世界陸上競技選手権2023:注目の若手海外選手10人

ハンガリーのブダペストで開催されている世界陸上選手権2023。Olympics.comでは、有力選手たちに挑み、世界選手権で初めて表彰台に立つ可能性のある10選手(男子5、女子5)をピックアップして紹介する。

1 執筆者 ZK Goh
Julien Alfred - Jaydon Hibbert - Angelina Topic composite - rising stars 2023 worlds
(Steph Chambers, Valerio Pennicino, Dean Mouhtaropoulos / Getty Images)

8月19日に始まった世界陸上競技選手権2023。27日までの9日間でハンガリー・ブダペストを舞台に繰り広げられるこの大会には、ノア・ライルズエリヨン・ナイトンモンド・デュプランティスカルステン・ワーホルムユリマル・ロハスフェイス・キピエゴン、シャケリ・リチャードソン、ヤコブ・インゲブリクトセンシェリー・アン・フレーザー・プライスなど、陸上界の数多くのスター選手が出場し、最高のパフォーマンスを披露する。

しかし、世界に向けてその存在をアピールするのは、これまでに実績を積み重ねてきたトップアスリートばかりではない。世界の舞台で新たに頭角を現すべく乗り込む若手アスリートも大勢いる。そのなかには昨年、米オレゴン州ユージーンで行われた世界選手権で表彰台に近づいた選手もいる。

Olympics.comでは、ブダペストで注目の若手10人をピックアップ。シニアの世界選手権やオリンピックでメダルを獲得している選手を除く若手選手を、アルファベット順に紹介する(以下、記録は2023年8月15日現在)。

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ラシダ・アデレケ 20歳、女子200m・400m

ナイジェリア系アイルランド人のラシダ・アデレケは、女子400mで注目の選手だ。200mにもエントリーしているが、400mでは今年6月に49秒20を記録し、世界で4番目に速いタイムを叩き出した。これは彼女の自己ベストでもある。世界トップのシドニー・マクラフリンが負傷により世界陸上2023への出場を辞退したことから、アデレケがそのパフォーマンスを再現すれば、メダル争いに加わる可能性は高い。

ジェスウィン・オルドリン 21歳、男子走幅跳

男子走幅跳のジェスウィン・オルドリン(インド)は今年3月、今シーズン世界トップとなる8m42を記録。この記録は、21歳の彼の自己ベストでもある。それ以降、8mを超えたのは2回(うち1回は追い風)だけだが、自己ベストに迫ることができれば表彰台の可能性は十分にある。

ジュリアン・アルフレッド 22歳、女子100m・200m

カリブ海の島国セントルシアの歴代の陸上選手たちは、これまでの世界選手権でまだメダルを獲得したことがない。だが、ジュリアン・アルフレッドは今年、同国の新たな歴史を刻むための好位置につけている。22歳の彼女はNCAA屋外陸上競技選手権の女子短距離の両種目ですでに優勝しており、2023年には女子100mで5位(10秒83)、200mで3位(21秒91、自己ベスト)に立っている。アルフレッドがセントルシアに初の世界選手権メダルをもたらすのか、要注目だ。

マックス・バージン 21歳、男子800m

英国代表のマックス・バージンは昨年の英国選手権で優勝して大きな注目を浴びたが、同年の世界選手権は怪我のため欠場した。現在21歳の彼は、1分43秒52の自己ベストで同国歴代4位につけており、世界の舞台で活躍する準備は整っている。シーズンベストの1分43秒85は、今年の世界最速記録で7番目となる。

タマリ・デイヴィス 20歳、女子100m・4x100mリレー

アメリカ合衆国代表のタマリ・デイヴィスは16歳の頃からプロのトラック・ランナーとして活躍しており、早くからスポンサーたちの注目を集めてきた。ブダペストでは、自己ベスト10秒89を持つ女子100mに出場する。このタイムは、同国選手の中で今年3番目の速さで、世界では8番目の速さとなる。彼女はハンガリーでどれほどのタイムを出すことができるのだろうか?

ビルケ・ヘイロム 17歳、女子1500m

エチオピアのビルケ・ヘイロムは、6月のダイヤモンドリーグ・オスロ大会の1マイル(1609.344m)種目において20歳以下の世界新記録を樹立するなど、すでに素晴らしいシーズンを送っている。1500mの自己ベストは、7月のダイヤモンドリーグ・シレジア大会で記録した3分54秒93。現在の調子なら、1500mでも20歳以下の記録(自己ベストより約3秒速い)にすぐに手が届くだろう。

ジェイドン・ヒバート 18歳、男子三段跳

20歳以下の記録保持者といえば、ジャマイカのジェイドン・ヒバートがいる。ジャマイカはこれまでに世界最高のスプリンターを輩出してきたが、ヒバートは男子三段跳の20歳以下の世界記録保持者であり、3月に室内で17m54、5月に屋外で17m87をマークしている。17m87という記録は今年世界最高で、ヒバートは世界記録保持者であるだけでなく、金メダル候補のひとりでもある。

レツィレ・テボゴ 20歳、男子100m・200m

レツィレ・テボゴ(ボツワナ)は2ヶ月前に20歳になったばかりだが、シニアの国際大会ではすでにその名を轟かせている。男子100mで10代の最速選手であるテボゴは、今季男子100mで9秒93を記録している。200mでは、7月のダイヤモンドリーグ・ロンドン大会で、優勝したノア・ライルズ(19秒47)と接戦を演じ、自己ベストの19秒50を記録した。

アンジェリーナ・トピッチ 18歳、女子走高跳

セルビア代表のアンジェリーナ・トピッチは、18歳ながらもすでに同国の陸上界を席巻している。6月のダイヤモンドリーグ・パリ大会の女子走高跳で1m97を記録し、今季6位タイとなった。今年のトップ10の中で、2000年以降に生まれた女子選手はトピッチのほか、ヤロスラワ・マフチク(ウクライナ)ただひとり。トピッチは17歳で迎えた昨夏のヨーロッパ選手権で銅メダルを獲得しており、これからの活躍が注目される選手である。

エマニュエル・ワニョニ 19歳、男子800m

マックス・バージンが男子800mでヨーロッパを代表する期待の若手選手であるならば、ケニア代表のワニョニは10代のアフリカ勢を牽引する存在だ。18歳だった昨年の世界選手権では決勝に進出し、表彰台に及ばず4位。今年は自己ベストを1分43秒27まで縮めており、2023年のトップ選手のひとりとして名を連ねている。

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