サーフィンWSLファイナルの見どころと日程、注目の選手は?

今シーズンのトップ5選手が参加して行われるWSLファイナルが9月8日〜16日のいずれか1日に米カリフォルニア州サンクレメンテで開催される。カリッサ・ムーア、イタロ・フェヘイラ、五十嵐カノアなどオリンピックのメダリストなどがタイトルをかけた戦いに挑む。

1 執筆者 Ash Tulloch | Created 6 September
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(2021 World Surf League)

波乱のレギュラーシーズンを終え、ワールド・サーフ・リーグ(WSL)がまもなくファイナルを迎える。

1年を通してチャンピオンシップ・ツアーポイントを積み重ね、女子トップ5と男子トップ5に上り詰めたサーファーらが、1日限りのフィナーレに向けて準備を進めている。

大会が実施されるのは9月8日〜16日の間で1日で、波の状態によって決定する。予報によれば、最初の数日間に実施されることが予想されている。

果たして新しいチャンピオンは誕生するのか、あるいはすでに頂点を経験したサーファーらがその輝かしいキャリアに新たな彩りを添えるのか。このイベントのフォーマットと見どころを紹介しよう。

サーフィンWSLファイナル2022:出場を決めた男女トップサーファー

チャンピオンシップ・ツアーポイントによって男女それぞれトップ5選手がファイナルに出場する。

女子WSLファイナル 5

  1. カリッサ・ムーア(アメリカ合衆国、ハワイ)
  2. ジョアン・ドフェ(フランス)
  3. タティアナ・ウェストンウェブ(ブラジル)
  4. ブリサ・エネシ(コスタリカ)
  5. ステファニー・ギルモア(オーストラリア)

男子WSLファイナル 5

  1. フィリペ・トレド(ブラジル)
  2. ジャック・ロビンソン(オーストラリア)
  3. イーサン・ユーイング(オーストラリア)
  4. イタロ・フェヘイラ(ブラジル)
  5. 五十嵐カノア(日本)

サーフィンWSLファイナル2022のフォーマット

大会は1日ですべての戦いが行われ、優勝者が決まる。昨年初めて導入され、カリッサ・ムーアが自身5度目の優勝、ガブリエウ・メジーナが自身3度目の優勝を果たした。

ファイナルのフォーマットを詳しくみてみよう。

  • ランキング1位の女子選手(カリッサ・ムーア)と男子選手(フィリペ・トレド)は「タイトルマッチ(王者決定戦)」のチケットを手にする。 タイトルマッチでは3ヒートが行われ優勝者が決定する。

  • その他の4選手はタイトルマッチにたどり着くため、以下の勝ち抜き戦を行う。

  • 第1戦:ランキング5位のサーファー(ステファニー・ギルモア/五十嵐カノア)がランキング4位の選手(ブリサ・エネシ/イタロ・フェヘイラ)と対戦し、勝者が第2戦に進む。

  • 第2戦:第1戦の勝者とランキング3位の選手(タティアナ・ウェストンウェブ/イーサン・ユーイング)が対戦し、勝者が第3戦に進む。

  • 第3戦:第2戦の勝者とランキング2位の選手(ジョアン・ドフェ/ジャック・ロビンソン)が対戦し、勝者がタイトルマッチに進む。

  • タイトルマッチ:第3戦の勝者がランキング1位の選手と対戦し、3ヒートを行って世界チャンピオンが決まる。

  • 男女交互に対戦が行われ、まず女子第1戦からスタートし、男子第2戦へと続く。

サーフィンWSLファイナル2022の見どころ

女子ファイナル

オリンピック金メダリストのカリッサ・ムーアは、輝かしいシーズンを送っている。2022年に行われたWSLの大会は10を数え、そのうち昨シーズンの覇者であるムーアは表彰台に6回に立ち、「タイトルマッチ」へのチケットを手にした。ムーアは過去に5度の優勝経験を持つことからも、6度目の栄冠を手にする可能性は高い。

ファイナルに出場する女子サーファーの中で、世界タイトルの味を知っているのはもうひとりステファニー・ギルモアだけ。優勝回数7を誇るオーストラリア出身のギルモアは、5位でファイナルへの出場権を獲得した。彼女にとって8度目となる世界タイトルを獲得することは簡単ではないが、彼女の経験を考えると当日何をやってのけるかはわからない。

レギュラーシーズンを終えて2位につけているのが、フランスのサーファー、ジョアン・ドフェパリ2024に向けたフランスの期待の星として多くの人から注目が集まる中、ドフェは初の世界タイトルに照準を合わせている。

タティアナ・ウェストンウェブブリサ・エネシは、どちらも最高のシーズンを送っている。ブラジルのウェストンウェブは、昨年のタイトルマッチでムーアと対戦しており、初めてのタイトルを獲得するためには今年も同じ、いやそれ以上のことをする必要がある。

男子ファイナル

今年はフィリペ・トレドの年となるだろうか。ブラジル出身のトレドは、東京2020の出場権を逃した悔しさをバネに、2022年は目を見張る成績を収めた。過去に2勝を挙げ、あと一歩のところで王座に就けなかった経験を持つだけに、今年こそはと意気込んでいるに違いない。27歳の彼は、これまでに2位、3位、4位(2回)に入賞している。特筆すべき点として、今回のビーチは彼のホームウェーブともいえる存在で、彼のスタイルがこの場所に適していることも忘れてはならない。

そんな彼にとっても簡単に優勝できるわけではない。オーストラリア出身のジャック・ロビンソンイーサン・ユーイングは、自分たちの存在をアピールするためにやってくるだろう。

一方、オリンピック王者のイタロ・フェヘイラは、異例の事態に陥っている。2017年以来初めて、今年はまだ1勝を挙げていないのだ。Globoの取材に対し、「まだ勝っていないものの、今シーズンは僕のベストシーズンだった」と語ったフェヘイラ。2019年の大会を制した実力の持ち主だけに、ファイナルでは特別なパフォーマンスを見せてくれることだろう。

五十嵐カノアは長い間、世界タイトルに飢えていた。昨年は8位に終わり、ファイナル進出はならなかったが、今回は最も近い位置にいる。タイトルマッチでトレドと対戦するためには、3つの戦いを勝ち抜かなければならずその道は容易ではない。しかし、東京オリンピックで銀メダルを獲得した経験を踏まえると、五十嵐がそのプレッシャーに耐えることができるのは明らかだ。

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