日本に新たなメダルのチャンス ? スキージャンプ混合団体

北京2022から新採用される4つの男女混合種目の内のひとつとして、新たなオリンピックの歴史を築くことになるスキージャンプ混合団体。現在ワールドカップで最も勢いのある小林陵侑や、同い年で世界有数の実績を持つ高梨沙羅のダブルエースを擁するチームジャパン。メダル候補として期待が高まる新種目を押さえよう。

文: Risa Bellino
写真: 2017 Getty Images

スキージャンプ団体戦というと、激しい風と雪に見舞われた1998年長野大会で、史上最強と呼ばれた日本男子団体の逆転優勝、悲願の金メダルに日本中が熱狂したあの瞬間を思い出す人も多いのではないだろうか。

“いかに遠くへ、美しく飛べるか”

その挑戦は、何世代にもわたり追及され続けている。感動のドラマを生み出した長野大会のメンバー、原田雅彦は、現在チーム雪印メグミルクで総監督、岡部孝信は監督を務め、伊東大貴をはじめ、小林潤志郎佐藤幸椰など選手育成に励む。斎藤浩哉も同社でコーチ、監督を務めた後、社業に専念している。当時のラストジャンパーを務めた船木和喜は、ウィンタースポーツ青少年育成事業のほか、何足もの草鞋を履きながら、現在も冬は現役を続けている。リレハンメル1994で、原田、岡部と共に銀メダルを獲得した葛西紀明は、混合団体でチームのカギとなる小林陵侑伊藤有希が所属する土屋ホームの監督兼選手として49歳で現役でチームを引っ張っている。

FISノルディック世界選手権スキージャンプ混合団体、日本3位=2015年2月
写真: 2015 Getty Images

IOCが推進する、男女平等を高める種目の導入に後押しされ、1924年の第1回冬季オリンピックから長い歴史を持つスキージャンプも、ここ数十年で大きな変化を見せてきた。

  • 2012年:FISグランプリの一環として混合団体を実施/ワールドカップ新種目として追加/第1回冬季ユースオリンピックで新種目として採用(日本は高梨沙羅を含む3名のチームで5位入賞)
  • 2013年:ノルディック世界選手権に混合団体を追加(日本が初代王者に)
  • 2014年:ソチ2014で女子個人がオリンピックに採用
  • 2019年:ノルディック世界選手権に女子団体を追加
  • 2022年:北京冬季オリンピックで混合団体がオリンピックに採用

この10年間で女性アスリートが参加できる種目数の増加と共に、日本でも男女の競技力と選手層に厚みが増し、日本チームは満を持して来年2月の北京大会を迎えようとしている。

FIS女子ジャンプワールドカップ2020蔵王大会:NH団体戦日本2位
写真: 2020 Getty Images

日本は、これまでに5回開催された世界選手権(2年に1度開催)で、金メダル1つ、銅メダル2つ、5位が2回という実績を持つ。2013年の第1回大会を除き、4連覇中のドイツチームのほか、オーストリア、ノルウェー、スロベニア、日本が世界選手権TOP5の常連チームだ。チームメンバーの団結力が結果につながる混合団体。北京では、強豪国の接戦が予想される。

2013年ノルディック世界選手権で初実施されたスキージャンプ混合団体で、日本が初代王者に
写真: 2013 Getty Images

男子個人での金メダルの期待もかかる小林は、オリンピック初出場となった平昌2018(個人ノーマルヒル7位、男子団体6位)後のシーズンで、ワールドカップ13勝を挙げ、日本男子選手として初めて総合優勝を果たし、大躍進をみせた。今シーズンは開幕戦で2位、第3戦は143mの大ジャンプで優勝し、ワールドカップ通算20勝を挙げ、日本男子単独最多記録をマークし、好スタートを切る。試合から一夜明けて自身のツイッターで新型コロナウイルスの陽性反応が出たことを明かした小林は、自主隔離を行っているが、体調には問題がないと話しており、第6戦からの復帰を目指している。これからの巻き返しに期待したい。

小林と共に、直近2回の世界選手権混合団体メンバーとして出場した佐藤は、個人でワールドカップ2勝、男子団体でも世界選手権とワールドカップで表彰台の実績を持ち、ここ数年で団体戦の経験値を上げている。混合団体世界チャンピオンの伊東を同チームの主将に持つ佐藤は、オリンピック初出場を目指し、シーズンに挑む。

佐藤幸椰=FISノルディック世界選手権2021
写真: getty images

メダル獲得に欠かせない女子メンバー候補となるのは、昨シーズン3つのギネス世界記録を更新した、高梨だ。FISワールドカップの男女歴代単独最多優勝記録60勝と個人通算109勝目の表彰台を達成し、スキージャンプの歴史を塗り替え続けている。

北京大会でデビューとなる混合団体について「単純に、やっぱり楽しみだなという気持ちがあります」と笑顔で答えた高梨は、「ひとりでやっている競技ではないからこそ、チームの人たちとコミュニケーションをとっていきながら過ごしていかないといけない」と団体戦の難しさについても語った。今季の開幕戦は個人6位スタートで、4戦連続で表彰台を逃しているが、北京で団体メンバーに選ばれたら「みんな仲が良いので、その仲をもっと深めていけるように過ごしていきたい」と意気込みを語った。

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レジェンド葛西率いる土屋ホームに所属し、チームメイトの小林とも一緒に練習をする伊藤は、高梨と同じく自身3度目のオリンピックを目指す。混合団体の歴史がスタートした頃から高梨と共に日本チームメンバーとして世界の舞台で戦ってきた伊藤のジャンプで、オリンピックでも初代王者を目指してほしい。

高梨沙羅と伊藤有希=FISスキージャンプワールドカップ2019
写真: 2019 Getty Images

2021/2022シーズンのスキージャンプワールドカップで、混合団体が実施されるのは、1月28日のドイツ・ヴィリンゲンと、3月4日のノルウェー・オスロの2大会のみ。北京2022の選手選考期間は2022年1月16日までとなるため、各国(NOC)が個人代表選手を確定後にチームを組み、2月の北京オリンピック前にワールドカップの舞台で力を試すことができるのは、1月末のヴィリンゲン大会のみとなる。

初代チャンピオンを決める決戦まで、あと2か月。「また新しい歴史をぜひ北京で、今の日本人選手たちに作ってほしいなと思っています」と原田がOlympics.comに語ったように、24年の時を経て、もう一度日本チームの底力に期待したい。

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2021/2022 FISスキージャンプ日程

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