小松原美里&尊、感情あふれるフィギュアスケート・アイスダンス

北京オリンピック出場の1枠を自ら手繰り寄せたフィギュアスケート・アイスダンスの小松原美里&小松原尊組。ふたりの世界観を北京のリンクで存分に表現するときがやってきた。

1 執筆者 Chiaki Nishimura
KOMATSUBARA Ice Dance
(2022 Getty Images)

バンクーバー2010男子シングルの銅メダリスト**高橋大輔**が引退後にアイスダンサーとしてリンクに戻ってきて以来、注目度が高まったアイスダンス。

この種目での日本選手のオリンピック出場枠は「1」。高橋と平昌オリンピック出場の**村元哉中(むらもと・かな)のかなだい組と、全日本選手権で好成績を残してきた小松原美里小松原尊**組らを中心に代表争いが繰り広げられ、多くのフィギュアファンが見守る中、その座をつかみとったのは小松原美里&小松原尊組だった。

2月12日20:00(日本時間)に始まる、**北京オリンピック**のフィギュアスケート・アイスダンスを前に、「チームココ」こと、小松原組のこれまでの歩みを振り返ってみよう。

全日本選手権3連覇

表情豊かにリンクを舞う小松原美里は15歳でシングルからアイスダンスに転向した。日本ジュニア選手権では3連覇を果たし、国内外の選手とパートナーを組んだ後、米国出身で1歳年上のティム・コレト(小松原尊)と組み始めたのは2016年のことである。

公私ともに息の合ったふたりは2017年に結婚し、2018年、2019年の全日本選手権で2年連続優勝。2020年にコレトは日本国籍を取得し、日本名を小松原尊として、新たな門出となった同年の全日本選手権で、小松原組は3連覇を達成した。

(2021 Getty Images)

チームココ、二人三脚

チームの愛称は小松原の「小」とコレト「コ」を合わせて「チームココ」。

感情的で息の合った演技で観客を魅了するふたりだが、ここまでの道のりは決して平坦ではない。2019年7月には美里が転倒によって脳しんとうを起こし、一時は下半身の麻痺や言語障害も発症。競技復帰も危ぶまれる中、リハビリに専念したこともあった。そんな時もふたりで支え合って乗り越えてきた時間や、向き合ってきた感情がチームココの演技を別のレベルへと昇華させたことは想像に難くない。

北京オリンピックの国・地域別の出場枠をかけた2021年3月の世界選手権では19位となり、日本の出場枠1枠獲得に貢献した。

2021年5月にはYouTube「こまつばら家の滑る話」チャンネルを開設。アイスダンスを普及したいという思いと、コロナ禍で大変なときに「笑顔になってもらいたい」という思いで始めたこのチャンネルでは自然体のふたりが映し出され、共にスケートを楽しむ様子が溢れ出している。

憧れの存在、高橋大輔

1992年生まれの美里は、6つ上の高橋大輔と同じ岡山出身で、ふたりは同じスケートリンクで育った先輩と後輩。幼いころに美里が憧れた高橋が、今では同じアイスダンサーとしてリンクに立つ。憧れの存在である一方、長年アイスダンスに取り組んできた小松原組にとって負けられない相手でもある。

2021年11月のグランプリシリーズNHK杯では、かなだい組が6位、チームココが7位。その差は7ポイント。同大会で美里は肘の靭帯を損傷し、ワルシャワ杯を欠場したが、全日本選手権のための調整を続けてきた。

そして大注目の舞台となった、12月の全日本選手権。

アイスダンスを制したのは4連覇を成し遂げた小松原組だった。代表の座は今シーズン勢いを増していたかなだい組か、それともアイスダンスで実績を積み、全日本を制した小松原組か。多くのフィギュアファンが固唾をのんで見守る中、北京への切符は小松原組にわたった。

2月4日〜7日の日程で実施された北京2022のフィギュアスケート団体戦にも出場し、「自分たちは足を引っ張る存在」(小松原美里)と自分たちにプレッシャーをかけながらも大きなミスのない演技でチームの銅メダルに貢献した小松原組。12日からはふたりだけの戦いが始まる。

アイスダンスの日程は、リズムダンスが20:00(日本時間)、フリーダンスが14日19:00(同)。お見逃しなく!

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