世界45ヶ国のスケーターおよそ200人がローマのコレオピオ公園に集結し、太陽が燦々と降り注ぐ夏のローマをさらに熱くした。
6月26日〜7月3日に行われたこの大会は、ストリート・スケートボーダーが**パリ2024**に向けたオリンピック世界スケートボードランキング(OWSR)のポイントを獲得できる最初の大会で、世界トップレベルの選手から、初めて国際大会に出場するような未来のスター選手までが熱い戦いを繰り広げた。
日本から今大会に参加したのは、昨年の国内大会や東京オリンピックで好成績を残した女子10、男子8の合計18人。日本選手らの戦いを振り返ってみたい。
スケートボード日本女子、表彰台を独占
エントリーした10選手のうち、欠場した**西村碧莉を除いて全員が準々決勝に進出する活躍を見せた日本女子。最終日の決勝では8人中5人が日本勢で、1位が中山楓奈、2位が西矢椛、3位が織田夢海**(ゆめか)と続き、わずか0.29ポイント差で赤間凛音(りず)が4位、6位が吉沢恋(ここ)となった。
日本女子の活躍はこの結果を見れば一目瞭然だが、こうした目に見えること以外でも特筆すべき点は多い。
「表彰台を日本で独占できて嬉しい」
今大会をこうまとめたのは、東京2020オリンピックの金メダリスト西矢だ。西矢は2位となった今回の大会を、仲間と表彰台を共有できたことへの喜びの言葉で語り、個人競技ではあるものの、スケーター同士のつながりの強さ改めて感じさせた。
また、準決勝後に「決勝ではバーレーグラインドを決めたい」とOlympics.comに話していた赤間は、緊張が最高潮に達した決勝の舞台で見事その技を決めるという勝負強さを示した。
一方、決勝前には「ここまで来られたのが奇跡」と語っていた吉沢が、決勝6位という成績に悔しい気持ちを抱くなど、世界トップレベルの舞台に立ったアスリートの成長も垣間見られる大会となった。
難易度の高い技が炸裂
男子では高難度の技が次から次へと繰り出され、詰めかけたファンを魅了。優勝した**ナイジャ・ヒューストン**(アメリカ合衆国)が「ローマにこんなに多くのスケートボードファンがいるとは思わなかった」と語るほど、特設された観客席はスケートボードファンで埋め尽くされ、難易度の高い技や独創的な技が成功する度に、会場が一体となってスケーターらを称えた。
ヒューストンに続いたのは、2位**オーレリアン・ジロー(フランス)、3位グスタボ・リベイロ**(ポルトガル)。
日本からは**堀米雄斗**が決勝進出を果たし、決勝では8位に沈んだ。東京2020金メダリストにとっては残念な結果となったが、会場では他のスケーターから声をかけられたり、写真を求められる様子も見られ、オリンピック王者としての人気ぶりを見せつけた。
一方、世界ランキング3位でシード選手として大会に乗り込んできた**白井空良**(そら)は、公式練習開始直後にコースの難しさを語っていたものの、日を追う毎に挑戦自体を楽しんでいる様子が見られ、白井が繰り出す技に観客は歓声をあげた。準々決勝で敗退となったが、多くの観客にスケートの面白さを伝えたことは間違いないだろう。
世界ランキング18位で大会に挑んだ**青木勇貴斗**(ゆきと)は、ジャッジの採点に不満げな表情を浮かめるシーンも。しかし、その反応は観客も同じで、青木は「点数に関しては、出ちゃったものはしょうがない。だけど、終わった後にみんなが『よかったよ』って言ってくれて、ジャッジではなくみんなにそう言われたことが嬉しい」とOlympics.comに語り、胸を張った。
選手らはローマでの経験を今後の戦いに活かしていくことになる。次のオリンピック予選大会は10月にブラジル・リオで開催される世界選手権。選手たちがこれからの3ヶ月でどんな進化を遂げるのか、楽しみにしたい。
ストリート・スケートボード・ローマ2022の大会結果
女子
- 中山楓奈(日本)264.13
- 西矢椛(日本)255.64
- 織田夢海(日本)254.91
- 赤間凛音(日本)254.62
- ライッサ・レアウ(ブラジル)247.69
- 吉沢恋(日本)242.51
- クロエ・コベル(オーストラリア)230.59
- パメラ・ローザ(ブラジル)205.80
男子
- ナイジャ・ヒューストン(アメリカ合衆国)279.43
- オーレリアン・ジロー(フランス)275.96
- グスタボ・リベイロ(ポルトガル)261.40
- マティアス・デル・オリオ(アルゼンチン)255.40
- マウロ・イグレシアス(アルゼンチン)255.40
- バンサン・ミル(フランス)247.39
- ライアン・デセンゾ(カナダ)238.26
- 堀米雄斗(日本)169.39