大会7日目を迎えた北京2022冬季パラリンピックは、今日(3月11日)を含めて、残り3日となった。
北京の曇天の下、パラアルペンスキーのジャイアントスラローム(大回転)女子3種目、パラバイアスロンのインディビデュアル男女各3種目、パラスノーボードのバンクドスラローム女子1種目と男子3種目、合計13のメダルイベントが実施された。
北京2022パラアルペンスキーで、すでに3個のメダル(金2、銀1)を獲得している日本のエース、村岡桃佳が平昌2018パラリンピックで金メダルに輝いているジャイアントスラローム(座位)に出場。この種目では、ファーストランを午前、セカンドランを午後に行ない、両方のランのタイム合計で順位が争われた。
ファーストランを2位で終えていた村岡は、他選手が苦戦する中、セカンドランでより洗練されたテクニックで雪面を滑り降り、自身のタイムを上回る1:00.51でフィニッシュ。タイム合計は2:02.27として、首位に立つ。ファーストランでベストタイムを出していた最終滑走者が、セカンドランでは8秒近く遅いタイムでゴールしたことで、村岡の逆転優勝が決まった。
村岡はこの種目でパラリンピック2連覇を飾り、また1大会で金メダル3個獲得という日本代表の歴代最多記録に並んだ。
輝きの瞬間:モーメント・オブ・ザ・デイ
3月10日(木)に行なわれたパラアルペンスキー男子視覚障がいスラロームでのヨハネス・アイクナー(オーストリア)の金メダルから一夜明け、アイクナー一族は世界の舞台でその存在をまたもアピールした。3月11日(金)に行なわれた同種目の女子では、姉のベロニカ(19歳)が弟に負けじと、2本の滑走で中華人民共和国の朱大慶に7秒31の差をつけて金メダルに輝き、ヨハネスと双子のバルバラ(16歳)は銅メダルを獲得した。まだ10代であるこの3選手は、これからもパラリンピックの有望選手となるだろう。アイクナー一家にとって、実に素晴らしい一日となった。
輝いたアスリート:アスリート・オブ・ザ・デイ
ドイツのパラアルペンスキー選手、アンドレア・ロートフスは、女子ジャイアントスラローム立位で3位となり、自身5度目の冬季パラリンピックで14個目のメダルを獲得した。ロートフスは初出場のパラリンピック、トリノ2006で、同種目の銀メダルを獲得してから毎大会オリンピックメダルを獲得してきたが、北京2022ではダウンヒルで4位、スーパーGで9位、スーパーコンバインドで棄権とメダルに届いていなかった。フィニッシュ後、念願のメダルを獲得し、あふれる涙とともに喜びをチームと分かち合ったロートフスは、3月12日(土)の女子最終種目となるスラロームにも出場し、北京大会でふたつめ、自身15個目のメダル獲得を狙う。
明日の見どころ
大会8日目となる明日3月12日は、パラアルペンスキー女子最終種目となる、スラロームに注目! 座位クラスには、今大会出場の全種目でメダル(金3、銀1)を獲得し、4つ目の金メダル獲得を狙う村岡桃佳のほか、田中佳子、原田紀香が出場。立位クラスには本堂杏実、神山則子が出場し、最後の表彰台のチャンスに挑む。
パラクロスカントリースキーは個人種目の最終レースとなるミドル2.5kmがフリー走法で行なわれ、立位クラスに男子クラシカルで金メダルを獲得した川除大輝をはじめ、岩本啓吾、佐藤圭一が出場。女子では、岩本美歌、出来島桃子がエントリーそしている。また、座位クラスに森宏明、視覚障がいクラスに有安諒平とガイドの藤田佑平が出場する。
パラアイスホッケーでは、中華人民共和国 vs 大韓民国の銅メダルをかけた3位決定戦、車いすカーリングでは、中華人民共和国 vs スウェーデンの決勝戦が行なわれ、ホームが大いに盛り上がる1日となるだろう。なお、この2競技に日本チームは出場していない。
今日のメダリスト一覧
女子
パラアルペンスキー・ジャイアントスラローム(座位)
- 金: 村岡桃佳(日本)
- 銀: 劉思彤(中華人民共和国)
- 銅: 張雯静(中華人民共和国)
パラアルペンスキー・ジャイアントスラローム(立位)
- 金: 張夢秋(中華人民共和国)
- 銀: モリー・ジェプセン(カナダ)
- 銅: アンドレア・ロートフス(ドイツ)
パラアルペンスキー・ジャイアントスラローム(視覚障がい)
- 金: ベロニカ・アイクナー(オーストリア)
- 銀: 朱大慶(中華人民共和国)
- 銅: バルバラ・アイクナー(オーストリア)
パラバイアスロン・インディビジュアル(座位)
- 金: オクサナ・マスターズ(アメリカ合衆国)
- 銀: ケンドル・グレッチ(アメリカ合衆国)
- 銅: 単怡霖(中華人民共和国)
パラバイアスロン・インディビジュアル(立位)
- 金: リュドミラ・リアシェンコ(ウクライナ)
- 銀: 趙志清(中華人民共和国)
- 銅: ブリタニー・ハダック(カナダ)
パラバイアスロン・インディビジュアル(視覚障がい)
- 金: オクサナ・シシコワ(ウクライナ)
- 銀: リン・カツマイアー(ドイツ)
- 銅: レオニーマリア・ワルター(ドイツ)
パラスノーボード・バンクドスラローム(下肢障がいLL2)
- 金: ブレナ・ハッカビー(アメリカ合衆国)
- 銀: 耿焱紅(中華人民共和国)
- 銅: 李甜甜(中華人民共和国)
男子
パラバイアスロン・インディビジュアル(座位)
- 金: 劉夢濤(中華人民共和国)
- 銀: タラス・ラド(ウクライナ)
- 銅: 劉子旭(中華人民共和国)
パラバイアスロン・インディビジュアル(立位)
- 金: バンジャマン・ダビエ(フランス)
- 銀: マーク・アレンズ(カナダ)
- 銅: グリゴリー・ボブチンスキー(ウクライナ)
パラバイアスロン・インディビジュアル(視覚障がい)
- 金: オレクサンドル・カジク(ウクライナ)
- 銀: ビタリー・ルキヤネンコ(ウクライナ)
- 銅: 余爽(中華人民共和国)
パラスノーボード・バンクドスラローム(上肢障がい)
- 金: マクシム・モンタジョニ(フランス)
- 銀: 紀立家(中華人民共和国)
- 銅: 朱永鋼(中華人民共和国)
パラスノーボード・バンクドスラローム(下肢障がいLL1)
- 金: 武中偉(中華人民共和国)
- 銀: クリス・フォス(オランダ)
- 銅: タイラー・ターナー(カナダ)
パラスノーボード・バンクドスラローム(下肢障がいLL2)
- 金: 孫奇(中華人民共和国)
- 銀: マッティ・スールハマリ(フィンランド)
- 銅: オリー・ヒル(イギリス)
男女混合
車いすカーリング - 3位決定戦
- 銅: カナダ
今日の日本選手の成績
女子
パラアルペンスキー・ジャイアントスラローム(座位)
- DNF 田中佳子
- DNF 原田紀香
パラアルペンスキー・ジャイアントスラローム(立位)
- 7位 本堂杏実
- 13位 神山則子
パラバイアスロン・インディビジュアル(立位)
- 12位 出来島桃子
- 13位 阿部友里香
男子
パラバイアスロン・インディビジュアル(立位)
- 7位 佐藤圭一
パラスノーボード・バンクドスラローム(上肢障がい)
- 13位 大岩根正隆
パラスノーボード・バンクドスラローム(下肢障がいLL1)
- 7位 小栗大地
- 10位 小須田潤太
パラスノーボード・バンクドスラローム(下肢障がいLL2)
- 8位 市川貴仁
- 13位 岡本圭司
- 18位 田渕伸司
※略称: DNF・・・途中棄権