草木ひなの、スケートボード女子パークの世界トップ3に挑む若きスケーター

パリ 2024

スケートボード・パーク種目のオリンピック予選2戦目となる大会が、まもなくアルゼンチン・サンフアンで始まる。1戦目で世界に強いインパクトを残した15歳の草木ひなのとは?

1 執筆者 Chiaki Nishimura
Hinano Kusaki
(World Skate)

スケートボード女子パークでは現在、スカイ・ブラウン(英国)、開心那(ひらき・ここな)、四十住(よそずみ)さくらの3人が主要大会の表彰台を独占する。

東京2020オリンピックでは四十住、開、ブラウンの順でそれぞれ金・銀・銅のメダルを獲得し、2022年のエックスゲームズ(カリフォルニア)、デューツアーも順位こそ異なれどこの3人が表彰台に立ち、2023年2月にパリ2024オリンピック予選1戦目を兼ねて行われた世界選手権では、ブラウン、開、四十住がメダルを獲得した。

この世界トップ3に挑むトップレベルの女子パーク・スケーターは少なくない。アメリカ合衆国出身の選手ではエックスゲーム・メダリストのブライス・ウェットスタインやミナ・ステスなど10代の選手がトップ争いに加わり、英国からは15歳のローラ・タンブリングがブラウン・開・四十住の背中を追う。

こうした選手たちに加わり、自身初の国際大会で好成績をおさめたのが草木ひなのである。

国際大会デビューで4位入賞

2008年生まれの草木は、小学2年の11月に母親の影響を受けてスケートボードを始めた。本格的に乗り始めたのは、それから数年後のことで、練習場で出会ったスケーターのかっこよさに触れ、スケートボードに「はまった」という。技やスタイル、スピード感、そこから生み出される高いエアのかっこよさ。そして先輩スケーターの人間性。スケートボード文化を取り巻く環境に魅了されながら、草木は技を磨いていった。

13歳で迎えた2021年12月の日本選手権。過去には、初代女王の座に四十住、2代目に開が就いてきたこの大会で、草木は3代目の女王として表彰台の頂点に立つと、翌2022年の同大会では2連覇を達成。国内での実績を積み重ねていった。

そして2023年2月のパーク世界選手権では、日本代表選手として国際大会デビューを果たす。

オープン予選を15位で難なく通過すると、準々決勝は首位通過。初の国際大会ながらも、「そこまで緊張せずにいけました。日本の大会と変わらず滑れたと思います」と頼もしい一言。準決勝ではブラウンに続く2位で決勝に駒を進め、決勝では3位の四十住と0.65点差で表彰台にわずかに届かず4位。大会が終わる頃には、観客からサインを求められるまでになっていた。

大会前は「準決いけたらいいな」という感覚だったというが、決勝後には「悔しい気持ちでいっぱい」と草木。「次のアルゼンチン大会までに技の完成度を高め、構成を考えたい」と目を輝かせた。

その大会が5月21日〜28日の日程でアルゼンチン・サンフアンで行われる。

「自分のルーティーンをフルメイクすること」。それは多くのスケーターが掲げる目標で、草木も同様に、自分を信じて自分のパフォーマンスを披露する。その一方で、ブラウン・開・四十住という「壁」の存在も認識している。

「3人が『絶対』という感じなので、次のアルゼンチンでは崩しにいきたいです」

スケーターたちがそれぞれの技やスタイルを披露し、ぶつかり合うスケートボード。若きスケーター、草木の挑戦を見届けたい。

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