世界トップ16のチームで行われるFIVBバレーボールネーションズリーグの男子予選最終戦が大阪でのブラジル戦で終了した。3週にわたって行われた予選を、日本男子は9勝3敗で終え、5位という好成績で上位8チームによるファイナルラウンドへと駒を進めた。
そんな「龍神NIPPON」で次世代のエースとして人気を誇るのが、2001年に京都で生まれた**髙橋藍**(らん)である。
攻守で活躍する髙橋藍
2歳年上の兄・髙橋塁の影響を受けて小学2年でバレーボールを始めた髙橋藍は、2020年1月の春高バレーで主将を務めていた東山高校(京都)を初優勝に導き、その直後に日本代表に招集された。
招集直後は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、公式戦の機会に恵まれなかったものの、2021年に行われた東京2020オリンピックにチーム最年少の19歳で出場。ポジションはアウトサイドアタッカーだが、リベロも経験していることから、攻守で存在感を示し、決勝トーナメント進出に貢献した。
髙橋が繰り出したプレーの中でも、特に相手チームを翻弄したのはカナダ戦などで見せたフェイクトス。バックアタックを打つと見せかけてトスを上げるプレーで髙橋は得点を生み出しただけでなく、ファンの心も鷲掴みにした。
29年ぶりの決勝トーナメント進出という快挙に貢献したとはいえ、初の大舞台となった次世代のエースにとってその結果は、決して満足いくものではなかった。パリ2024オリンピックに向けて経験を積むことの重要性を実感した髙橋は、世界トップレベルの高さで力を磨くために、2021年12月に世界最高峰のイタリア・セリエAに初挑戦した。
気持ちの面での収穫
4ヶ月にわたるイタリアでの武者修行では、セリエAのパドバに所属。スパイカーとしてのスキルを磨くはずが、守備専門のリベロとして起用されるようになり、複雑な気持ちを抱いたというが、海外のトップ選手らとプレーする中で「自信を持ってプレーすること」の大切さを痛感。気持ちの面で大きな収穫になったという。
7月9日に行われたネーションズリーグ3週目のドイツ戦で、龍神NIPPONは**石川祐希や西田有志**などの主力を温存した布陣で挑み、髙橋は積極的にリーダーシップを発揮。次世代のエースとしての責任感を感じさせる活躍でチームの勝利に導いた。ネーションズリーグでのこれまでの得点数を見てみても、西田、石川に続くチーム3位につけている。
上位8チームによるネーションズリーグ男子のファイナルラウンドは、2022年7月20日(水)~24日(日)の日程で、イタリア・ボローニャで予定されている。髙橋はこのファイナルラウンドで再びイタリアの地に戻り、さらなる飛躍を遂げた姿を見せることになるだろう。