北京2022オリンピックのフィギュアスケート女子シングルで銅メダルを獲得し、その翌月にフランスのモンペリエで行われた世界選手権で世界女王の座を手に入れた坂本花織。
競技の面だけでなく、明るい性格で日本代表のムードメーカー的な存在となるなど、日本のエースとしてフィギュア界を盛り上げている坂本が、2連覇のかかる全日本フィギュアスケート選手権の舞台に戻ってくる。
坂本にとって10度目となる全日本選手権を前に、これまでの成績を振り返ってみよう。
全日本選手権デビューは2013年の13歳
4歳のときにフィギュアスケートを始めた2000年4月生まれの坂本は、ジュニア時代の2013年に初めて全日本選手権に出場した。
当時13歳。鈴木明子、村上佳菜子、浅田真央が表彰台に立ったこの大会で、坂本は親しい友人でありライバルでもある三原舞依とともに初出場を果たすと、ショートプログラム(SP)で9位、フリースケーティング(FS)では16位となり、総合15位でデビュー戦を終えた(三原は12位)。
翌年の全日本選手権は、坂本にとってステップアップした大会で、SP7位、FS6位で総合6位に入賞。上位入賞者で行われる「オールジャパン・メダリスト・オン・アイス」にも出場した。
平昌2018オリンピック後に全日本初優勝
ダイナミックさとスピード感が持ち味の坂本が大きく飛躍したのはシニアに移行した2017/208シーズンだ。
17歳になっていた坂本は、このシーズンにグランプリシリーズに初参戦すると、2戦目のスケートアメリカで宮原知子に続いて2位。その勢いのまま臨んだ2017年の全日本選手権でも2位となり、5度目の参戦で初めて表彰台に立ち、笑顔をはじけさせた。
同大会は平昌オリンピックの代表選考を兼ねて行われ、この結果により、坂本は宮原とともに日本代表入り。年明け1月の四大陸選手権では見事優勝し、2月の平昌オリンピックでは堂々とした演技を披露して6位に入賞。トップスケーターへの階段を一気に駆け上がっていった。
トップレベルの戦いで得た経験や感覚は、翌年のモチベーションやパフォーマンスにつながっていく。
2018年にグランプリファイナル初出場を果たした坂本は(結果は4位)、12月に大阪で行われた全日本フィギュア選手権でSPを終えて2位。優勝の2文字がちらつく中、FSで最終滑走者としてリンクに立つと、圧巻のパフォーマンスで観客を沸かせて逆転優勝。グランプリファイナルを制した紀平梨花や5連覇がかかっていた宮原をおさえての初優勝となった。
北京2022オリンピック出場をかけた2021年の全日本
FSで映画「マトリックス」の曲を採用し、多くのファンを魅了した2019年からの2シーズンの全日本フィギュア選手権では、2連覇が期待された2019年大会で精彩を欠いて6位。2020年大会では2位と、2年連続で全日本女王の座を紀平に譲る形となった。
しかし、北京オリンピック代表選考を兼ねて行われた2021年の全日本では、紀平が怪我により欠場する中、2位の樋口新葉と10点以上の差をつけて優勝。自身2度目となるオリンピックへの出場を決め、北京2022では女子シングルで銅メダルを獲得した。さらに、翌月に行われた世界選手権では、日本女子選手としては浅田以来(2014年)となる、世界女王の座についた。
今年12月のグランプリファイナルでは、SPで首位発進したものの、FSではミスが続いて得点を伸ばせず、総合5位。
2連覇がかかる今年の全日本選手権に向けて、前日練習が行われた12月21日には、「ファイナルが終わってから1週間、気持ちもリフレッシュできて、いい感じに切り替えられた」と取材陣に話し、「自信を取り戻した」ことを語った坂本。日本のエースとして、前回大会の優勝者として、さらには世界女王として、坂本は自身10度目の全日本選手権に挑む。
坂本花織の全日本フィギュアスケート選手権の成績
- 2013年 - 初出場15位(優勝は鈴木明子)
- 2014年 - 6位(優勝は宮原知子)
- 2015年 - 13位(優勝は宮原知子)
- 2016年 - 7位(優勝は宮原知子)
- 2017年 - 2位(優勝は宮原知子)
- 2018年 - 初優勝
- 2019年 - 6位(優勝は紀平梨花)
- 2020年 - 2位(優勝は紀平梨花)
- 2021年 - 優勝