12月22日から26日までの5日間にわたり、東和薬品RACTABドーム(大阪府門真市)にて「第91回全日本フィギュアスケート選手権大会」が開催される。北京2022が閉幕し、次の冬季オリンピック、ミラノ・コルティナ2026に向けたサイクルが動き出したばかりだというのに、多士済済の日本のフィギュアスケーターたちは、2023年3月に日本開催となる世界フィギュア選手権大会(会場:さいたまスーパーアリーナ)の代表の座をかけて、熾烈なバトルを繰り広げている。
ここでは、12月11日にイタリア・トリノで閉幕したばかりのグランプリファイナル(以下:GPファイナル)で、日本史上初となるペア金メダルを獲得した「りくりゅう」こと、三浦璃来/木原龍一のふたりや、同じくシングルで優勝を果たした宇野昌磨と三原舞依も出場する全日本フィギュア選手権2022の注目選手や放送予定を、紹介していこう。
■注目選手
▼男子シングル
- 宇野昌磨(GPファイナル 優勝)
- 山本草太(同上 2位)
- 佐藤駿(同上 4位)
- 三浦佳生(同上 5位)
- 鍵山優真(北京2022 銀メダル)
- 友野一希(四大陸選手権2022 銀メダル)
こうして名前を見るだけでも、男子シングルの選手層の厚さを感じられる。
男子シングルの世界選手権出場枠は「3」。まず、全日本2022の優勝者で、「1」枠は埋められる。残り「2」枠の選考で重要になる点が、全日本2022で表彰台成績の順位(3位以上)に入ることと、GPファイナルで日本勢の上位2名である点だ。そうすると、オリンピック2大会連続メダリストに輝き、GPファイナルで優勝した宇野昌磨と、リレハンメル2016の冬季ユースオリンピックで金メダルを獲得しており、GPファイナルで初めて表彰台に上り銀メダルを獲得した山本草太が、選考レースで頭一つ抜きん出た印象を受ける。
しかし、他のスケーターたちも、全日本2022での雪辱を目指しているに違いない。GPファイナルで惜しくも、メダルを逃した佐藤駿と三浦佳生は、とくにそのリベンジに燃えていることだろう。また、GPファイナル出場行きを逃した友野一希、壷井達也、島田高志郎らの巻き返しにも注目だ。さらに、この全日本2022が今シーズンの初戦となる、北京2022銀メダリストの鍵山優真も、いったいどんなパフォーマンスを披露するのか、目が離せない。
▼女子シングル
- 三原舞依(GPファイナル2022 優勝)
- 渡辺倫果(同上 4位)
- 坂本花織(同上 5位)
- 河辺愛菜(北京2022 代表)
- 紀平梨花(全日本2020 優勝)
男子と同様に、世界選手権の出場「3」枠をかけた女子シングルの争いも、熾烈を極めそうだ。
注目は、GPファイナルで初出場ながら初優勝を果たし、世界にその名を轟かせた三原舞依だろう。北京2022選考から漏れてしまった三原は、無念を力に変えるように、昨シーズンの四大陸選手権では堂々の金メダルを獲得する。その後のオフシーズンでは、単身でカナダへと渡り、羽生結弦さんを指導したブライアン・オーサー氏のキャンプに参加して、テクニックとメンタルの強化に努める。その努力が功を奏し、三原は今季の国際大会で表彰台の中央ばかり独占中。破竹の勢いのまま、初の全日本女王タイトル獲得となるか、注目だ。
世界選手権の選考基準については男女で違いがないことから、この選考レースでトップを走る三原の背中を最も近くで追いかけているのが、期待のホープ渡辺倫果だ。GPシリーズ第2戦では、北京2022代表の樋口新葉の今シーズン休養の発表を受けて、急遽出場することとなった渡辺だったが、SP(ショートプログラム)6位から、FS(フリースケーティング)で圧巻の演技でドラマティックな逆転優勝を成し遂げ、GPシリーズ初出場ながら初優勝を飾ったことは記憶に新しい。上位6名にしか招待されないGPファイナルにも、渡辺はアンダーラインが引かれるギリギリの6位に滑り込んで出場権を獲得。そのファイナルでは、3位のスコアと僅差で4位となり、表彰台を逃してしまったが、その成長は計り知れない。
このほか、北京2022で銅メダルを獲得した坂本花織、同じく代表を務めた河辺愛菜のふたりも、ここぞという場面で上位に食い込む強さを全日本2022で見せることができるのか。そして、北京2022のメダル候補として注目を浴びながら、怪我によりオリンピックシーズンの欠場を余儀なくされた紀平梨花の "リスタート=再生" からも、目が離せない。
▼ペア
- 三浦璃来/木原龍一(GPファイナル2022 優勝)
- 村上遥奈/森口澄士(ジュニアGPファイナル2022 4位)
「りくりゅう」こと、三浦璃来/木原龍一の躍進には、目を見張るものがある。
北京2022を含むオリンピックシーズン(2021/2022)では、GPシリーズで表彰台成績を収め、世界中の選手やフィギュアスケートのファンから一目置かれる存在となった「りくりゅう」は、北京2022で日本代表史上最高位となる7位入賞を果たす。
そして、ミラノ・コルティナ2026に向けた最初のシーズン(2022/2023)では、GPシリーズ第2戦と第5戦で表彰台の真ん中を独占し、1位通過でファイナル行きのチケットを手にする。そして、そのGPファイナルでは、日本勢初となる金メダルに輝き、新たな歴史を刻み込んだ。「りくりゅう」の活躍もあり、多くの人々がフィギュアスケートのカップル種目に関心をもつようになったことは、紛れもない事実だ。2019年8月にペアを組み始めた三浦と木原は、3大会ぶりに全日本のアイスリンクへ戻ってくる。GPファイナル王者となり、世界を席巻中のふたりが見せる、美しくかつダイナミックな演技に注目したい。
また、「はるすみ」こと、村上遥奈/森口澄士の若きペアは、ジュニア世代のGPファイナルにおいて、上位欠場者による繰り上げで出場し、4位に入った。国際大会での経験と自信を携え、全日本2022での演技はもちろん、今後の成長にも期待したい。
▼アイスダンス
- 村元哉中/高橋大輔 (GPシリーズ2022 最終順位16位)
- 小松原美里/小松原尊 (GPシリーズ2022 最終順位25位)
もうひとつのカップル種目である、アイスダンスの戦いも見逃すことができそうにない。なぜなら、世界選手権のアイスダンス日本代表出場枠は、たった「1」つだからだ。そして、昨年の全日本で北京2022出場枠をかけた熱き氷上バトルが、今年もあの2組で繰り広げられることだろう。
注目アスリートは昨年と同様、「かなだい」こと、村元哉中/高橋大輔と、「チームココ」こと、小松原美里/尊の2組だ。
結成3年目を迎える「かなだい」は、10月にカザフスタンで開催された国際大会、デニステン・メモリアル・チャレンジにおいて堂々の金メダルを獲得し、息のあったパフォーマンスにより磨きをかけている。また、2016年から結成し、競技だけでなくプライベートでも公私にわたるパートナーと信頼関係を築いている「チームココ」の2人もまた、北京2022での経験を活かし、ネクストステージへと滑り始めている。
直近の直接対決となった11月のGPシリーズNHK杯では、かなだいに軍配が上がった。全日本2022のアイスリンクでは、いったいどんなドラマが待っているのだろうか。
■日程・放送予定
※2022年12月14日時点の情報
※生放送・ライブ配信を中心に紹介
第1日 12月22日 女子SP・アイスダンスRD
- 地上波:フジテレビ系列全国ネット(19:00-20:54)
- BS/CS:BSフジ(18:30−19:00)・フジテレビTWO(14:45-15:40、16:20−19:00)
- ネット:TVer(19:00-20:54)・FODプレミアム(14:45-15:40、16:20-20:50)
第2日 12月23日 男子SP・ペアSP
- 地上波:フジテレビ系列全国ネット(19:00-20:54)
- BS/CS:BSフジ(17:00−19:00)・フジテレビTWO(15:30-16:00、16:20-19:00)
- ネット:TVer(19:00-20:54)・FODプレミアム(15:30-16:00、16:20-20:50)
第3日 12月24日 女子FS・アイスダンスFD
- 地上波:フジテレビ系列全国ネット(14:35-15:30、19:00-21:15)
- BS/CS:BSフジ(17:00−19:00)・フジテレビTWO(14:15-15:45、17:00-19:00)
- ネット:TVer(19:00-21:15)・FODプレミアム(14:15-15:45、17:00-21:15)
第4日 12月25日 男子FS・ペアFS
- 地上波:フジテレビ系列全国ネット(19:00-21:15)
- BS/CS:BSフジ(17:00−19:00)・フジテレビTWO(15:25-16:25、17:00-19:00)
- ネット:TVer(19:00-21:15)・FODプレミアム(15:25-16:25、17:00-21:15)
第5日 12月26日 メダリストオンアイス
- 地上波:フジテレビ系列全国ネット(15:45-17:43)
- BS/CS:フジテレビTWO(15:00-18:00)
- ネット:FODプレミアム(15:00-18:00)
SP…ショートプログラム
RD…リズムダンス
FS...フリースケーティング
FD…フリーダンス