日本バレーボール協会(JVA)は12月2日、次回夏のオリンピックとなるロサンゼルス2028の出場を目指すバレーボール男子日本代表の新監督に内定したロラン・ティリ氏(写真中央)の就任会見をオンラインにて行った。
この会見には、川合俊一会長(写真右)と南部正司男子強化部長の2人も同席し、会見の冒頭では川合会長が複数の候補者の中から全会一致でティリ氏を新監督に選出したことを明かした。
フランス代表チームのメンバーとして、ソウル1998とバルセロナ1992のオリンピック2大会連続出場の経験をもつティリ氏は、現役引退後には監督として手腕を発揮し、東京2020では男子フランス代表チームを金メダル獲得に導いた実績を持つ。現在は、大阪ブルテオン(旧:パナソニックパンサーズ)の監督として指揮を執っている。
会見で語ったティリ新監督のコメントやメディアの質問に応じた回答は、以下の通り。
「大きな名誉であるとともに、大きな責任も同時に感じている」
「この度、このような名誉なご指名を受けまして、大変嬉しく存じます。私自身は20年間、選手としてバレーボールに馴染み、その後また20年を指導者として過ごしてまいりました。現在、日本代表チームは大変優れた選手たちが集っており、素晴らしいチームだと思っています。私にとって、こうした優れたチームを率いて、 またこれまでよりもさらなる高みを目指すということは大変名誉なことでございます。こうした名誉な役職にお選びいただきまして、すべての皆様に感謝しますとともに、代表チームを率いるということで大変光栄に感じております」
「(日本代表の監督を務めることは)大きな名誉であるとともに、大きな責任も同時に感じているところです。日本は強いチームですし、大きな目標へ向かって責任があると思っています。すでに高い技術、戦績を残しており、また技術力を持った日本代表チームに、私のオリンピック等々の監督経験、これらを掛け合わせることでまた新たな力が生まれ、この先のロサンゼルスオリンピックへ向かってまた飛躍ができるものと思います。(LA28では)表彰台を目指してまいります」
- 日本の文化に適用するため、フランスのナショナルチームの時と異なるマネジメントやコーチングをする部分はあるのか?
「私のバレーボール哲学、バレーボールへの考え方、こうしたものは、日本のバレーボールに通じるところがあるのではないかと思っています。 ひとつには、基礎的なこととしては技術力に重点を置くということ。それから、ソリダリティー。チームメートへの信頼、チームメイトとの連携ということが大事だと思います」
「現実的に、体格的には日本は世界を圧倒するというチームではないと思います。ですので、ひとつひとつのアクションやプレー、こういったものが大変重要になってきます。それから、メンタルも重要です。集中力、それからモチベーションが大変重要です」
「これまで異なる国のチームを通じての経験ですけれども、私はバレーボールはサーブとレシーブから始まるという風に考えます。 サービスに関しては、体格の差にかかわらず、素晴らしいサーブを打つことができる。ですので、サービスはすごく大事な要素です。 そしてレシーブ。これがすべての起点です。攻撃の起点となる正確なレシーブ、これが大事だと思います。サイドアウトの時に、自分たちにすごく自信がある、着実にポイントを取れる。そういった状況を作れるようになると、ゲームの流れをぐっと引き寄せて展開していくことができます。もうひとつはブロックです。ブロックに続くディフェンス。これがうまく連携していくこと。これが大事です。以上がざっと私のバレーボール哲学ということになるかと思います」
「ロサンゼルスオリンピックに向けて進むべき道は、ひとつだと思います。それまでに行われるそれぞれの国際大会全てで表彰台を取りに行く、そういった気持ちで臨むことが大切です。この道は平坦ではないと思います。時には、成功するでしょう。時には、(表彰台成績が)取れないこともあると思います。取れなかった場合には、なぜ自分たちは表彰台に上がれなかったのか。それをしっかりと分析して、次へ活かしていくことが大切です」
「世界の強豪チーム、例えばイタリア、ポーランド、フランス、アメリカと渡り合っていく。大きな大会の厳しいプレッシャーの中で戦いをする。そして経験と勝利を重ねることで、ロサンゼルスオリンピックでの目標となる表彰台が見えてくるのではないか。それしか道はないと思います」
- 年明けには春高バレーが始まる。日本のティーンエージャー選手をどのように見ているか?
「日本のバレーボール選手、高校生あるいは大学生、若い選手たちも大変高いレベルにあると思います。アメリカとは違ったシステムがあると思いますが、大変素晴らしい育成をしていると思います。若手選手の中には大変技術で優れたものを持っている選手もおりますけれども、体格の面で移行の余地があるという選手もいます」
「日本の特徴、そして、これは問題にもなりうるかとも思うのですが、高校生は高校生の大会、 大学生は大学生の大会ということで組み分けがしっかりとされております。ただ、これは逆に、その枠を超えて違う年代の選手と一緒にプレーをするという機会が少ないということでもあります。その部分がもう少しあればいいかなとも思います」
「大学のレベルでプレーする選手の中には、大学のリーグや大会においては優れた成績を発揮するけれども、プロのレベルになると、なかなか思うようなパフォーマンスが発揮できない、そういったケースも見られると思います。ですので、ひとつステップを上げた場合に、すぐに即戦力になれない、あるいは結果が出るまでに時間がかかるといったことが起こっているのではないでしょうか」