2月2日〜4日の日程で行われている柔道グランドスラム・パリ2024は、最終日の2月4日に男子100kg級が行われ、日本代表のウルフ・アロンと新井道大(どうた)が出場。東京2020オリンピック金メダリストのウルフは初戦から着実に勝ち抜き、準決勝ではウクライナのアントン・サビツキを相手に一本勝ちで白星をあげると、決勝では2021年男子90kg級の世界王者、ニコロス・シェラザディシビリ(スペイン)と対戦。残り16秒で内股で技ありを奪って優勢勝ちをおさめ、優勝を決めた。
戦いを終えて畳を降りたウルフは、感極まったとも安堵ともとれる表情を浮かべて天を仰ぐと、観客席でサインを待つファンの子どもたちのもとに歩み寄り、サインに応じた。
3位はアレクサンダル・クコル(セルビア)、ヌリカーン・シャーカーン(Nurlykhan Sharkhan/カザフスタン)。
一方、ウルフと共にパリ2024オリンピック日本代表争いを繰り広げている19歳の新井は、3回戦でクコルに敗れた。
7月26日に開会式が予定されているパリ2024オリンピックに向けて、全日本柔道連盟では実施14階級(男女7)のうち13階級で代表内定選手を発表しているが、男子100kg級だけはまだその1枠が埋まっていない。ウルフにとっては、パリに向けて大きく前進する結果となった。
ウルフ・アロン「まだまだ伸びしろがある勝利」
東京2020オリンピック以降、初めて国際大会で優勝を飾ったウルフは、決勝後に取材陣の質問に答え、「ここまでの道のりがすごい長かった。自分自身としてもここ最後勝たないとオリンピックに繋がらないということで、すべてをかけてやるということを言っていました。練習で培ってきた結果が出て安心しました」と喜びを語った。
また、同日の試合について、「相手にしっかりと圧力をかけながらも自分自身のスタミナが削られていなかったので、そういったところで安心して試合ができた。それが僕自身の持ち味なのかなと改めて感じました」と胸を張った。
さらに、「しっかりとした準備をすると、しっかりとした結果が出てくるということを改めて感じた。自分自身の標準体重だったりとかそういったところをもっと突き詰めてやれば、結果としてもパフォーマンスとしてもっと上がってくるんじゃないかなと思います。まだまだ伸びしろがある勝利になったと思いました」と続けた。
新井道大「なんで『参った』したんだろう」
3回戦でセルビアのクコルに三角絞めで一本負けを喫した新井は、「『待て』だと思って気を抜いたら三角絞めに入ってしまって…」と試合直後のインタビューで話し、「一番やっていない部分が出たんじゃないかと思います。寝技も一応やってはいたんですけど、気が緩んだときとか、一瞬の隙を狙われて負けてしまったことが多かったので、今はちょっと…。なんで『参った』したんだろうという思いです」と、息を整えながら続けた。
オリンピックに向けては、「オリンピックの日本代表が決まるというところで、こういう隙を見せてしまったら当然オリンピックには選ばれないし、切り替えて準備していこうと思います」と語った。
この日は、女子78kg級、女子78kg超級、男子90kg級、男子100kg超級も行われ、女子78kg級の濵田尚里(しょうり)は2回戦敗退、梅木真美は初戦敗退、女子78kg超級の新井万央(まお)は3位決定戦で敗退、男子90kg級の村尾三四郎は初戦敗退、男子100キロ超級の中野寛太は3位となった。
また大会最後の階級となった男子100kg超級の決勝では、同種目でオリンピック金メダル2個を持つテディ・リネール(フランス)がグランドスラム・パリで自身8度目の優勝を飾り、地元ファンで埋め尽くされた会場を沸かせた。