北京2022パラリンピック:ノルディックスキー注目の日本選手&見どころ
3月5日からはじまるバイアスロン、6日からはじまるクロスカントリースキーの競技内容やスケジュール、注目選手など、観戦を楽しむための情報をチェックしよう。
パラノルディックスキーと呼ばれるパラクロスカントリースキーとパラバイアスロンの2競技は、北京2022冬季パラリンピックで38のメダルイベント(男子18、女子18、混合2)が行われる。
オリンピックとは異なり、パラリンピックではふたつの競技に出場する選手も多い。日本は男女9選手が出場するなか、3選手が両競技に参加する。
クロスカントリースキーはアルペンスキーとともに1976年にエーンヒェルツビークで開催された大会で、初めて冬季パラリンピック種目に採用された、最も歴史ある冬季競技だ。バイアスロンは、クロスカントリースキーに射撃を組み合わせた競技で、インスブルック1988で身体障がい選手を対象に、アルベールビル1992で視覚障がい選手を対象に導入された。
北京2022での見どころと注目選手を紹介しよう。
関連記事:
パラノルディックスキーの各種目
北京2022では、パラクロスカントリーとパラバイアスロンの選手は、スプリント(短距離)、ミドル(中距離)、ロング(長距離)の各種目で「立位」「座位」「視覚障がい」の3つのカテゴリーにわかれ、合計38セットのメダルをかけて競い合う。障がいの種類や程度によってさらに細かくクラスが分けられ、そのクラスに応じて係数が設けられており、順位は実走タイムにその係数をかけた計算タイムによって決定する。
視覚障がいのある選手は、ガイド(伴走者)を追従する形でコースを共に滑走し、ガイドは背中にスピーカーを装着しBluetoothのヘッドホンとマイクで会話しながらゴールまで選手を導く。
パラクロスカントリースキー
フリーとクラシカルふたつのスキー走法で、スプリント種目、ディスタンス種目、リレー種目で競い合う。
フリースタイルは走法に制限がなく、下り坂で滑降する際を除いては、ほとんどの選手がスケートのように左右にスキー板を走らせ、滑走する。クラシカル走法は、スキーを平行にして左右交互にスキーを滑らせて進む。リレーは男女混合と、性別の制限のないオープンの2種目が行われ、周回別でフリーとクラシカル走法で走る。
パラバイアスロン
クロスカントリースキーのフリー走法と射撃(伏射)を組み合わせた競技で、持久力に加え、集中力と正確な射撃技術が要求される。スキーによって心拍数が上がった状態で射撃場に到着し、心拍数を落ち着かせながら10m離れた5つの小さなターゲットを狙う。視覚障がいのある選手には直径21mm、身体障がいのある選手には13mmの標的の黒点部の大きさ(ターゲットサイズ)が設定されている。射撃を外した場合、スプリントとミドルでは外した弾数だけペナルティーループを周回してコースに戻らなければならず、ロングの場合はタイムペナルティが課される。
視覚障がいのある選手はガイドと共にクロスカントリースキーを走り、射撃をする際は、ヘッドホンを使って、音響信号の高低によって標的の位置を知ることができるシューティングシステムを使用する。音響信号によって標的に命中したかどうかがわかる。
注目のクロスカントリースキー選手
新田佳浩(LW8立位クラス):長野1998から7大会連続出場し、これまで日本ノルディックスキーを牽引してきた新田は、41歳で出場する北京2022で現役引退を表明している。初出場のソルトレークシティ2002から平昌2018までのパラリンピックで5個(金3、銀1、銅1)のメダルを獲得しており、競技キャリアの集大成となる北京で金メダル獲得を目指す。
川除大輝(LW5/7立位クラス):21歳の大学生アスリートの川除は、北京2022開会式で日本選手団旗手を務めた。2019年世界選手権のクロスカントリースキー20kmクラシカル王者で、同大会スプリントフリーの銅メダリストである川除は、次世代の日本男子エースとして複数種目でメダル獲得の期待がかかる。
阿部友里香(LW6立位クラス):バンクーバー2010パラリンピックをテレビで観戦して冬季スポーツに興味を持ち、2011年から本格的に競技をはじめた阿部は、ソチ2014から3大会連続の出場となる。特にクラシカル走法を得意とし、今大会でも両競技にエントリーする、ノルディックスキー日本女子のホープだ。
その他、平昌2018で6個(金1、銀4、銅1)のメダルを獲得したダン・クノッセン(アメリカ合衆国、男子座位)、ロンドン2012ボート競技で銅メダル、東京2020自転車競技で金メダル2個、冬季大会でもこれまで2競技7個のメダルを獲得しているオクサナ・マスターズ(アメリカ合衆国、女子座位)などが注目選手として挙げられる。また、過去5大会で17個のメダルを獲得しているカナダのレジェンド、ブライアン・マッキーバーは今大会で引退を表明している。
注目のバイアスロン選手
出来島桃子(LW6立位クラス):阿部友里香、佐藤圭一と共に、クロスカントリースキーとバイアスロン2競技に出場する出来島は、47歳で5回目の出場となるベテランノルディックスキーヤーだ。射撃の精度の高さが強みで、クロスカントリースキーは片腕でひとつのポールを使って推進力にして走る。
佐藤圭一(LW8立位クラス):佐藤は夏冬二刀流アスリートで、リオ2006ではパラトライアスロンにも出場した。東京2020のパラトライアスロン出場を目指していたが、2019年8月に自転車の練習中に肩を骨折し、数回にわたる手術とリハビリを経て徐々に調子を取り戻してきた。6か月前の夏季大会の出場は叶わなかったが、北京2022に向けて調整し、今年2月には体の状態、仕上がりは80%位まで上げてこれたという。4回目となる冬季パラリンピックで、持ち味の持久力を活かしてロングで上位入賞を目指す。
その他の注目選手は、平昌2018のクロスカントリースキーとバイアスロンで金3つを含む合計5つのメダルを獲得したバンジャマン・ダビエ(フランス、男子立位)、同じく平昌で2競技に出場し4つのメダルを獲得したリュドミラ・リアシェンコ(ウクライナ、女子立位)などが挙げられる。
北京2022ノルディックスキーの競技日程
**会場:**張家口ゾーン・国家バイアスロンセンター
日程:2022年3月5日~13日(日本時間)
3月5日(土)
- 11:00 パラバイアスロン・女子スプリント6km座位 - メダル決定戦
- 11:40 パラバイアスロン・男子スプリント6km座位 - メダル決定戦
- 13:15 パラバイアスロン・女子スプリント6km立位 - メダル決定戦
- 13:50 パラバイアスロン・男子スプリント6km立位 - メダル決定戦
- 15:00 パラバイアスロン・女子スプリント6km視覚障がい - メダル決定戦
- 15:35 パラバイアスロン・男子スプリント6km視覚障がい - メダル決定戦
3月6日(日)
- 11:00 パラクロスカントリースキー・男子ロング15km座位 - メダル決定戦
- 12:50 パラクロスカントリースキー・女子ロング15km座位 - メダル決定戦
3月7日(月)
- 11:00 パラクロスカントリースキー・男子ロング20km立位(クラシカル) - メダル決定戦
- 11:35 パラクロスカントリースキー・男子ロング20km視覚障がい(クラシカル) - メダル決定戦
- 13:15 パラクロスカントリースキー・女子ロング15km立位(クラシカル) - メダル決定戦
- 13:45 パラクロスカントリースキー・女子ロング15km視覚障がい(クラシカル) - メダル決定戦
3月8日(火)
- 11:00 パラバイアスロン・女子ミドル10km座位 - メダル決定戦
- 11:30 パラバイアスロン・男子ミドル10km座位 - メダル決定戦
- 13:00 パラバイアスロン・女子ミドル10km立位 - メダル決定戦
- 13:30 パラバイアスロン・男子ミドル10km立位 - メダル決定戦
- 15:00 パラバイアスロン・女子ミドル10km視覚障がい - メダル決定戦
- 15:30 パラバイアスロン・男子ミドル10km視覚障がい - メダル決定戦
3月9日(水)
- 11:00~ パラクロスカントリースキー・男女スプリント座位、立位、視覚障がい(フリー)予選、準決勝
- 14:45 パラクロスカントリースキー・男子スプリント900m座位決勝 - メダル決定戦
- 14:59 パラクロスカントリースキー・女子スプリント900m座位決勝 - メダル決定戦
- 15:13 パラクロスカントリースキー・男子スプリント1.3km立位決勝(フリー) - メダル決定戦
- 15:27 パラクロスカントリースキー・女子スプリント1.3km立位決勝(フリー) - メダル決定戦
- 15:41 パラクロスカントリースキー・男子スプリント1.3km視覚障がい決勝(フリー) - メダル決定戦
- 15:55 パラクロスカントリースキー・女子スプリント1.3km視覚障がい決勝(フリー) - メダル決定戦
3月11日(金)
- 11:00 パラバイアスロン・女子ロング12.5km座位 - メダル決定戦
- 11:30 パラバイアスロン・男子ロング12.5km座位 - メダル決定戦
- 13:20 パラバイアスロン・女子ロング12.5km立位 - メダル決定戦
- 13:40 パラバイアスロン・男子ロング12.5km立位 - メダル決定戦
- 15:05 パラバイアスロン・女子ロング12.5km視覚障がい - メダル決定戦
- 15:25 パラバイアスロン・男子ロング12.5km視覚障がい - メダル決定戦
3月12日(土)
- 11:00 パラクロスカントリースキー・男子ミドル12.5km視覚障がい(フリー) - メダル決定戦
- 11:15 パラクロスカントリースキー・男子ミドル12.5km立位(フリー) - メダル決定戦
- 12:20 パラクロスカントリースキー・女子ミドル10km視覚障がい(フリー) - メダル決定戦
- 12:35 パラクロスカントリースキー・女子ミドル10km立位(フリー) - メダル決定戦
- 13:30 パラクロスカントリースキー・男子ミドル10km座位 - メダル決定戦
- 13:50 パラクロスカントリースキー・女子ミドル7.5km座位 - メダル決定戦
2月13日(日)
- 11:00 パラクロスカントリースキー・混合4x2.5kmリレー - メダル決定戦
- 13:00 パラクロスカントリースキー・オープン4x2.5kmリレー - メダル決定戦
※スケジュールは天候などにより急遽変更になる場合がある。