競技・種目ごとの日本代表の愛称を一覧で紹介: 龍神、雷神、ゴジラ、バード、翼、彗星は?
3/21「阿修羅JAPAN」と「ブルーローズJAPAN」を追加
Tokyo 2020(東京五輪)には、自国開催ということもあり、数多くの日本代表が出場する。競技・種目によっては“愛称”が付けられているものの、わずか2週間に30近くの「〇〇ジャパン」が登場すると、どうしても混乱してしまう。ここでは夏季五輪に出場する代表の愛称を整理する。
■「〇〇ジャパン」の元祖は?海外では?
そもそも愛称やニックネームは、自然発生的に広まるものなので、その起源や歴史を特定することは難しい。例えば「オールブラックス(ALL BLACKS)」は、ラグビーのニュージーランド代表の愛称として広く知られているが、その起源は「ユニフォームの上下が黒い(BLACK)から」「全員がバックス(BACKS)のようにプレーするから、の誤植」と諸説存在している。
ただし、夏季五輪競技の統括団体が定めた「〇〇ジャパン」に関しては「なでしこジャパン」が最も古いようだ。2004年のアテネ五輪を前に、日本サッカー協会(JFA)が公募して決定された。この愛称は好評で、日本女子サッカーリーグ「Lリーグ」も「なでしこリーグ」の愛称で呼ばれるようになり、2006年からは「なでしこリーグ」が正式名称となり、なでしこジャパン」は2011年の新語・流行語大賞にも選ばれている。
また「なでしこジャパン」という愛称を公募するキッカケは、オーストラリア女子サッカー代表「マチルダス」のように、“女子”を付けなくても女子代表だと分かる愛称があった方が良いということだった。なお、豪州男子サッカー代表の愛称は「サッカルーズ」。このことからも、ナショナルチームを愛称で呼ぶ習慣は、日本だけの文化でないことが分かる。
■日本代表の競技別愛称一覧(夏季オリンピック)
かつては単に「競技・種目名+日本代表」あるいは「全日本」という呼称が一般的だったが、競技の魅力を伝える愛称を採用する競技統括団体が増えている。
- トビウオジャパン(水泳・競泳):2009年に決定。戦後活躍した国民的競泳選手、故古橋広之進さんが「フジヤマのトビウオ」と呼ばれたことに由来。
- 翼ジャパン(水泳・飛込):2015年4月に、日本水泳連盟飛込委員会公式ブログ「翼JAPAN」が開設。この時にロゴなども発表されている。
- ポセイドンジャパン(水泳・水球):ギリシア神話に登場する海神ポセイドンのように、水中で力強く躍動してほしいとの願いから。なお「海神チームジャパン」は、ユースアメリカズカップを目指すセーリングチームのことで水球とは別チーム。
- マーメイドジャパン(水泳・アーティスティックスイミング):2006年にTV局が命名。2010年に日本水泳連盟も正式な愛称として採用。
- 韋駄天スプリンターズ(陸上・男子リレー):2014年、公募により決定。足の速い神「韋駄天」のように、どの国よりも速くトラックを駆け抜けてほしいという願いから。
- 椿スプリンターズ(陸上・女子リレー):2014年、公募により決定。「椿」のしなやかな枝のように力強く、日の丸のような赤い花を咲かせ、世界で輝いてほしいという願いから。
- バード・ジャパン(バドミントン):2019年に発表。球技の中で唯一「羽根」を球にしていることなどが由来。
- 侍ジャパン(野球):2008年11月、翌年のWBC(ワールドベースボールクラシック)に向けた愛称として発表。2012年に正式採用となった。
- ソフトジャパン(ソフトボール):2017年7月、東京五輪の追加種目に決まったことを受け、ロゴとともに発表された。
- AKATSUKI FIVE(バスケットボール):2016年に発表。チームカラーの黒×赤を日出ずる国・日本の日の出、暁になぞらえた。以前の愛称は「隼ジャパン」。
- サムライブルー(男子サッカー):2006年、ドイツワールドカップに臨むにあたり命名された。ブルーは、ユニフォームの色「青」から。
- なでしこジャパン(女子サッカー):2004年、アテネ五輪を前に公募で決定。日本女性をたたえる言葉「大和撫子」から。
- フェアリージャパンPOLA(新体操):2007年、株式会社ポーラが公式スポンサーとなったタイミングで命名。妖精のように舞うというコンセプト。
- おりひめジャパン(女子ハンドボール):2013年、公募により決定。1チーム7人でプレーする「7」から「七夕」を連想。
- 彗星ジャパン(男子ハンドボール):2018年、公募により決定。スピーディーな動き、シュートの軌跡が彗星のイメージに合致。以前は「ムササビジャパン」と呼ばれていた。
- さくらジャパン(女子ホッケー):2007年、北京五輪に向けて公募。日本を代表する花「さくら」にちなんで命名された。
- サムライジャパン(男子ホッケー):2008年3月、公募により決定。当初は「さむらいジャパン」だった。
- ゴジラジャパン(柔道):2019年に東宝とコラボする形で発表。日本発祥、伝統、力強さなどのイメージがゴジラと共通するため。
- 雷神ジャパン(空手):2015年に発表。稲妻の光が空手の突きや蹴りのスピード感に通じるなどの理由から命名された。
- クルー・ジャパン(ボート):2009年にロゴマークが決定されるなど、日本ボート協会公式サイトでも、この頃より使用が確認できる。
- サクラセブンズ(女子7人制ラグビー):2013年、公募により決定。15人制の愛称は「サクラフィフティーン」。
- 日の丸セーラーズ(セーリング):2015年、公募により決定。加山雄三氏が日本セーリング連盟の応援団長に就任し、ロゴも発表された。
- 波乗りジャパン(サーフィン):2016年に、公募により決定。
- 卓球NIPPON(卓球):2013年に決定。卓球王国日本の再興という願いを込めて命名された。
- 火の鳥NIPPON(女子バレーボール):2009年、公募により決定。スピーディーなバレーボールで世界の王座を奪還してほしいという願いから。
- 龍神NIPPON(男子バレーボール):2009年、公募により決定。強く、激しく、気高く、世界の頂点を目指し戦ってほしいという願いから。
- 阿修羅JAPAN(男子ボクシング日本代表)ブルーローズJAPAN(女子ボクシング日本代表):2020年3月21日、開催国枠で東京五輪に出場する選手に関する記者会見で発表。報道陣にリードされる形でボーズも作られた。
■まとめ
以上は、競技統括団体が正式に採用・使用している愛称となっている。しかし本来、愛称やニックネームの命名は自由なもの。例えば、フェンシング・エペの有力選手である見延和靖は2019年、報道陣からの質問に答える形で、エペ団体の愛称を「エペジーーン」と名付けた。これはフルーレ、サーブルと分けるための呼称「エペ陣」が由来とされる。この愛称は非公式なものだが、日本フェンシング協会のTwitterなどでも使用されている。
最近では、自力で突破できる白星の波を起こしてほしいという願いから、日本ボクシング連盟の本博国強化委員長が「白波ジャパン」という愛称を口にしたことが報じられている。
多くの日本代表が出場する東京五輪。ちょっとした選手・関係者の発言やSNS上のムーブメントなどからも、新たな愛称が生まれるかもしれない。