リレハンメルで行われた2021年世界選手権からわずか2カ月、パラスノーボードの世界トップ選手たちが冬季パラリンピックで再集結する。
パラスノーボードはソチ2014でアルペンスキー競技の種目として冬季パラリンピックデビューを果たし、平昌2018からパラスノーボード競技として実施された最も新しい競技で、北京2022冬季パラリンピックでは8つのメダルイベントが行われる。日本からは男子6選手がスノーボードクロスとバンクドスラローム2種目に出場予定。小栗大地をのぞき、5選手が冬季オリンピック初出場となる。
3日間に渡り開催される北京2022パラスノーボードの見どころや注目選手を紹介しよう!
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パラスノーボードの各種目
北京2022のパラスノーボードは2種目が開催される。上肢障がい(UL)と下肢障がい(LL1、LL2)を持つ立位クラス(立って競技ができる選手)のみが実施され、パラアルペンスキーやパラノルディックスキーのように座位や視覚障がいのクラスはない。男子は3つのクラス、女子はひとつのクラスが行われ、2種目で合計8つのメダルセットをかけて選手たちは順位を競い合う。
**スノーボードクロス:**ウェーブ(起伏)キッカー(ジャンプ台)バンク(斜度の付いたカーブ)などの障害物が設けられたダウンヒルコースを4人で同時に滑走し順位を競うエキサイティングな種目だ。予選はひとりずつコースを滑り降りるタイムトライアル方式で行われ、男子上位16名と女子上位8名が次のラウンドに進出する。準々決勝からは1ヒートあたり4選手、又は審査委員会が決定した人数でレースを行い、上位2選手が次のラウンドへ進む。1~4位を決める決勝はビッグファイナルと呼ばれ、5位~8位を決める順位決定戦はスモールファイナルと呼ばれる。
**バンクドスラローム:**コース上に設置された旗門を通過しながら起伏にとんだバンクをひとりで滑走する種目だ。各選手はコースを3回滑走し、ベストラン(最も速い滑走)のタイムの昇順で最終順位が決定する。
国内外ともにほとんどの選手が2種目に出場するため、1選手が複数メダルを獲得する可能性がある。
注目のパラスノーボード選手
スノーボードクロス
岡本圭司(LL2クラス):高校卒業後2002年からスノーボードをはじめ、フリースタイルのプロスノーボーダーとして活躍していたが、2015年の33歳の時にスノーボードの撮影中、脊髄損傷の大けがを負う。懸命なリハビリで自立歩行ができるまで回復し、パラスノーボーダーとして2019年雪上に復帰。2021年はワールドカップでクロスとバンクドスラロームともに銀メダルを獲得した。冬季パラリンピックデビューでの両種目の滑りに注目したい。
市川貴仁(LL2クラス):パラスノーボード日本勢最年少30歳の市川は、1月の世界選手権のクロスで5位、バンクドスラロームで7位に入賞。ミラノ・コルティナ2026で金メダル獲得を最大の目標にあげているが、初出場の北京2022でもベストを尽くし2種目で世界へチャレンジする。
小須田潤太(LL1クラス):東京2022では陸上競技T63クラスで2種目に出場し、男子幅跳びでは7位に入賞。6か月後陸上競技場から雪上に舞台を移し、スノーボードでも初出場のパラリンピックで入賞を目指す。
海外勢男子は、現世界チャンピオンのマキシム・モンタジョーニ(フランス、ULクラス)、ディフェンディングチャンピオンのマイク・シュルツ(アメリカ合衆国、LL1クラス)、1月の世界選手権で、男子クロスの優勝をはじめ、金メダル2個、銅メダル1個を獲得し今季勢いのあるタイラー・ターナー(カナダ、LL1クラス)、平昌2018クロス金メダリストのマッティ・スールハマリ(フィンランド、LL2クラス)などが優勝候補に挙げられる。
女子は、4つの世界タイトルを持つリサ・ブンスホーテン(オランダ)と、2022年世界選手権銀メダリストのリサ・デジョング(カナダ)が金メダル有力候補となるだろう。
バンクドスラローム
小栗大地(LL1クラス):メダル獲得を目指して挑んだ平昌2018では、クロス7位、バンクドスラローム6位と、小倉にとって悔しいパラリンピックデビューとなった。1月の世界選手権のバンクドスラロームでは4位と、表彰台まであと僅か。北京では悲願のメダル獲得を狙う。
大岩根正隆(ULクラス):日本チームで唯一、上肢障がいクラスに出場する大岩根は、2017年に本格的にスノーボードを始め、毎シーズンレベルを上げて1月の世界選手権では両種目で4位入賞を果たした。
田渕伸司(LL2クラス):バンクドスラロームを得意としており、2016年から出場しているワールドカップでは、これまでにバンクドスラロームで2度表彰台に上がっている。
北京2022パラスノーボードの競技日程
**会場:**雲頂スノーパーク・ビッグエア首鋼
日程:2022年3月6日~12日(日本時間)
3月6日(日)12:00~
- スノーボードクロス女子LL2予選ラン1、ラン2
- スノーボードクロス男子UL予選ラン1、ラン2
- スノーボードクロス男子LL1予選ラン1、ラン2
- スノーボードクロス男子LL2予選ラン1、ラン2
3月7日(月)12:30~
- スノーボードクロス女子LL2準々決勝、準決勝、順位決定戦(スモールファイナル)、決勝(ビッグファイナル)
- スノーボードクロス男子UL準々決勝、準決勝、順位決定戦、決勝
- スノーボードクロス男子LL1準々決勝、準決勝、順位決定戦、決勝
- スノーボードクロス男子LL2準々決勝、準決勝、順位決定戦、決勝
3月11日(金)12:00~ ※日時変更
- バンクドスラローム女子LL2ラン1、ラン2 - メダル決定戦
- バンクドスラローム男子ULラン1、ラン2 - メダル決定戦
- バンクドスラローム男子LL1ラン1、ラン2 - メダル決定戦
- バンクドスラローム男子LL2ラン1、ラン2 - メダル決定戦
※スケジュールは天候などにより急遽変更になる場合がある。