽しみにしているのか尋ねてみた。
オリンピックの特別な意味にひかれるアスリートたち
Olympics.comが話したアスリートたちの多くは、オリンピックで競技できることに興奮する一方で、オリンピックに対して尊厳の念を抱いていることを示している。
ブラジルのスケートボードの天才ティーンエイジャー、ライサ・レアウは「(オリンピックは)私にとって最も特別な大会です。それは私が知られるようになった場所であるとともに、ブラジルの人々がスケートボードについて知り、さまざまな年代のたくさんの女の子や男の子たちがスケートボードを始めるきっかけ作りができた場所でもあります。素晴らしいアスリートたちに囲まれるオリンピックは、私にとって特別な意味があるのです」と語った。
サーフィンは、スケートボードと同じく前回の東京2020でオリンピックデビューを果たし、ブラジルチームが強さを誇るスポーツのひとつだ。パリ2024では、サーファーたちはフランス領ポリネシアのタヒチ島チョープーで競技を行う。
「オリンピックは4年に1度行われるため歴史的と言える大会です。私は子どもの頃からオリンピックで金メダルを取ることを夢見ていました」とタティアナ・ウェストン・ウェブ(ブラジル)は話した。「すでに(暫定的に)出場資格を得ていることはありがたいです。今からそれに焦点を絞ることができるのですから」
現在の男子世界チャンピオン、ブラジルのフィリペ・トレドは、東京2020金メダリストのイタロ・フェレイラとガブリエウ・メジナの2人にブラジル国内のオリンピック予選で敗れ東京2020に出場できなかった。「私たちのスポーツはオリンピックではまだ歴史が浅いですが、スポーツそのものは長い歴史を持っています」とトレドは語った。「(オリンピックで)金メダルを獲得することは、私の将来にとって素晴らしいチャンスを提供してくれることになるはずです」
「自分の国を代表して競技するなんて信じられないことです。全国民が応援してくれるのですから。パリではそうなるでしょう」とフェレイラは付け加えた。
コロンビアのリゴベルト・ウランがパリ2024に出場することになれば、自転車ロードレースで5度目のオリンピックとなり、過去の出場記録と並ぶことになる。「オリンピックは特別なものです。また出場できるよう努力したいと思います」と彼は話した。「私はあと数年は競技したいと思っていますが、その後は引退することになるでしょう。理想とする目標はそれまでにパリ2024で走ることです」
現在の男子自転車ロードレース王者、エクアドルのリチャル・カラパスも同じ考えだ。「私はオリンピックでこそ最高の状態で臨みたいと思います。私の目標は、またあの場所に戻って、全力を尽くして競い合い、再び勝つことです。今の私にとって、それが最大のモチベーションです」。
陸上男子100m世界チャンピオンのフレッド・カーリー(アメリカ合衆国)は、東京2020ではパンデミックによる制限があったが、次のオリンピックではより素晴らしい体験が得られることを強く期待しているようだ。「誰もが世界の異なる文化を体験することを楽しみにしていると思います」とカーリーは話す。「また世界最高のアスリートたちと一緒に時間を過ごすことができるオリンピックの旅に戻るの最高の気分です。誰もがオリンピックに出たいと思うはずです」
パリ2024の出場資格を得ることに期待を込めるアスリートたち
オリンピックの出場経験がまだないアスリートにとってのパリまでの1年は、10,500名の出場選手のひとりとなるために、これまでにない勝負の年になるだろう。
2023年の米国陸上選手権男子100mチャンピオンのクラボント・チャールストンは、「NFL、NBA、あるいはオリンピックに出場することは、すべての子どもたちの夢です。NFLやNBAではありませんが、私にとっての夢はオリンピックです。私は12歳か11歳の頃にオリンピックに出場することを目標にしました。それが実現されるよう日々努力しています。私の家族、友人、ファン、私を応援してくれる全ての人々にとっても、これは夢と言えるでしょう」と語っている。
スポーツクライミングのボルダーとリード種目で期待されている選手のひとり、イギリスの18歳、トビー・ロバーツは、パリ2024でのオリンピックデビューを目指している。スポーツクライミングでは、これまでボルダー、スピード、リードの3種目を合わせた得点が競われていたが、パリ2024ではボルダー・リード種目が設けられることになり、ロバーツはオリンピック出場の意欲を高めている。
「パリで最も楽しみにしていることは、まずはオリンピックに出場することです」とロバーツは話した。「ただその中にいるだけでも、本当に信じられないことです。何度もテレビでオリンピックを見てきましたが、その中にいること、オリンピック選手村にいること、そして、たくさんの観客の前でクライムすることがどういうことなのか全く想像できません。でも私は全てを尽くしてそこに行きたいと思います」
スペインを代表するスピード種目のクライマー、ベネズエラ生まれのレスリー・ロメロは、東京2020には出場できなかったがこの意見に同意している。スピード種目専門のロメロは、パリ2024で同種目が単独種目として行われることを歓迎している。
「パリ2024に出場することが私の夢です。その夢を実現するために努力を重ねています」
パリ2024で仲間を応援することを楽しみにしているアスリートたち
陸上男子200m世界チャンピオンのノア・ライルズは、競泳に出場する親友のケイティ・レデッキー(アメリカ合衆国)を応援することを楽しみにしていると話した。「それはかなりすごいこと」と彼は言う。
「私たちは同じDMV(ワシントンDC、メリーランド州、バージニア州)地域に住んでいます。彼女はゲインズビル(バージニア州)でトレーニングしていますが、私の家からわずか1時間20分の距離です。私たちは一緒に多くのプロジェクトを行ってきました。彼女の競技を見ることができるのは本当に素晴らしいことです」。
米国のスポーツクライマー、コリン・ダフィーもまた、世界のベストアスリートを見るのは本当に楽しみだと語った。
「世界中からのトップアスリートたちを見ることは、私が最も楽しみにしていることのひとつです。世界の舞台でクライミングすることもすごいことですが、クライミングが他のスポーツの近づけることもすごいことです」。
オリンピック選手が楽しみにしているパリ2024の特別な雰囲気
旅行先としてだけでも十分に魅力的なパリ。そこでオリンピックが開催されることは、アスリートたちを最大限に魅了するだろう。パリ2024大会組織委員会はセーヌ川を含むパリの象徴的な場所の多くを会場に使用する計画だが、これもアスリートの注目の的だ。
「(セーヌ川での)開会式に本当に興奮しています」とライルズは話した。「私は早めに(パリに)行って開会式に参加し、できるだけパリを楽しむつもりです。(ダイヤモンドリーグでレースするために)数週間前、私はパリにいましたが、スタジアムの中しか見ることができませんでしたから」
ブラジルのフェンシング選手、ナタリー・モエッラウゼンは「パリは、オリンピックの魂、オリンピック精神をもう一度確認する機会になります。開会式は歴史的なものになるでしょう。史上初めて、川の上で開会式が行われることになるのですから。フランス人にはスポーツ好きが本当に多いようですね。まさに私たちが必要としているものはそれなのです」と語った。
モエッラウゼンの仲間である日本のフェンサー、江村美咲(2022年女子個人サーブル世界チャンピオン)は、パリのグラン・パレで競技することに今から期待していると話す。「2010年に世界選手権がそこであったらしくて、その試合に行った誰もが今までで一番すごい演出だった。一番すごい試合だったって言うんですよ」と江村。「それがオリンピックだったら、どれだけになるのかなと思って楽しみです!」
「フランスは本当に好きです。天気がよいと街並みすべてが絵みたいで、見てるだけで気分も上がるし、ご飯もおいしいし、お買い物もできるし大好きです」と江村は話した。
カナダのスポーツクライマー、ショーン・マッコールは「北米からやって来て、ヨーロッパで理想的な場所はどこかと尋ねると、毎回ほぼ決まって誰もがパリと答えます。そんなパリでオリンピックが開催されるとは、少し非現実的と言えるかもしれませんね。でも、全てがとてもエキサイティングです」と付け加えた。
大韓民国の走高跳選手、ウ・サンヒョクが夢に描いていること以上に、アスリートがパリを楽しむ方法が他にあるだろうか!?「私はフランスに行ったことがありません。でもパリのことを考えると、パリを象徴するエッフェル塔のイメージがすぐに思い浮かびます」と彼は話し、「パリ2024で獲得した金メダルを誇らしげに首にかけて、エッフェル塔の前で写真を撮ることが私の夢です」と語った。
地元アスリートが自国ファンの前で楽しみにしていること
最後に、パリ2024に向けて最もエキサイトしているアスリートたちを紹介しよう。それは地元フランス出身やフランス語圏のアスリートたちだ。彼らは来年の夏、地元の人々に大声援で応援されることになる。
「パリは家のようなものです」と、コートジボワールのスプリンター、マリー・ジョゼ・タ・ルーは言っている。「(ここで競技する時)、私のファンの前で走るようなものです」
タ・ルーでさえパリで競技することを待ちきれないのなら、自国開催のオリンピックに出場するフランス出身のオリンピック選手たちはどんなに興奮していることだろうか。
バレーボールの東京2020チャンピオン、イアルバン・ヌガペト(フランス)は「チーム内でいつも(パリ2024のことを)話しています。その日が待ちきれません。本当に信じられないことになりそうです。パリで金メダルを守るために戦うことができるなんて素晴らしいことです」と語った。
体操競技のマリン・ボイヤーもそんな待ちきれないアスリートのひとりだ。「パリは私の家であり、一生に一度の経験となり、歴史的なオリンピックになるでしょう」と話した。また、彼女のチームメイト、コリーヌ・ドビヤールは、「私たちの知っている全てがここにあります。国のこと、町のこと、人々のこと。私たちは我が家にいるようなものです。オリンピックを素晴らしいものにするために必要なものが全てそろっているのです!」と付け加えた。
最後に、すでにオリンピック色に染まるパリに拠点を置くレスリング選手、コウンバ・ラロクは次のように語っている。
「私は毎日(パリ2024について)考えています。私はパリに住んでいるので、より身近にオリンピックを感じることができます。オリンピックが近づいてきているのを肌で感じながらトレーニングを行っているのです」