日本代表5選手が出場! オリンピック予選シリーズ上海大会ブレイキンの見どころ

パリ 2024
1 執筆者 Chiaki Nishimura
Breaking Ayumi Fukushima
(GETTY IMAGES)

ブレイキンスケートボード(ストリート、パーク)、BMXフリースタイル・パーク、スポーツクライミング4競技のオリンピック最終予選となる「オリンピック予選シリーズ」(OQS)がいよいよ上海で幕をあける!

オリンピック予選シリーズでは、4競技のアスリートたちが一堂に会し、オリンピック出場を目指して5月16日〜19日に上海6月20日〜23日にブダペストで戦いを繰り広げる。

同シリーズの出場資格を得たブレイキンのアスリートは、およそ35カ国から集まった男女それぞれ40人。この中からオリンピック開催国枠(1枠)、ユニバーサリティ枠(2枠)を除いて男女それぞれ7人がオリンピック出場枠を得る。

日本からは、BガールAmiのダンサー名で活躍する湯浅亜実(あみ)、Ayumiこと福島あゆみ、BボーイISSINこと菱川一心(いっしん)ら5人が出場を予定している。オリンピック予選シリーズ上海大会ブレイキンの注目選手、日程、ライブ配信情報を紹介しよう。

パリオリンピック・ブレイキンの出場枠を確保するには?

パリ2024でオリンピックデビューを果たすブレイキンでは、男女それぞれ16人がその舞台に立つことになる。そのうち男女6人ずつが世界選手権および大陸予選を通じてすでに出場枠を確保。残り10人は、開催国枠(1)、ユニバーサリティ枠(2)そしてオリンピック予選シリーズ(7)を通じて決定する(※)。

日本勢は、BボーイShigekixこと半井重幸(なからい・しげゆき)が大陸別予選となったアジア競技大会で優勝し、オリンピック出場枠を確保した。各国が獲得できる出場枠は最大で男女2枠ずつ。日本男子はこのオリンピック予選シリーズで残り最大1枠、女子は最大2枠をかけてダンスバトルに挑むことになる。

オリンピック予選シリーズ上海大会、ブダペスト大会では、それぞれの大会の結果に応じてポイントが与えられ、その合計点の上位7人がオリンピック出場枠を確保できる。

各大会で得られるポイントは1位が50ポイント、2位が45ポイント、3位が41ポイント、4位が38ポイント、5位が36ポイントで、6位以降は1ポイントずつ減っていき、最下位の40位は1ポイントを得る。つまり、上海大会でたとえトップ7に入れなかったとしても、望みが断たれるというわけではない。しかし、多くの選手にとって、できるだけ高位置につけてブダペスト大会を迎えるのが理想のシナリオと言えるだろう。

※オリンピック各国代表の編成に関しては国内オリンピック委員会(NOC)が責任を持っており、パリ2024への選手の参加は、選手が属するNOCがパリ2024代表選手団を選出することにより確定する。

オリンピック予選シリーズ上海大会ブレイキンの注目選手

BガールはAyumi、Ami、Rikoに注目

オリンピック予選シリーズ上海大会のブレイキン競技には、男女それぞれ40人が出場する。名を連ねるのは、世界選手権や大陸予選で好成績を残して出場資格を得たブレイカーや、世界ダンススポーツ連盟主催の国際大会でランキングポイントを重ね、上位に入った選手たち。

女子種目(Bガール)で最も注目されるのが、2019年と2022年の世界選手権を制したAmi(湯浅亜実)だ。国内外の第一戦で長年活躍してきたAmiは、大陸予選となったアジア競技大会の決勝で中華人民共和国代表のBガール671に敗れ、パリ出場枠獲得はお預けに。Amiは今大会の表彰台候補の筆頭に挙げられる。

一方、2021年の世界選手権で優勝しているAyumi(福島)は、オリンピック出場枠がかかった2023年の世界選手権・決勝でリトアニアのNickaに敗れ、出場枠獲得には至らなかった。しかし、アジア競技大会、アジア選手権と好成績を残しており、Amiとともに決勝・日本人対決が実現する可能性も少なくない。

世界トップ選手を擁する日本女子には、もうひとり実績を積み重ねている若きブレイカーがいる。それが沖縄県の高校に通うRikoこと津波古梨心(つはこ・りこ)だ。Rikoは2023年の世界選手権で惜しくも表彰台を逃して4位、2023年12月のブレイキンフォーゴールドシリーズでも格の高い大会で優勝を果たして世界ランキングを駆け上がった。

オリンピックの舞台に立てるのは各国2人まで。Ami、Ayumi、Rikoの3人とも表彰台を狙えるだけに、誰が出場枠を掴むのかがオリンピック予選シリーズの最大の焦点となるだろう。

このほか、パンアメリカン競技大会で準優勝となったコロンビアのLuma、同3位のLa Vix(アメリカ合衆国)、ヨーロッパ競技大会で2位のStefani(ウクライナ)らが上位争いに名乗りを上げることが予想される。

そして地元中国の選手らも、すでに出場枠を獲得した671に続くべく、上海で最高のパフォーマンスを披露するはずだ。アジア競技大会4位のYing Ziのほか、Ziyanが出場する。

BボーイはISSINとHiro10が熾烈な代表争い

日本のスポーツファンにとっては、男子種目(Bボーイ)でもオリンピック代表争いが最大の注目ポイントとなる。

日本からはBボーイISSINとHiro10(大能寛飛=おおの・ひろと)がオリンピック予選シリーズに出場する。高校を卒業したばかりのISSINはオリンピック予選を兼ねて行われた国際大会シリーズでめきめきと力をつけ、2月の全日本選手権では国際大会で表彰台常連のShigekixを破って頂点に上り詰めた。オリンピックで「ISSIN」らしさを爆発させるため、コンディションを万全に整え上海に向かう。

そのISSINとオリンピック代表の座を巡って鎬を削っているのが、親友でもあり、ライバルでもあるHiro10だ。Hiro10は昨年夏にカナダで行われた大会で表彰台に立つと、そこで得た自信に後押しされるかのように、スキルを磨き成績を残してきた。目標とするオリンピックを前に、自らの成長をすべてぶつける舞台がこのオリンピック予選シリーズとなる。

アメリカ合衆国でも代表争いに注目が集まっている。同国では2023年の世界選手権で優勝したVictorがオリンピック出場枠を確保しており、残り1枠をめぐって、トップブレイカーのJeffroとGravityがオリンピック予選シリーズに挑む。

そのほか、アジア競技大会の決勝でShigekixに敗れ、パリ出場枠獲得に1歩届かなかったHongten(大韓民国)、アジア選手権優勝のWing(大韓民国)、同準優勝のX-Rain(中華人民共和国)も、個性的なパフォーマンスで大会を大いに盛り上げることだろう。

オリンピック予選シリーズ・ブレイキンに出場予定の日本選手

Bガール

  • Ami=湯浅亜実(ゆあさ・あみ)
  • Ayumi=福島あゆみ(ふくしま・あゆみ)
  • Riko=津波古梨心(つはこ・りこ)

Bボーイ

  • ISSIN=菱川一心(ひしかわ・いっしん)
  • Hiro10=大能寛飛(おおの・ひろと)

オリンピック予選シリーズ・ブレイキンの出場選手一覧はこちら

上海大会ブレイキンの日程

以下、現地時間。括弧内は日本時間。スケジュールは変更になる可能性もある。

5月18日(土)

  • 15:15(16:15)Bボーイ 1次予選(プレセレクショ)
  • 15:15(16:15)Bガール 1次予選(プレセレクショ)
  • 19:00(20:00)Bガール 2次予選(プレクオリファイヤー)
  • 20:15(21:15)Bボーイ 2次予選(プレクオリファイヤー)

5月19日(日)

  • 10:00(11:00)Bガール ラウンドロビン(グループステージ)
  • 13:45(14:45)Bボーイ ラウンドロビン(グループステージ)
  • 17:30(18:30)Bガール 決勝トーナメント
  • 17:30(18:30)Bボーイ 決勝トーナメント

オリンピック予選シリーズ上海、ライブ配信

5月16日〜19日に中華人民共和国・上海の黄浦(ホアンプー)で行われるオリンピック予選シリーズ上海大会の模様は、Olympics.comのOlympic Channnelでライブ配信予定。お見逃しなく。

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