「まだ改善する余地があります。今日でオリンピックから離れ、世界選手権に向けて準備していきます」
これは、**平昌大会閉幕時に満員の報道陣を前にして宇野昌磨**が語った言葉だ。
自身初のオリンピック表彰台に立って間もなく、すでに次の試合を見据えていた宇野は、わずか数週間後に開催された世界選手権で、またも銀メダルを獲得した。
フィギュアスケート界が次のオリンピックシーズンに向けて進む中、宇野が競技に見せるこのような姿勢は見逃すことのできないものだ。現在23歳の宇野の競技に対する決意においても、ハイレベルなスケーティングを生み出す能力においても、大いに期待できる存在である。
世界選手権で2度、日本選手権で4度の優勝を誇る宇野は、10月2日(土)に埼玉で開催される**ジャパンオープン**で2021-22年シーズンの開幕を迎える。通常は海外勢も含めたメンバーで構成されるが、新型コロナウィルス感染拡大による渡航制限のため、日本選手のみでの開催となる。
ここで、宇野のオリンピックシーズンまでの道のりを見てみよう。
北京で魅せる4回転
2018年は、世界選手権ミラノ大会で銀メダルを獲得した後、2018-2019グランプリシリーズ2度の優勝と、グランプリファイナルでの銀メダル、日本選手権3連覇など、記憶に残るシーズンとなった。しかし、埼玉で開催された世界選手権では表彰台から外れ、4位に終わる。
この4位という結果が、2019グランプリシーズン・フランス杯での8位など、一連の予想外な結果に拍車をかけることになる。しかし、ちょうどその頃、2006年のオリンピック銀メダリストである**ステファン・ランビエル**から非公式に協力を得ることができ、宇野にとって多くを学ぶ機会となった。
そして、ランビエルは宇野のコーチに就任する。
「僕は『結果が出ないとスケートは楽しくない』ってずっと思っていたんです。けど、あの結果なのに、僕はまた次の試合に出たい。『スケートが好きなんだな』っていう自分の気持ちを確かめられた」8位の結果について宇野昌磨ーAERAより
フランス杯を終えるとすぐに、スイスのランビエルコーチのもとに渡り指導を受けた。
新型コロナウィルスの大流行以来、彼自身素晴らしい演技を見せているが、2021年の多くの時間をランビエルコーチから離れ、日本でショーに出演し、コーチとは遠距離で連絡を取り合っている。
オリンピックメダリストとして迎えるジャパンオープンが、**北京2022**に向けて状態を確認するための初演技となる。
ジャパンオープンは、2チーム対抗で行われ、男女各3名:計6名のチームによる団体戦形式で行われる。宇野は、山本草太、佐藤駿とともにTeam Blueとして、田中刑事、友野一希、三宅星南のTeam Redと対戦する。今回、2度のオリンピック金メダリストの**羽生結弦と、世界選手権銀メダリストの鍵山優馬**の出場はない。
今後スケジュールを追加する可能性もあるが、宇野はグランプリシリーズ初戦として10月22-24日にスケートアメリカへ出場後、11月12-14日の**NHK杯**に出場する。2018-2019シーズン以来、5度目のグランプリファイナル出場権獲得を目指す。