平野歩夢はどんな夢を歩もうとしているのか。
平野が初めてオリンピックに出場したのは、15歳のときだった。ソチで行われた2014年の冬季オリンピックで、スノーボード男子ハーフパイプ種目に出場し、銀メダルを獲得。冬季オリンピックで日本史上最年少(当時)のメダリストとなった。
だが、それは夢への通過点だった。
4年後の冬季オリンピック平昌2018では再びハーフパイプで銀メダルを獲得。2021年に行われた東京2020ではスケートボードに切り替えて夏季オリンピック出場を果たした。
さらにその後、半年間の準備期間を経て再び雪の世界に戻り、北京2022で「幼い頃から見ていた夢=オリンピック金メダル」を手にした。
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次のオリンピックは来年夏に行われるパリ2024夏季オリンピック。平野は再びスケートボードでオリンピックを目指すのか。
大会後の3月にOlympics.comが行ったインタビューで、平野は「周りに自信を持って(パリを目指すと)言えるほど甘くない世界というのを、前回(スケートボード男子パーク種目に)出てみて実感しています」とし、「簡単に決められない部分と、実際そんな簡単じゃないと感じている部分があるので、結構考えていて、迷っているというか。ふといきなりやる気になったらやるかもしれないです」と語った。
その後も2つの競技との向き合い方については明言を避けてきた。
だが、アラブ首長国連邦シャルジャで2月5日に始まったスケートボード・パーク世界選手権に出場する。この大会にはおよそ120人以上の男子パーク・スケーターが世界各地から集まり、パーク世界王者の座とパリ2024オリンピック出場権を獲得するためのランキングポイントをかけて戦いを繰り広げる。競技は女子と男子のオープン予選から始まり、準々決勝、準決勝、決勝が続く。
1月28日に米コロラドのアスペンで行われたウィンターXゲームズのスノーボード・スーパーパイプに出場したばかりの平野は、アスペンから12日後となる2月9日にパーク世界選手権の男子オープン予選を迎える。
平均最高気温4℃のアスペンから、平均最高気温25℃のシャルジャへ。時差は11時間。
それだけではない。世界選手権後に平野は米コロラドに戻り、2月24日〜26日に行われるデューツアーでスノーボーダーとして大会への出場を予定している。
決して簡単な挑戦ではない。平野はどんな世界を開こうとしているのか。その姿をアラブ首長国連邦シャルジャで多くの人が目にすることになるだろう。
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