世界水泳2023福岡・飛込競技の見どころ、パリ2024への切符を手にするのは?

パリ 2024

パリ2024出場がかかる世界水泳2023福岡の飛込競技。玉井陸斗や三上紗也可など、国内外の注目選手、競技の基礎知識など観戦に役立つ情報を紹介しよう。

2 執筆者 Chiaki Nishimura
Rikuto Tamai
(2023 Getty Images)

年に一度の世界水泳選手権が7月14日にいよいよ幕を開ける。

22年ぶりに日本・福岡開催となるこの大会は、まず飛込(7月14日〜22日)、アーティスティックスイミング(7月14日〜22日)の2競技からスタートし、オープンウォータースイミング/マラソンスイミング(7月15日〜20日)、水球(7月16日〜29日)、競泳(7月23日〜30日)、ハイダイビング(7月25日〜27日)が続く。

最初に実施される2競技のうち、飛込はパリ2024オリンピック出場枠さらには日本代表の座をかけた戦いとなる。

飛込・個人種目では12位以内、シンクロ種目では次のオリンピック開催国のフランスを除いて決勝3位以内の選手が所属する国内オリンピック委員会にパリ2024の出場枠が割り当てられる。日本水泳連盟では、その結果を出した選手をパリ2024の日本代表内定とすることを発表している。選手たちはこの大会のために厳しいトレーニングを積み、最高のパフォーマンスを発揮すべく準備してきたことだろう。ゆえに、ハイレベルの戦いが繰り広げられることは間違いない。

ここでは世界水泳2023福岡の飛込競技観戦をより楽しむための情報をまとめた。

世界水泳2023 飛込の注目選手は?

高飛込・玉井陸斗をはじめ、日本男子は5選手出場

日本からは男子5選手、女子4選手が出場を予定している。

男子選手の中でも大きく注目されるのが、パリ2024でのメダル獲得を目指して奮闘する16歳の玉井陸斗だ。14歳10ヶ月で東京2020に出場した玉井は、飛込競技(10m高飛込)で日本人選手として21年ぶりに決勝進出を果たし、7位に入賞した。前回の世界選手権の男子10m高飛込では、同種目で日本史上初の銀メダルを獲得。今年5月のワールドカップ・モントリオール大会の予選では、国際大会で自身初となる「100点超え」を達成し、決勝でも合計513.45点を叩き出して2位に輝いた。世界選手権はこの1年の成長の証を日本の観客の前で示す絶好の機会となる。

そのほか、須山晴貴は前回の世界選手権の3m飛板飛込、大久保柊は10m高飛込でそれぞれ12位。須山は荒木宥図とともに今年のワールドカップ・モントリオール大会のシンクロナイズドダイビング3m飛板飛込で銅メダルを獲得しており、自身のソーシャルメディアで「今は特別でも、この景色を当たり前に」と今後の活躍を誓う。このメンバーに東京2020シンクロナイズドダイビング高飛込で8位となった伊藤洸輝が加わる。

  • 須山晴貴(はるき/25)男子3m飛板飛込・男子シンクロナイズドダイビング3m飛板飛込
  • 玉井陸斗(16)男子10m高飛込・男子1m飛板飛込
  • 大久保柊(しゅう/26)男子10m高飛込
  • 荒木宥図(ゆうと/27)男子シシンクロナイズドダイビング3m飛板飛込
  • 伊藤洸輝(ひろき/23)男子1m飛板飛込・混合シンクロナイズドダイビング10m高飛込

前回大会2位の三上紗也可が3m飛板飛込で上位を狙う

女子では前回ブダペスト大会の3m飛板飛込で7位、シンクロナイズドダイビング3m飛板飛込で2位となった22歳の三上紗也可が今大会では3m飛板飛込にエントリーするほか、同種目で昨年大会10位となった26歳の榎本遼香も出場する。

高飛込では昨年大会で個人種目6位、シンクロ種目4位の荒井祭里、荒井とともにシンクロ高飛込4位になった板橋美波が出場する。

前回大会の順位だけを見れば、12位以内(シンクロ種目では3位以内)でのパリ出場枠および日本代表内定は遠くないが、前回大会とは異なり、他国の選手らもパリ2024出場を目指して調整して福岡に姿を現す。選手たちがその中でどんな戦いを見せるかを見届けたい。

  • 三上紗也可(22)女子3m飛板飛込
  • 榎本遼香(はるか/26)女子3m飛板飛込
  • 荒井祭里(まつり/22)女子10m高飛込・女子シンクロナイズドダイビング10m高飛込
  • 板橋美波(みなみ/23)女子シンクロ高飛込・混合シンクロナイズドダイビング10m高飛込

中華人民共和国勢の演技にも注目

飛込の強豪国として、圧倒的な存在感を示すのが中華人民共和国出身の選手たち。昨年の世界水泳ブダペスト大会では、実施された13種目を同国代表選手が総なめにした。

その中でも、東京2020オリンピックのシンクロナイズドダイビング3m飛板飛込で金メダル、個人3m飛板飛込で銀メダルを獲得した21歳のワン・ゾンユエン(王宗源)は最も注目される選手のひとり。昨年大会では3冠(1m飛板飛込、3m飛板飛込、シンクロナイズドダイビング3m飛板飛込)を達成した。

そのほか、世界選手権で3度の優勝経験を誇る25歳のヤン・ハオ(楊昊)、シンクロナイズドダイビング10m高飛込でヤンとパートナーを組む22歳のリアン・ジュンジェ(練俊傑)も優勝を目指して福岡に降り立つ。

同国代表女子選手では、昨年大会で優勝したチェン・ユーシー(陳芋汐/10m高飛込、シンクロナイズドダイビン10m高飛込)や、クアン・ホンチャン(全紅嬋/シンクロナイズドダイビン10m高飛込、チーム種目)といったオリンピック金メダリストが会場に詰めかけた飛込ファンを魅了することだろう。

飛込はどんな競技?

飛込の種目は大きく分けて2種類あり、ひとつが3m(または1m)の高さに設置された弾力性のある板を利用して演技を行う「飛板飛込」で、もうひとつが、高さ10mの位置に設けられた台から飛び込む「高飛込」。男女それぞれで個人種目が実施されるほか、シンクロナイズド種目では2人1組となり、美しさやダイナミックさに加えて、同調性が採点対象となる。

競技フォーマットは飛板飛込も高飛込も同様で、世界選手権やオリンピックなどの大会では男子が6回、女子が6回演技を行い、その合計点数を競う。

世界水泳2023の飛込競技では、以下13種目が実施される(※印はオリンピックでも実施される種目)。

個人種目

  • 女子1m飛板飛込(予選・決勝)
  • 男子1m飛板飛込(予選・決勝)
  • 女子3m飛板飛込(予選・準決勝・決勝)※
  • 男子3m飛板飛込(予選・準決勝・決勝)※
  • 女子10m高飛込(予選・準決勝・決勝)※
  • 男子10m高飛込(予選・準決勝・決勝)※

シンクロナイズド種目・団体種目

  • 女子シンクロナイズドダイビング3m飛板飛込(予選・決勝)※
  • 男子シンクロナイズドダイビング3m飛板飛込(予選・決勝)※
  • 女子シンクロナイズドダイビン10m高飛込(予選・決勝)※
  • 男子シンクロナイズドダイビング10m高飛込(予選・決勝)※
  • 混合シンクロナイズドダイビング3m飛板飛込(決勝)
  • 混合シンクロナイズドダイビング10m高飛込(決勝)
  • チーム3m/10m(決勝)

どの種目も決勝は12人(組)で競われ、準決勝がある種目では、予選上位18選手が準決勝に進む。

世界水泳2023 飛込競技の日程

以下すべて日本時間。

7月14日

  • 10:00 女子1m飛板飛込予選
  • 15:00 男子1m飛板飛込予選

7月15日

  • 09:00 男子シンクロナイズドダイビング3m飛板飛込予選
  • 12:30 混合シンクロナイズドダイビング10m高飛込決勝
  • 15:30 女子1m飛板飛込決勝
  • 18:00 男子シンクロナイズドダイビング3m飛板飛込決勝

7月16日

  • 10:00 女子シンクロナイズドダイビング10m高飛込予選
  • 14:30 男子1m飛板飛込決勝
  • 18:00 女子シンクロナイズドダイビン10m高飛込決勝

7月17日

  • 09:00 女子シンクロナイズドダイビングナイズド3m飛板飛込予選
  • 12:30 男子シンクロナイズドダイビング10m高飛込予選
  • 15:30 女子シンクロナイズドダイビング3m飛板飛込決勝
  • 18:00 男子シンクロナイズドダイビング10m高飛込決勝

7月18日

  • 10:00 女子10m高飛込予選
  • 14:30 女子10m高飛込準決勝
  • 18:00 団体3m/10m決勝

7月19日

  • 09:00 男子3m飛板飛込予選
  • 15:30 男子3m飛板飛込準決勝
  • 18:00 女子10m高飛込決勝

7月20日

  • 09:00 女子3m飛板飛込予選
  • 14:30 女子3m飛板飛込準決勝
  • 18:00 男子3m飛板飛込決勝

7月21日

  • 09:00 男子10m高飛込予選
  • 15:30 男子10m高飛込準決勝
  • 18:00 女子3m飛板飛込決勝

7月22日

  • 15:30 混合シンクロナイズドダイビング3m飛板飛込決勝
  • 18:30 男子10m高飛込決勝

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