鍵山優真 : フィギュアスケートは、なくてはならない大切なもの

白熱する北京2022フィギュアスケート男子シングル決勝がいよいよ明日(2月10日)行なわれる。団体戦で日本の銅メダル獲得の立役者となった鍵山優真は、その勢いをとどまる事を知らない。急成長する18歳の声に耳を傾けたOlympics.com独占インタビュー完全版

1 執筆者 Yukifumi Tanaka/田中幸文
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(2022 Getty Images)

**鍵山優真**の成長に、世界が注目している。

**北京2022**フィギュアスケート団体戦では、男子フリースケーティングに出場し、パーソナルベストを更新するスコア208.94を記録する。

それだけではない。

2月8日に行なわれた個人戦のショートプログラムでは、またしても自己ベストを更新する108.12をマークし、暫定2位についた。そして、いよいよ明日(2月10日)、決勝となるフリースケーティングに最終グループから出場する。

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ローザンヌ2020冬季ユースオリンピックで、ドラマティックな逆転優勝を果たしている鍵山は、ヨーロッパへの遠征直前となる2021年10月下旬、Olympics.comの単独インタビューに答えてくれた。前回記事でカバーしきれなかった、18歳の熱き想いの続編をお届けする。

人生に一度しかない

Olympics.com (OC): ローザンヌ2020での金メダル獲得を通じて得られた一番の成果とは、どのように感じていらっしゃいますか。

鍵山優真(鍵山): ユースオリンピックは、人生に一度しかない大切な試合で、いろいろその試合には思いがあって。オリンピックってどういう感じなんだろうっていうことも経験できましたし、なにより、オリンピックに出たいっていう意志がもっと強くなったっていうのが、すごく大きかったんじゃないかなって思います。

OC: ローザンヌ2020の競技中は、緊張していたのですか?

鍵山: 緊張しない試合っていうのは今まで経験したことがないので、多分緊張していたと思います(笑)でも、悪い緊張じゃなくて、いい緊張感で、会場の雰囲気だったり、演技に集中することができたので、本当に良かったと思っています。

OC: ローザンヌ2020に出場した前と後で、オリンピックに対する気持ちの変化について、具体的に教えてください。

鍵山: ユースオリンピックは、人生に一度しかない舞台で、絶対に1位を取りたかった試合でした。その1位を取りたいという強い思いが、自分の演技も助けてくれて、いいパフォーマンスをすることができました。「必ず優勝する」っていう強い意志をもつことはすごく大切だと思いましたし、まず今は(北京)オリンピックに出場することが大事になってくるんですけど、オリンピックでも表彰台に上れるような、それぐらいの強い思いをもって、このシーズンに臨んでいきたいと思っています。

OC: ユースオリンピックを目指す未来のアスリートへ、経験者としてのアドバイスをお願いします。

鍵山: まずは自分の競技が一番だと思うので、そこに集中して頑張ってほしいです。それから、人生に一度しかない舞台なので、選手村の雰囲気だったり、会場の雰囲気だったり、海外の選手との関わりだったり、そういうものを大切にして、毎日過ごしてほしいなって思います。

#StrongerTogether

OC: 一番古いオリンピックの思い出は、何ですか?

鍵山: ソチオリンピックです。羽生(結弦)選手の演技、 優勝した瞬間っていうのは本当に、誰でも忘れられない瞬間だと思いますし、スケートをやっている自分なら見るのが当たり前だったので、すごく興奮しました。

OC: 羽生結弦選手や宇野昌磨選手など、国際的に活躍する日本人アスリートと一緒に、世界の舞台に立つことについて、どのような影響がご自身にありますか?

鍵山: すごく光栄なことです。自分はまだオリンピックに出たことがなく、オリンピックを目指して、ふたりを追っている側です。まだまだたくさん、やるべきことがあって。 刺激をもらっている側として、追いつきたい、もっとうまくなりたいという気持ちを忘れないことがすごく大切だと思います。

OC: 東京2020で印象に残っている場面はありますか?

鍵山: 卓球とバレーボールです。もともと、このふたつのスポーツを見るのが好きです。

OC: 日本の卓球は大活躍でしたね。メダル獲得の瞬間もご覧になっていたのですか?

鍵山: はい、見ました。団体戦も個人戦も。メダル取った時はみんないい表情をしていて。どれぐらい努力したかはわからないんですけど、でも頑張ってきたんだなっていうのが画面越しでもすごく伝わってきました。

(2020 Getty Images)

欠かせない存在

OC: メンタルヘルスって聞くと、アスリートとして何を思い浮かべますか?

鍵山: メンタルって聞くと、自分の気持ちのことなのかなって思います。

OC: それは、ご自身にとって大事なことですか?

鍵山: すごく大事だと思います。たとえば、試合で緊張してしまった時とか、その緊張をほぐせるのって自分しかいなくて。試合の会場では、自分でその緊張と、どう向き合わなきゃいけないかっていうのをすごく考えなきゃいけないので、(気持ちという意味でのメンタルは)すごく大切だと思います。調子が悪くて、ただ落ち込んでいるだけだと、やっぱり何も得ることができない。立ち直るためにも、自分の気持ちの向き合い方っていうのは、すごく大切だと思っています。

OC: 練習を休んで何もしない時間だったり、 長く休養することは、アスリートにとって大切だと感じていらっしゃいますか。

鍵山: 長い間休むってことは大切だとは思いません。自分は、長い休養を経験したことがないのですが、たとえば調子が悪かった時は、一回休みます。調子悪い時って、何も考えずに、がむしゃらにただやってしまうので。そうではなく、一回休んで、冷静になった時に、どこが悪かったとか、ここを改善しておけばよかったっていうのが、本当にびっくりするくらい頭の中に浮かんでくるんです。毎日100パーセント出していたら、いつか限界がくるかもしれないので、調子悪い時は一回休養して、エネルギーを蓄えるっていうことは、すごく大切だと思います。

OC: 今、一番感謝していることは、何ですか?

鍵山: 自分が今、スケートを続けていられるのは、親だったり家族、マネージャーさんだったり、連盟の方のサポートのおかげです。それから応援してくださるファンの皆さん。本当にいつも、試合のたびに「頑張ってください」とか、終わったら「お疲れ様でした」とか 、あたたかく応援してもらえることがすごくありがたいと思っています。 本当に、自分に関わっている人全てに感謝したいです。

OC: 世界が鍵山選手の成長に注目していますが、日本代表候補のみならず、北京2022のメダル候補としても呼び声が高いことについて、ご自身ではどのように感じていらっしゃいますか。

鍵山: 自分が思ってる以上に、自分に対する期待はすごく大きいなっていうのは感じます。その期待を変に背負うんじゃなくて、自分のペースを忘れずに、まずはひとつずつ課題をクリアしていくことが大事だと思っています。

OC: 鍵山選手にとって、フィギュアスケートとは、どういう存在ですか。

鍵山: なくてはならない、欠かせない存在です。自分が小さい頃からずっとやってきたスポーツなので、すごく大切なものです。

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