日本のお家芸として、国内外から多くの注目を集めるスポーツのひとつといえば、「JUDO=柔道」。
その柔道の国際大会で、国際柔道連盟(IJF)が主催する「東建コーポレーション presents グランドスラム東京2022(以下:グランドスラム東京)」が、東京体育館(東京都渋谷区)にて12月3日から4日までの2日間にわたって開催される。
今大会では、オリンピック同様に男女それぞれ7階級、合計14の体重別グレードで個人種目が実施され、日本からは各階級に4名の代表選手がエントリーしており、男女各28名、合計56名がホームで開催される畳上の戦いに挑む。
ここでは、グランドスラム東京をもっと楽しむために、大会の概要や放送予定、注目の日本代表選手を紹介しよう!
■日程
12月3日(土)
- 予選ラウンド 9:30開始予定
- 決勝ブロック 15:30開始予定
実施階級
- 男子 73kg級、81kg級、90kg級
- 女子 57kg級、63kg級、70kg級
12月4日(日)
- 予選ラウンド 11:00開始予定
- 決勝ブロック 17:30開始予定
実施階級
- 男子 60kg級、66kg級、100kg級、100kg超級
- 女子 48kg級、52kg級、78kg級、78kg超級
■放送予定
12月3日(土)
- 地上波:テレビ東京系列6局ネット(16:00-18:00)
12月4日(日)
- 地上波:テレビ東京系列6局ネット(18:30-21:00)
■注目の日本代表
女子
女子の注目すべき選手といえば、やはり52kg級代表の阿部詩だろう。Tokyo2020では、兄の一二三と共に、兄妹でオリンピック金メダルを獲得するという金字塔を打ち立てたことは記憶に新しい。さらに、2022年10月にウズベキスタン・タシケントで開催された世界柔道選手権大会(以下:タシケント2022)では、ふたたび兄妹で世界の頂点に並び、また女子オリンピック金メダリストでは唯一世界王者に輝いたことから、開幕まで2年を切ったパリ2024の国内代表選考レースでも、一歩抜き出た強さをアピールしている。
このグランドスラム東京で阿部詩は優勝することができれば、2023年5月にカタール・ドーハで開催される世界柔道選手権大会(以下:ドーハ2023)の代表にも決定し、パリへの道もより一層近づくことができそうだ。
阿部詩と同様に、タシケント2022で優勝を飾ったのが、63kg級の堀川恵と48kg級の角田夏実の2人だ。代表選考基準に基づき、タシケント2022の王者がグランドスラム東京でふたたび表彰台の中央に立つことができれば、ドーハ2023の畳上に日の丸を背負って挑戦することができる。
しかし、日本のお家芸のスポーツでは、世界の柔道家はもちろんのこと、国内選手同士の対決もすでに激しい火花を散らしている。なぜなら、パリ行きのチケットは、各階級で1枚しかないので、なんとしてもドーハ2023の日本代表となって、その強さを世界にアピールしなければならないからだ。まず、堀川の63kg級には、Tokyo2020で初採用された男女混合団体戦で銀メダルを獲得した髙市未来(旧姓:田代)が、2大会オリンピック連続出場を狙っている。また、角田の48kg級には、成長著しい古賀若菜もエントリー。グランドスラムより、カテゴリーやポイントの格付が1つ下がるけれども、IJFワールド柔道ツアーのひとつである「グランプリ」のザグレブ大会(2022年7月・クロアチア)において、古賀は堂々の優勝を果たした。このグランドスラムでも、優勝しか見えていないことは間違いない。
このほか、Tokyo2020で金メダルを獲得している78kg級の濵田尚里と78kg超級の素根輝にも注目だ。タシケント2022では、濱田は表彰台を逃し、素根は代表から落選してしまった。東京でオリンピックメダリストとなった2人が、同じ東京という舞台で、どんな巻き返しを見せるのかーー。
男子
男子の注目選手は、まず100kg級代表のウルフアロンを紹介したい。Tokyo2020の同階級で金メダルを獲得して以降、怪我などの影響により、日本代表にも選出されていたが、ウルフは実戦の場から離れることを余儀なくされていた。グランドスラム東京に出場するため、2021年に日本で開催されたオリンピック以来、およそ1年3ヶ月ぶりに講道館杯(2022年10月)で競技畳の上へと戻り、表彰台成績を残して、この国際大会の出場権を勝ち取った。YouTuberとしても高い人気を誇るオリンピックメダリストが、パリ2024の2連覇に向けて、いったいどんな成長を見せるのか。
また、81kg級代表でTokyo2020金メダリストの永瀬貴規にも注目だ。タシケント2022では、優勝は逃したものの、3位銅メダルで表彰台に滑り込んだ。このグランドスラム東京で、永瀬はオリンピック王者の矜持を見せつけられるか。
さらに、リオ2016で金メダルを獲得している90kg級代表のベイカー茉秋の再起からも目が離せない。Tokyo2020での2連覇を期待されていた王者は、2019年11月のグランドスラム大阪で、まさかの3回戦敗退。その後は、怪我に悩まされ、国内代表レースからも遠ざかり、Tokyo2020の出場を逃した。そんなベイカーが、前述の講道館杯で堂々の優勝を飾り、このグランドスラム東京の出場権をもぎ取った。無念だったグランドスラムという大会、オリンピック出場を果たせなかった東京という場所。彼にとって、このグランドスラム東京という機会は、「新章・リベンジ」を始めるのに最高の舞台だ。
グランドスラム東京は、男女それぞれ28名、合計56名の日本代表がエントリーしており、全体では男子216名、女子151名、合計367名の柔道家が頂点を目指してトーナメントを争う。
■グランドスラムとは?
IJFワールド柔道ツアーを構成する「グランドスラム」は、世界選手権、ワールドマスターズに次ぐ、ランクの高い国際大会として位置付けられており、2022年は東京大会を含む合計9のグランドスラムが、以下の通り予定されている。日本でのグランドスラムは、2019年に大阪で開催された以来、3年ぶりの大会となる。
- 2月7−8日 フランス・パリ(終了)
- 2月17−18日 イスラエル・テルアビブ(終了)
- 4月1−3日 トルコ・アンタルヤ(終了)
- 6月3−5日 ジョージア・トビリシ(終了)
- 6月24−26日 モンゴル・ウランバートル(終了)
- 7月8−10日 ハンガリー・ブダペスト(終了)
- 10月21−23日 UAE・アブダビ(終了)
- 11月4−6日 アゼルバイジャン・バクー(終了)
- 12月3−4日 日本・東京
さらに、開幕まで2年を切ったパリ2024柔道の出場権は、グランドスラムを含む国際大会での成績によって決まるIJF世界ランキングに基づき、NOC(国内オリンピック委員会)出場枠が配分されることとなっている。また、同ランキングのポイント集計対象となる「オリンピック予選期間」の大会は、2022年6月24日から2024年6月23日までの2年間と決まっており、このグランドスラム東京も対象となっている。なお、現時点(2022年11月29日)で、IJFオリンピックランキングは準備中となっている。
■日本代表選手
※2022年11月29日時点