大会3日目(3月7日)を迎えた北京2022冬季パラリンピックでは、パラアルペンスキーのスーパーコンバインド(スーパー複合)男女各3種目、パラクロスカントリースキーのクラシカル男女各2種目、パラスノーボードのクロス男子3種目と女子1種目の、合計14のメダルイベントが行なわれた。
午前中に行なわれたパラクロスカントリー男子20kmクラシカル(立位)では、パラリンピック2大会連続出場を果たし、開会式では日本代表選手団の旗手を務めた川除大輝が、5km地点でトップに立ち、後続の選手と1分30秒以上の大差をつけ、独走状態でフィニッシュ。自身初となるパラリンピック金メダルを獲得した。なお、21歳での金メダル獲得は、冬季パラリンピックにおいて日本男子最年少記録を更新した。
また、スケジュール変更によって1日早く実施されたパラアルペンスキー女子スーパーコンバインド(座位)では、本大会で金メダル2個を獲得している村岡桃佳が、銀メダルに輝いた。
このスーパーコンバインドでは、男女共にファーストランとしてスーパーG(スーパー大回転)を午前に、セカンドランとしてスラローム(滑降)を午後に行ない、その両方のタイム合計で順位が争われた。ファーストランを完走できなかった場合、セカンドランに出場することはできない。
輝きの瞬間:モーメント・オブ・ザ・デイ
21歳のエバ・オールシェ(スウェーデン)は、女子スーパーコンバインド(立位)で信じられないようなパフォーマンスを見せ、1分56秒51という、銀メダルの張夢秋(中華人民共和国)に1秒30の差でパラリンピック初出場の金メダルを獲得した。レース後にオールシェは、世界中のアスリートを目指す人たちに向けて、感動的なメッセージを送った。
「障がいをもつ他の女の子たち、そして男の子たちにも、私を見て『私、僕にもできる』と思ってもらいたいです。私は彼らにここに立っている姿を見せたいんです。そして、私のようにやってみてほしいと思っています。そうすれば、もっと強くなれるし、人間としてもっと成長できます」
輝いたアスリート:アスリート・オブ・ザ・デイ
パラクロスカントリースキー男子ロングクラシカル(立位)で、2週間前に誕生日を迎え21歳になったばかりの川除大輝が自身初の金メダルを獲得。「本当にまさか自分がっていう気持ちがすごく大きくて。まだちょっと実感が沸いていないです」と率直な気持ちを語った。
20kmの後半、他の選手のスピードが落ちる中、強みである持久力と粘り強さで追い上げのレースプランで挑んだという川除は、予定通り後半失速せずにタイム差を広げられた。
憧れの存在であり、川除のキャリアに多くの影響を与えてきた新田佳浩を上回って獲得した金メダルについて、「ずっとトップを走ってきた新田さんに、『次は自分がチームを引っ張っていける力が付いたよ』という証明ができたと思うので、これからはさらに速くなれるように頑張っていきたいなと思います」と頼もしい言葉で締めくくった。
明日の見どころ
大会4日目となる3月8日、メダルイベントはパラバイアスロンミドル(10km)のみとなる。男子立位に佐藤圭一、女子立位に阿部友里香、出来島桃子がエントリーしている。
その他、車いすカーリングは11チームが出場する中、予選リーグで現在カナダがトップ。3月10日まで毎日10試合が行われる。パラアイスホッケーは、決勝ラウンド進出をかけた予選リーグ最後の3試合が行われる。現在グループAトップのアメリカ合衆国、グループBトップの中華人民共和国が2勝している。両競技ともに日本チームの出場はない。
今日のメダリスト一覧
女子
パラアルペンスキー・スーパーコンバインド(座位)
- 金: アナレナ・フォルスター(ドイツ)
- 銀: 村岡桃佳(日本)
- 銅: 劉思彤(中華人民共和国)
パラアルペンスキー・スーパーコンバインド(立位)
- 金: エバ・オールシェ(スウェーデン)
- 銀: 張夢秋(中華人民共和国)
- 銅: アラナ・ラムジー(カナダ)
パラアルペンスキー・スーパーコンバインド(視覚障がい)
- 金: ヘンリエタ・ファルカショバ(スロバキア)
- 銀: 朱大慶(中華人民共和国)
- 銅: メナ・フィッツパトリック(イギリス)
パラクロスカントリースキー・クラシカル(立位)
- 金: ナタリー・ウィルキー(カナダ)
- 銀: シドニー・ピーターソン(アメリカ合衆国)
- 銅: ブリタニー・ハダック(カナダ)
パラクロスカントリースキー・クラシカル(視覚障がい)
- 金: オクサナ・シシコワ(ウクライナ)
- 銀: リン・カツマイアー(ドイツ)
- 銅: レオニーマリア・ワルター(ドイツ)
パラスノーボード・クロス(下肢障がいLL2)
- 金: セシル・エルナンデズ(フランス)
- 銀: リサ・デジョング(カナダ)
- 銅: ブレナ・ハッカビー(アメリカ合衆国)
男子
パラアルペンスキー・スーパーコンバインド(座位)
- 金: イエスペル・ペデシェン(ノルウェー)
- 銀: イエルン・カンプスフレール(オランダ)
- 銅: ニールス・デランゲン(オランダ)
パラアルペンスキー・スーパーコンバインド(立位)
- 金: アルトゥル・ボシェ(フランス)
- 銀: サンテリ・キーベリ(フィンランド)
- 銅: アダム・ホール(ニュージーランド)
パラアルペンスキー・スーパーコンバインド(視覚障がい)
- 金: ジャコモ・ベルタニョリ(イタリア)
- 銀: ヨハネス・アイクナー(オーストリア)
- 銅: ニール・シンプソン(イギリス)
パラクロスカントリースキー・クラシカル(立位)
- 金: 川除大輝(日本)
- 銀: 蔡佳雲(中華人民共和国)
- 銅: 邱銘洋(中華人民共和国)
パラクロスカントリースキー・クラシカル(視覚障がい)
- 金: ブライアン・マッキーバー(カナダ)
- 銀: ジェーク・アディコフ(アメリカ合衆国)
- 銅: セバスティアン・モディン(スウェーデン)
パラスノーボード・クロス(上肢障がい)
- 金: 紀立家(中華人民共和国)
- 銀: 王鵬耀(中華人民共和国)
- 銅: 朱永鋼(中華人民共和国)
パラスノーボード・クロス(下肢障がいLL1)
- 金: タイラー・ターナー(カナダ)
- 銀: マイク・シュルツ(アメリカ合衆国)
- 銅: 武中偉(中華人民共和国)
パラスノーボード・クロス(下肢障がいLL2)
- 金: マッティ・スールハマリ(フィンランド)
- 銀: ギャレット・ジェロス(アメリカ合衆国)
- 銅: ベン・タドホープ(オーストラリア)
今日の日本選手の成績
女子
パラアルペンスキー・スーパーコンバインド(座位)
- 4位 田中佳子
パラアルペンスキー・スーパーコンバインド(立位)
- 6位 本堂杏実
- DSQ 神山則子
パラクロスカントリースキー・クラシカル(立位)
- 8位 阿部友里香
男子
パラアルペンスキー・スーパーコンバインド(座位)
- 5位 鈴木猛史
- DNF 森井大輝(ファーストラン完走)
- DNF 狩野亮(ファーストラン完走)
- DNF 藤原哲
パラアルペンスキー・スーパーコンバインド(立位)
- 11位 三沢拓
- 20位 東海将彦
- DNF 小池岳太
パラクロスカントリースキー・クラシカル(立位)
- 7位 新田佳浩
- 13位 岩本啓吾
パラクロスカントリースキー・クラシカル(視覚障がい)
- 7位 有安諒平
パラスノーボード・クロス(上肢障がい)
- 8位 大岩根正隆
パラスノーボード・クロス(下肢障がいLL1)
- 5位 小栗大地
- 7位 小須田潤太
パラスノーボード・クロス(下肢障がいLL2)
- 5位 市川貴仁
- 8位 岡本圭司
- 12位 田渕伸司
※略称: DNF・・・途中棄権、DSQ・・・失格
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