北京オリンピックシーズン、主なフィギュアスケーターをチェック! 

ますます盛り上がることが予想される今季のフィギュアスケート。主な日本人選手を紹介しよう。 

1 執筆者 Chiaki Nishimura
thumb
(2018 Getty Images)

平昌オリンピックで羽生結弦が金メダル、宇野昌磨が銀メダルを獲得してからまもなく4年。ジャパンオープンも終え、いよいよフィギュアスケートのオリンピックシーズンがスタートした。**北京オリンピック**において、男子シングルは平昌に続き3枠、女子シングルは平昌から1枠増の3枠を確保し、ペアとアイスダンスは各1組が出場する。

日本代表選手の発表は、北京オリンピック代表選考会を兼ねた全日本選手権(2021年12月22〜26日/さいたまスーパーアリーナ)まで待つことになるが、それまでにもグランプリシリーズの最終戦ファイナルが大阪で行われる(12月9〜12日)など、今季のフィギュアスケートからは目が離せなさそう。フィギュアスケートをもっと楽しむために、主な選手をチェックしよう!

羽生結弦、3連覇をかけた戦い

(2021 Getty Images)

ソチ2014、平昌2018でオリンピック2連覇を達成し、日本そして世界のフィギュア界を牽引する**羽生結弦**(26)。主要な国際大会であるオリンピック、世界選手権、四大陸選手権、グランプリファイナルを合計9度制しているものの、「勝ち」にこだわり続ける羽生は常に「挑戦者」として技を磨き続ける。

中でも前人未到の大技、4回転半ジャンプ(クワドアクセル)への思いは特別。成功させるために試行錯誤を繰り返し、銅メダルで終わった世界選手権(2021年3月/スウェーデン)後の会見では、「(あと)8分の1、回れば立てますね、間違いなく。ランディング(着氷)できます」と口にした。今、時間と空間に余裕があれば、この画面から目を離し、体を真横に向けてみてほしい。これが4分の1回転。羽生はこの半分の8分の1と戦っているのである。最大のライバル、ネイサン・チェン(米国)との頂上対決に注目が集まりがちだが、彼自身が自分に課した目標とどう向き合っていくのかを見届けたい。

出場予定の主要国際大会

  • グランプリシリーズ第4戦 NHK杯(11月12~14日)
  • グランプリシリーズ第6戦 ロシア大会(11月26~28日)

宇野昌磨、自分らしさを武器に 

(2019 Getty Images)

平昌オリンピック銀メダリストで、2016〜2019年の全日本選手権を4連覇した**宇野昌磨**(23)。「勝ち」にこだわる羽生とは対照的に、「順位を意識すると空回りしてしまう」と発言している宇野は、スケートを楽しむ気持ちを大切にする。「自分らしくあればいい」という彼のマイペースな姿勢に魅了されるファンは少なくない。

昨年の全日本選手権では羽生に敗れ2位、世界選手権で総合4位の結果に終わり、シーズン最終戦の世界国別対抗戦のフリーは6位に沈んだ。しかし、同大会では本人が求める前人未到のトリプルアクセルー4回転トーループの2連続ジャンプに果敢にチャレンジ。着氷できなかったものの、覚悟の上での挑戦に後悔はない。「楽しむ」とはいえ挑戦への決意は固く、今季は4回転4種5本という高難度の構成をやりぬくことを誓う。宇野の成長が楽しみだ。

出場予定の主要国際大会

  • グランプリシリーズ第1戦 米国大会(10月22~24日)
  • グランプリシリーズ第4戦 NHK杯(11月12~14日)

鍵山優真、世界選手権銀メダル 

(2021 Getty Images)

リンク上での堂々とした姿とキスアンドクライ(リンク脇にある競技結果を待つスペース)でのあどけない姿ーー。そのギャップが印象的な鍵山優真(18)は、2020年のユースオリンピックを制し、シニアデビューの2020/21シーズンには、 NHK杯で優勝、全日本選手権では羽生、宇野に続き3位、世界選手権では銀メダルを獲得。まさに今後の日本フィギュア界期待の星と目される存在だ。

オリンピック2大会出場の父・正和コーチとともに北京オリンピック出場を目指す鍵山は、世界選手権後、「びっくりしすぎて何も言葉が見つからない」とコメントしたが、自分の可能性がより明確になった今、どのような戦いを見せるかは興味深い。ソチ2014以降、羽生やチェンなど多くの男子スケーターが4回転を自分のものにし、進化してきた男子フィギュアスケート。4回転を「何回跳ぶか」が注目される環境の中で成長してきた鍵山は、今後どのように新時代を切り拓いていくのだろうか。

出場予定の主要国際大会

  • アジアンオープントロフィー(10月13~17日、北京)
  • グランプリシリーズ第3戦 イタリア大会(11月5~7日)
  • グランプリシリーズ第5戦 フランス大会(11月29~21日)

紀平梨花、4回転でさらなる飛躍 

(2021 Getty Images)

2016年のジュニアグランプリ(スロベニア)で、わずか14歳で女子7人目となるトリプルアクセルを成功させ、史上最年少記録を更新した紀平梨花(19)。シニアデビューの2018年にグランプリファイナルで初出場初優勝し、翌シーズンの2019年全日本選手権を制すると、続く2020年の全日本選手権では、安藤美姫以来17年ぶりとなる日本人女子アスリート2人目となる4回転ジャンプ(サルコー)を成功させた。

ただ、女子フィギュア界では2019年頃から4回転を成功させる若手選手が次々と登場。2021年の世界選手権でもそうしたことが如実に現れていた。一方、紀平はフリーでトリプルアクセルに失敗し、結果は7位。本人は重圧を感じてか、会見では「申し訳ない」と口にしたが、オリンピックシーズンに向けて貴重な体験となったことも認める。今季からは拠点をカナダに移し、羽生をオリンピック2連覇に導いた名伯楽ブライアン・オーサーコーチに師事。世界選手権での経験をバネに、大きく飛躍することだろう。

出場予定の主要国際大会

  • グランプリシリーズ第2戦 カナダ大会(10月29~31日)
  • グランプリシリーズ第4戦 NHK杯(11月12~14日)

坂本花織、ダイナミックな演技で魅了 

(2021 Getty Images)

シニア1年目の17歳で平昌オリンピックに出場し、初出場とは思えない堂々とした滑りを見せ、6位に入賞した**坂本花織**(21)。勢いのあるダイナミックな演技が特徴的な坂本だが、4回転ジャンプの習得や勝つことを意識しすぎて、ジャンプにおいても精神面においてもバランスを崩した時期もある。

だが、2020年の全日本選手権では自分のリズムを取り戻し、紀平に続く2位。明るく元気あふれる坂本の笑顔が弾けた。過去2シーズンのフリーで使用している『マトリックス』は彼女の代名詞ともなっているが、今季はショート、フリーともに新演目で挑む。坂本の伸び伸びとした滑りで観客を魅了することだろう。

出場予定の主要国際大会

  • アジアンオープントロフィー(10月13~17日、北京)
  • グランプリシリーズ第1戦 米国大会(10月22~24日)
  • グランプリシリーズ第4戦 NHK杯(11月12~14日)

「かなだい」こと村元哉中&高橋大輔組はソーラン節で勝負

バンクーバー2010で銅メダルを獲得し、ソチ2014以降、現役を引退した**高橋大輔(35)は、2020年にアイスダンサーとして競技の世界に戻ってきた。以来、パートナーを組むのは、村元哉中**(かな、28)。村元は平昌オリンピックにアイスダンス代表として出場し、日本アイスダンス最高位タイとなる15位を記録した。

「かなだい」の愛称で知られるふたりは、2020年のグランプリシリーズNHK杯でデビューし、その後の全日本選手権で2位に。2季目となる今シーズンのリズムダンスではソーラン節を使ったプログラムを発表。高橋は自身のサイトで「ソーラン節?!とビックリする方もいらっしゃると思いますが、現代風にアレンジされていてとてもカッコいいものになっていて、それがまたスケートのスピード感と合う!」とコメントした。

アイスダンスといえば、小松原美里&小松原尊組が全日本選手権で3連覇中。北京オリンピック出場の1枠をかけて、互いにしのぎを削ることになる。NHK杯では小松原組、かなだい組ともに出場予定なので両者のパフォーマンスに注目したい。

出場予定の主要国際大会

  • グランプリシリーズ第4戦 NHK杯(11月12~14日)
  • チャレンジャーシリーズ・ワルシャワカップ(11月18~21日、ポーランド)

多くの選手が北京出場を目指す、日本フィギュア界

(2021 Getty Images)

北京オリンピック出場を目標に練習に励む選手は、今回紹介した6人(組)にとどまらない。男子では、2度目のオリンピック出場を目指す田中刑事(26)、シニア2季目の佐藤駿(17)、女子では、平昌オリンピック・女子シングル4位の**宮原知子**(23)、昨季の全日本ジュニア選手権を制し、NHK杯で3位、シニア1年目となる松生理乃(まついけ・りの、16)など、多くの選手がそれぞれの課題を掲げて戦いに挑む。今季のフィギュア界では一人ひとりの挑戦と成長の物語が数多く紡がれることだろう。

もっと見る