日本のみならず、世界中で絶大な人気と存在感を誇る稀代のフィギュアスケーター・羽生結弦は、スター選手であることはもちろん、創造性と芸術性に富んだアスリートとしても有名だ。また、「負けることは死ぬことと同じ」と発言するほど、羽生は負けず嫌いなことでも世界に知られている。
羽生は、19歳の時に出場したソチ2014のフィギュアスケート男子シングルにおいて、アジア人初となる金メダルを獲得。その後も、グランプリシリーズファイナル大会での4連覇を達成するなど、輝かしいアスリートキャリアを確実に築く一方、度重なる怪我にも悩まされていた。右足首の負傷により、3ヶ月ぶりの国際大会出場となった平昌2018では、圧巻の復活パフォーマンスで世界を魅了し、オリンピック2連覇という偉業を成し遂げる。男子フィギュアスケーターのオリンピック2連覇は、1952年以来66年ぶりの快挙であった。
羽生はこれまでに世界最高得点を19度も更新しており、ショートプログラム(SP)の100点超え、フリースケーティング(FS)での200点超え、さらにSPとFSの合計スコアで、300点以上を叩き出した最初の選手である。このような数々の功績により、羽生を史上最高のフィギュアスケーターと称える人も多い。
4回転ループを世界で初めて成功させた記録も残している羽生は、これまで限界を超える挑戦に挑んできた。その代名詞と言えるのが、4回転アクセルだ。
空中で4回転と半分を回るのが特徴の、4回転アクセル(4A)。これまで誰も成功したことがなく、フィギュアスケートの新境地を開くジャンプでもあった。
2019年、羽生は4回転アクセルの練習に取り組み始めたことに言及している。そして、北京2022代表選考を兼ねた2021年末の全日本フィギュアスケート選手権大会のオフィシャルトレーニングの場で、初めて公の場で4回転アクセルを披露する。実際に演技構成に取り入れて4Aに挑戦した選手権FSでは、両足着氷によりダウングレード評価となってしまうものの、連続3度目となるオリンピック代表に選出され、北京の氷上で再度4Aに挑戦すると力強く語った。
世界中の視線が、羽生に注がれていた。4回転アクセルはもちろんのこと、3連覇という歴史的偉業を目撃するために。
しかし、SPの冒頭のジャンプで、誰も予想しなかった出来事が起きる。予定していた4回転サルコウが、まさかの1回転となり、会場の招待客のハッと息を呑む音が聞こえる。演技終了後、羽生はアイスリンクにできた穴にはまったと説明。SP8位から、FSでの巻き返しを誓う。
毎回、大会の後に課題を見つけ、次の機会までに克服するようにしている
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注:フィギュアスケート団体戦、女子シングルの結果は暫定的なものです。
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