大会も9日目を数え、今日(3月13日)が最終日となった北京2022冬季パラリンピックでは、混合種目をはじめとする多くのメダルイベントが行なわれ、最後の最後までパラアスリートたちの超人的なパフォーマンスによる熱戦が繰り広げられた。
パラアルペンスキーでは、男子スラローム(回転)の3種目、パラクロスカントリースキーでは、パラノルディックスキー唯一の男女混合種目となるミックスリレー(4x2.5km)と、ジェンダーの制限のない団体種目となるオープンリレー(4x2.5km)の2種目、そしてパラアイスホッケーの決勝戦、合計6のメダルイベントが実施された。
すべての競技スケジュールを終えた北京2022パラリンピックは、日本時間21:00(北京時間20:00)より閉会式が行なわれ、9日間にわたる冬季パラスポーツの祭典の幕を閉じた。
輝いたアスリート:アスリート・オブ・ザ・デイ
パラクロスカントリースキー・オープンリレーが行なわれ、新旧ダブルエースの川除大輝と**新田佳浩**がふたりでチームを組んで出場し、そのバトンをしっかと繋いだ。
北京2022で引退を表明している新田は、長野1998から7大会連続で出場している日本パラクロスカントリースキー界のレジェンド。自身のメダル獲得という目標だけでなく、パラクロスカントリースキー界の未来を次世代に引き継ぐという大きな目標を掲げて北京大会までの4年間、若手の育成を含めて日本チームを牽引してきた。
そんなレジェンドの背中を小学生の頃から追いかけ続けてきた川除は、7日に行なわれた男子ロング20kmクラシカル(立位)で金メダルを獲得し、「次は自分がチームを引っ張っていける力が付いたよ、という証明ができたと思う」と、ゴール後に晴れやかに答えた。
新田-川除-新田-川除の順でリレーした最終種目では、互いの思いをしっかりと受け渡すようなパフォーマンスを見せ、ふたりで掴んだ7位入賞の喜びを分かち合った。
新田は、「横で川除選手の成長を見れたのと、一緒に滑れたことが僕にとってすごく貴重な経験でした。ありがとう大輝」とコメントし、自身の集大成と位置付けたパラリンピックでの戦いを終えた。
北京2022冬季パラリンピック閉会式
夏冬両方のオリンピック・パラリンピックを開催する世界初のホストシティとして、2008年に続き2022年に世界のトップアスリートを迎えた中華人民共和国の首都・北京。3月4日~13日にわたって6競技78種目の熱戦が繰り広げられ、最終日となった13日現地時間20:00からは "鳥の巣" の愛称で親しまれる国家体育場で閉会式が行なわれ、その歴史的大会が幕を閉じた。
式典を盛り上げるマスコットのシュエロンロンやパフォーマーらに迎えられ、各国のアスリートたちが入場。日本選手団旗手には川除大輝が選出され、開会式に引き続き日本代表選手団を先導して入場した。
「シンプル、安全、ワンダフル」の指針を掲げて演出された式典では、メインビジュアルとしてレコードが用いられ、大会を通じて多くの人が感じた暖かさや感動の瞬間を永遠に記憶するというメッセージが発信された。
また、国際パラリンピック委員会(IPC)のアンドリュー・パーソンズ会長は、「最も困難な時代に、皆さんのパフォーマンスは輝いていました」と選手らの活躍を称え、「選手村では、異なる国、異なる視点、異なる能力が存在しました。こうした違いは、ここでは私たちを分断するものではありません。私たちを団結させるものです。未来へ向かって一緒に」とした上で、「私たちのムーブメントは、世界のリーダーたちが誇り高きパラリンピアンたちの行動からインスピレーションを受けることを望んでいます」と平和のメッセージを伝えた。
さらに、閉会式の中でパラリンピック旗が次の冬季パラリンピックをホストするミラノ・コルティナ2026に渡された。
今日のメダリスト一覧
男子
パラアルペンスキー・スラローム(座位)
- 金: イエスペル・ペデシェン(ノルウェー)
- 銀: ニールス・デランゲン(オランダ)
- 銅: レネ・デシルベストロ(イタリア)
パラアルペンスキー・スラローム(立位)
- 金: アルトゥル・ボシェ(フランス)
- 銀: 梁景怡(中華人民共和国)
- 銅: アダム・ホール(ニュージーランド)
パラアルペンスキー・スラローム(視覚障がい)
- 金: ジャコモ・ベルタニョリ(イタリア)
- 銀: ヨハネス・アイクナー(オーストリア)
- 銅: ミロスラフ・ハラウス(スロバキア)
パラアイスホッケー
- 金: アメリカ合衆国
- 銀: カナダ
- 銅: 中華人民共和国
男女混合
パラクロスカントリー・ミックスリレー
- 金: アメリカ合衆国
- 銀: 中華人民共和国
- 銅: カナダ
オープン
パラクロスカントリー・オープンリレー
- 金: ウクライナ
- 銀: フランス
- 銅: ノルウェー
今日の日本選手の成績
男子
パラアルペンスキー・スラローム(座位)
- 5位 森井大輝
- DNF 鈴木猛史(ファーストラン完走)
- DNF 藤原哲(ファーストラン完走)
- DNF 狩野亮
パラアルペンスキー・スラローム(立位)
- 12位 高橋幸平
- 18位 小池岳太
- 25位 東海将彦
- 26位 青木大和
男女混合
パラクロスカントリー・ミックスリレー
- 7位 日本(岩本啓吾、出来島桃子、森宏明、阿部友里香)
オープン
パラクロスカントリー・オープンリレー
- 7位 日本(新田佳浩、川除大輝)
※略称: DNF・・・途中棄権