バレーボール日本代表 2024年 総まとめ! VNL、オリンピック、石川祐希・髙橋藍ら移籍…

バレーボールネーションズリーグでの男女準優勝からパリ2024オリンピック、石川祐希・髙橋藍・関菜々巳らの移籍、古賀紗理那の引退、フィリップ・ブラン監督の退任とロラン・ティリ新監督就任まで、バレーボール日本代表 2024年をプレイバック!

1 執筆者 Olympics.com
2023年に他界した藤井直伸さんの思いを背負って戦った男子日本代表は、パリ2024オリンピックの最後の試合後、藤井さんの写真を手に記念撮影を行った。
(2024 Getty Images)

バレーボールネーションズリーグ(VNL)そしてパリ2024オリンピック。2024年も熱のこもったプレーでスポーツファンを魅了したバレーボール日本代表の選手たち。

オリンピックイヤーの締めくくりとして、また、世界選手権や日本開催のVNLも控える2025年を前にバレーボール日本代表の2024年の出来事を5つの角度から振り返ってみよう。

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男子日本代表、47年ぶりの準優勝とマッチポイントからの涙

男子日本代表にとってオリンピックの前哨戦として5月にバレーボールネーションズリーグ(VNL)。石川祐希率いる日本代表はオリンピックメダルを期待させるプレーで、予選ラウンドを通過して決勝トーナメントに進出。準々決勝・準決勝も順調に勝ち上がり、決勝ではフランスと対戦。結果は1-3で敗北となったが、主要国際大会では1977年ワールドカップ以来47年ぶりの準優勝という快挙に沸いた。

バレーボールネーションズリーグ、男子日本代表が準優勝

VNLで多くの人の記憶に残っているのは、予選ラウンド3週目フィリピン大会でのフランス代表チームとの一戦だろう。東京2020オリンピック王者を相手にセットカウント0-2からの逆転勝利。数ヶ月後に控えるオリンピックの開催国がフランスであるだけに、夏に始まるパリ2024オリンピックに向けて期待を抱かせる前哨戦となった。ハイライトを動画で振り返ろう!

その勢いで挑んだパリ2024では、予選ラウンドで1勝(アルゼンチン)2敗(ドイツ、アメリカ合衆国)と苦戦しながらも決勝トーナメントに駒を進め、準々決勝で強豪イタリア代表と対戦。2セットを先取して3セット目ではマッチポイントにまで迫ったものの、そこから逆転負け。男子日本代表のメダル獲得という夢は打ち砕かれる結果となった。

キャプテンの石川は、「勝つチャンスを持っていながら、最後1本決められず、キャプテンとして不足だったし、一人のエースとしても力不足だった」と肩を落とした。

またフィリップ・ブラン監督は、シーズン総括の中で「準々決勝で敗れたのは事実ですが、今大会の本当のターニングポイントはドイツとの第4セットでした。私たちはこのセットに勝つ、つまりセットカウント3-1で勝利を収める十分な可能性がありました。そうなっていれば、精神的にも、また準々決勝前の順位も、完全に変わっていたでしょう」とし、準々決勝では「第3セットを落としても諦めない、意志が固く闘志あふれるチーム。敗れはしましたが、ファンの皆さんと日本のバレーボール界は、このチームを誇りに思うことができると信じています」とコメントした。

女子日本代表、ブラジルを撃破してつかんだVNL準優勝

女子日本代表にとってはオリンピック出場枠をかけて挑んだ5月のVNLでは、チームの気持ちの強さや集中力が初戦から発揮され、強豪・トルコ代表とのフルセットの激闘を制して勝利。予選ラウンド5位で決勝トーナメントに進んだ日本代表は、キャプテン・古賀紗理那を軸にアジアのライバル中華人民共和国代表チームを沈め、準決勝では世界ランキング1位に立っていたブラジルとのシーソーゲームを制して決勝進出を決めた。

決勝はイタリア代表との一戦。2セットを先取された日本は、井上愛里沙を中心に得点を重ねて第3セットを奪ったが、力及ばずセットカウント1-3で敗退。敗れはしたもののパリ2024出場枠も掴み、2014年のワールドグランプリ(VNLの前身)の準優勝以来、10年ぶりに表彰台に立った。大会後、古賀紗理那が「ベストアウトサイドヒッター賞」に、小島満菜美が「ベストリベロ賞」に選出された

VNLでは、古賀紗理那が「ベストアウトサイドヒッター賞」に、小島満菜美が「ベストリベロ賞」に選出された。

(volleyballworld)

7月のパリオリンピックではブラジル、ポーランド、ケニアと同組で予選に挑んだ日本代表は、VNLで見せたような勝負強さを発揮することはできず、1勝(ケニア)2敗(ブラジル、ポーランド)でグループ3位に。2012年ロンドンオリンピックで銅メダルを獲得し12年ぶりのメダルを目指したものの、決勝トーナメント進出はならず9位という結果で4年に1度のオリンピックを終えた。

石川祐希がペルージャ、髙橋藍がサントリーへ移籍

クラブチームでの活動において、2024年に新たな一歩を踏み出した日本代表選手は少なくない。

イタリア1部セリエAに参戦して9年目となった石川は、2020年から所属していたミラノで自身初そしてクラブ初の3位でシーズンを終え、10シーズン目からは強豪・ペルージャへ移籍した。

一方、同じくイタリアで活躍していた髙橋藍は3季プレーしたセリエAを離れ、日本のサントリーに移籍。新たに誕生したSVリーグの新シーズンでの躍動を誓った。

また、ロサンゼルス2028オリンピックに向けて活躍が期待される24歳の大塚達宣(たつのり/アウトサイドヒッター)が大阪ブルテオン(旧パナソニックパンサーズ)を退団して、イタリア・セリエAのミラノに加入。21歳の高橋慶帆(けいはん/オポジット)はパリ2024代表入りはならなかったものの、ジェイテクトからフランス・リーグAのパリに移籍した。

女子では、セッターの関菜々巳が東レアローズを退団し、イタリア・セリエAのイモコ・コネリアーノに加入。リベロの福留慧美がデンソーを退団しミラノに加入した。福留は12月下旬に終了したFIVB女子世界クラブ選手権でミラノの銅メダル獲得に貢献。また昨年からイタリアでプレーするアウトサイドヒッターの石川真佑が、イタリア・セリエAのフィレンツェから同リーグのノヴァーラに移籍した。

さらに、リベロの小島満菜美は7シーズンを過ごしたNECレッドロケッツ川崎を離れ、アメリカ合衆国で新しく創設されたプロリーグ、リーグワンバレーボール(LOVB)のソルトレイクに加入。2023/2024シーズンをブラジル・スーパーリーグのマリンガで過ごしたセッターの松井珠己(たまき)も同チームに移籍した。

女子代表キャプテン・古賀紗理那が引退「やり切った」

2013年から日本代表として活躍し、2021年からは女子代表のキャプテンを務めた古賀紗理那が引退した。

大会後、古賀はソーシャルメディアに「結果は望んでいたものではなかったですが、私たちがチームで駆け抜けてきた3年間はとても価値のあるもので、私の誇りです。この3年間はずっと忘れないと思います」と綴った。

後日行われた引退会見では、「東京オリンピックが終わって主将をやると決めたときから、パリオリンピックで選手を引退すると決意してやってきた」ことを明かし、「後悔なく最後までやり切ることができた」と清々しい笑顔で語った。

フィリップ・ブラン監督が退任、ロラン・ティリ新監督就任

2017年から日本代表のコーチを務め、2021年の東京オリンピック後に監督に就任したフィリップ・ブラン監督がパリオリンピックを最後に任期を満了し、退任した。

監督として選手から絶大な信頼を集めていたブラン監督。同監督のもとで大きく成長した髙橋藍は、パリオリンピックのイタリア戦の直後、「ブラン監督に勝たせてあげられなかった」と悔しさをにじませたことからも監督と選手たちとの関係性を垣間見ることができる。

ブラン監督は、日本バレボール協会を通じて発表したシーズン総括の中で、「私はこれからも、日本代表チームのファンであるだけでなく、あなた方選手たちのファンであり続けます。あなたたちは皆、まだまだ多くのことを見せることができます。そして、スキルを伸ばし続けるためにオープンな心を保ってください。さらにプレーを楽しむことができるでしょう」とコメントした。

ブラン監督の後任として、11月末にはロラン・ティリ監督の就任内定が発表された。フランス男子代表チームをおよそ10年にわたって率いた経験を持つティリ監督は、記者会見で「私のオリンピックなどでの監督経験を掛け合わせることで、また新たな力が生まれ、この先のロサンゼルス2028オリンピックに向かって飛躍できると思う。表彰台を目指していきたい」と意気込みを語った

一方、女子代表の真鍋政義監督も今季で任期を満了。「次のロサンゼルス2028オリンピックを目指すチームが世界の強豪国と互角に戦うためには、選手個々の技術、経験を積み重ねることはもちろん、戦術・戦略を磨き上げることが急務です。このチームが3年の間に経験してきた67試合の中で核となる試合を中心にしっかり分析して、次のサイクルを戦うチームへと引き継ぐつもりです」とコメントした。

女子代表の新監督はまだ発表されていないが、バレーボール界では2025年にVNLと世界選手権が予定されている。新たな日本代表の戦いに注目したい。

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