**カーリング**と聞くと、あなたはどの国を思い浮かべるだろうか?
16世紀にカーリングが誕生したとされる発祥の地、美しいスコットランドを思い浮かべた人もいれば、カナダやスイス、北欧諸国など、ウィンタースポーツに豊かな歴史を持つ国を思い浮かべた人もいるだろう。それらの答えは、どれも間違いではない。
この機会に、歴代国際大会で活躍してきた国についてチェックし、まもなく始まる北京2022カーリング準決勝~決勝戦の観戦を楽しもう!
オリンピック競技としてのカーリング
カーリングが初めてオリンピックに登場したのは約100年前のことだが、オリンピックの歴史の大部分はこの四半世紀のうちに作られたものだ。カーリングの男子競技は、1924年の第1回冬季オリンピックで初めて採用されたが、後に廃止され、2度目の開催は1998年の長野大会だった。女子競技は、この長野大会でオリンピックデビューを果たし、ミックス(混合)ダブルスは2018年の平昌大会で初めてプログラムに加わった。
北京2022のミックスダブルスはすでに試合が終了しており、イタリアが金メダル、ノルウェーが銀メダル、スウェーデンが銅メダルを獲得した。(日本は出場していない)
今回は、1998年以降オリンピックの舞台で活躍するチームを輩出した、カーリングの歴史に名を残す国々を紹介しよう。
オールマイティーのカナダ
- 世界ランキング:男子3位、女子5位、混合1位
- オリンピック獲得メダル:11個(金6個、銀3個、銅2個)
- 世界選手権タイトル獲得:男子36回、女子17回、混合2回
カナダは、カーリングの歴史の中で最も成功したチームだ。男女共に、オリンピック、世界選手権で最強国として長年確固たる地位を築いてきた。しかしながら現在はその伝統に反して、平昌2018で優勝したミックスダブルスを除き、世界ナンバーワンの地位を保持できていない。
男子チームは、1959年に初めて世界タイトルを獲得した後、歴史的快挙となる6連覇を達成した。この記録はその後どのチームにも破られていない。また、2017年を最後に、これまでに36回の世界タイトルを獲得している。
カナダ女子チームも歴史的に大きな成功を収め、17回の世界チャンピオンに輝いている(最後の獲得は2018年)。しかし、最近はこの伝統的な強さに陰りが見えてきており、2021年に自国で開催された世界選手権で、男女ともに表彰台に上がることができなかった。
オリンピックでは、1998年以降、男子は常に3位以内に入っていたが(金3個、銀2個)、平昌2018では3位決定戦でスイスに敗れた。女子も男子と同じく5大会でトップ3の実績(金2個、銀1個、銅2個)を残していたが、平昌大会では1次リーグを突破できなかった。
**ケビン・マーティンとジェニファー・ジョーンズ**は、カナダ史上最も偉大なカーラーとして名前が挙げられる。彼らはそれぞれ、オリンピックで金メダルをひとつずつ獲得しており、世界タイトルもジョーンズが2回、マーティンが1回獲得している。
北京2022での男子チームは、既に準決勝進出を決めているが、女子は2月17日の1次リーグ最終戦の結果次第となりそうだ。
世界一のスウェーデン
- 世界ランキング:男子1位、女子1位、混合4位
- オリンピック獲得メダル:8個(金3個、銀3個、銅2個)
- 世界選手権タイトル獲得:男子10回、女子8回、混合1回
- ヨーロッパ選手権タイトル獲得:男子12回、女子21回
現在世界ランキングトップに立つ、スウェーデン男子チームと女子チーム。オリンピックでは、男子が銀メダル、女子は金メダルの実績を持つ。しかしながら、ヨーロッパ選手権で2冠を達成している女子チームが、2011年以降世界タイトルを獲得できていない。
2006年には、**アネット・ノルベリがスキップ(司令塔、チームキャプテン)として、史上初のオリンピックタイトルの防衛(2006年、2010年)に成功した。2019年に、欧州選手権、ミックスダブルス世界選手権、オリンピックの3大世界タイトルを同時に保有する史上初のカーラーとなったアンナ・ハッセルボリ**が、北京2022で再びこの偉業を達成することを目指している。
男子チームも、世界選手権3連覇、欧州選手権6冠の実績を持つ強豪チームだ。チームを率いるスキップの**ニクラス・エディン**は、2個のオリンピックメダル(銀と銅)、5度の世界選手権制覇、7度の欧州選手権王者に輝いているが、オリンピックの金メダルだけが彼のコレクションに欠けている。
男子チームはオリンピックの金メダルを獲得したことがないが、女子チームは過去4大会で3つの金メダル(2006年、2010年、2018年)を獲得し、2014年には銀メダルを獲得している。
北京2022では1次リーグの2月16日時点で男女ともに上位4チームに入り、すでに準決勝進出が決まっている。
王座からそう遠くはないスイス
- 世界ランキング:男子2位、女子2位、混合2位
- オリンピック獲得メダル:7個(金1個、銀3個、銅3個)
- 世界選手権タイトル獲得:男子3回、女子8回、混合7回
- ヨーロッパ選手権タイトル獲得:男子8回、女子6回
2011年以降、スウェーデン女子が世界タイトルを獲得できていないとすれば、その理由はスイスにあるかもしれまない。スイスは、9大会中6大会で優勝を果たし、スウェーデンと同じく世界タイトルを8回獲得している。一方でオリンピックでは、2002年と2006年の2大会で銀メダルと、チャンピオンの座を逃している。
北京2022女子1次リーグで最も好調なスイスは、すでに準決勝進出を決めているが、準決勝の前に、2月17日の1次リーグ最終戦で日本のロコ・ソラーレと対戦する。
男子チームは、スキップのパトリック・レッチャーがチームを牽引し、1998年長野大会で優勝した。しかし、世界選手権においては1992年が最後の優勝となっている。過去7大会中4大会の世界選手権で銅メダル、過去5回のオリンピックで3回の銅メダルと、金メダル獲得を目前にしながらも、表彰台に終わる。欧州選手権では、2013年に優勝したのを最後に、2位2回、3位3回という戦績で、悔しい戦いが続いている。
北京2022では1次リーグの第11試合目を終えて7位で、準決勝進出の望みはなくなった。
イギリス代表選手団、チームGB
- 世界ランキング:男子5位、女子8位、混合7位
- オリンピック獲得メダル:4個(金2個、銀1個、銅1個)
- 世界選手権タイトル獲得:男子5回、女子2回、混合1回
- ヨーロッパ選手権タイトル獲得:男子13回、女子3回
カーリングで圧倒的な強さを誇る、スコットランド。オリンピックでチームGBが獲得したメダルの数が4つしかないのは、異例のことだと言えるだろう。スコットランドで発祥したとされるカーリングだが、英国のカーラーの大半はスコットランドの出身だ。
スコットランド男子チームは、世界選手権の決勝戦に26回出場し、5回世界チャンピオンに輝いている。女子チームは、6回決勝戦進出のうち、2回世界タイトルを獲得している。
シャモニー1924で金メダルを獲得した男子チームGBは、ソチ2014で銀メダルを獲得するまでしばらくオリンピックメダルから遠のいていた。女子はソルトレークシティ2002で優勝した後、ソチ2014で銅メダルを獲得。カーリング一家でスター選手のイブ・ミュアヘッドとそのチームメイトは、平昌2018を4位で終えた後、2021年の世界選手権で不本意な結果に終わったため、北京2022でそのリベンジを誓う。
スコットランドのスキップ、ブルース・ムアが率いる男子チームは、北京2022の1次リーグでスウェーデンに並び首位で準決勝進出を決めている。
急速な成長をみせる国々
1979年以来、ノルウェーが獲得した4つのタイトル(最後の優勝は2014年)を除き、すべての男子世界タイトルをカナダ、スウェーデン、スイス、スコットランドが分け合っている。欧州選手権においても同様で、ノルウェーはこの4か国の優勝を5回阻止している。ドイツは欧州選手権を6回制覇しているが、世界選手権5回の優勝の後、一度もタイトルを獲得できていない。
男子では、1978年以来、世界大会で優勝したことがないアメリカが、オリンピック王者となっている。今回の北京では、1次リーグ最終戦を前に、現時点で4勝4敗の4位につけている。
女子では、平昌大会で開催国の韓国が銀メダル、日本が銅メダルを獲得するなど、アジアの2つの国が有力なメダル候補として浮上している。アジアの女子チームがオリンピックで3位以内に入ったのは、2010年のバンクーバー大会で中国が銅メダルを獲得して以来、2回目となる。2017年と2021年に2度の世界選手権決勝に進出したロシアカーリング連盟も調子を上げてきている。
北京2022日本女子代表のロコ・ソラーレは、1次リーグで現在5勝3敗。スイス、スウェーデンに続き3位につけている。
上位4チームまでが進める準決勝進出が決まる1次リーグ最終戦、日本時間2月17日(木)17:05のスイスとの対戦を応援しよう!
ひとつのオリンピックメダル獲得実績を持つ国
- 銀メダル1個:デンマーク (女子、1988)、フィンランド (男子、1998)、韓国 (女子、2018)
- 銅メダル1個:フランス (男子、1924)、日本 (女子、2018)、中国 (女子、2010)