オリンピック総括:東京2020 スポーツクライミングハイライト

オリンピックに初登場したスポーツクライミング。女子は最有力候補のヤンヤ・ガルンブレトが、男子はアルベルト・ヒネス ロペスが金メダルを獲得した。ここでは最も印象的な瞬間やメダルを振り返り、パリ2024を展望する。

写真: 2021 Getty Images

オリンピックへようこそ、スポーツクライミング

世界中に愛好者が存在し、競技者数も急増しているこのスポーツが、東京2020でオリンピックデビューし、大好評を博した。

スピード、ボルダリング、リードをすべて行う複合種目では、スペインのアルベルト・ヒネス ロペスが男子の金メダルを獲得し、有力候補だったヤンヤ・ガルンブレトが女子のチャンピオンになった。

2024年のパリオリンピックでは、スピードが新たに別種目となり、ボルダリングとリードが複合として行われるため、メダル獲得数は倍になる。

ここでは、最も印象的だった5つのトピックスを振り返り、3年後のパリ2024へ向けた展望や、東京大会のリプレイはどこで見られるか、お気に入り選手の次の大会などの情報も合わせて紹介する。

Sport climbing - men's podium, Tokyo 2020
写真: 2021 Getty Images

東京2020 スポーツクライミング トップ5

見どころを振り返ろう:

1:ガルンブレトが素晴らしいパフォーマンスで金メダル獲得

「あまりにうれしすぎて言葉にできません。夢が叶いました」

世界チャンピオンに6度輝き、この大会でも優勝候補の筆頭だった22歳のガルンブレトは、前評判どおり優勝をおさめたあと、そう語った。彼女のメダルは、東京2020でスロベニアが獲得した3つの金メダルのひとつであり、女子選手では第一号だった。

彼女は、最初から最後まで完璧なパフォーマンスを披露した。苦手なスピードで好成績を収めると、ボルダーやリードで本領を発揮した。

「『今日は私の日だ』と思いました」と彼女は独占インタビューで語った。「何も考えず、ただひたすら登りました」。

8月6日(金)の夜、歴史を創ったのはガルンブレトだけではない。ホスト国である日本勢は、野中生萌野口啓代が2-3フィニッシュを決め、銀メダルと銅メダルを獲得した。32歳の野口は、このオリンピックが最後の大会になると話していた。

日本には登山文化が根付いているが、野口は銅メダルを獲得した後、「この大会には日本から2人しか出られないのに、2人でメダルを獲得できた。とても誇りに思います」と胸を張った。

2:ヒネス ロペスがサプライズ優勝。オンドラは6位

女子では有力候補が順当にメダルを獲得したが、その前夜に行われた男子では、18歳のヒネス ロペスが初代オリンピックチャンピオンになるなどサプライズが続出した。

オールラウンドのクライマーとして世界にその名を馳せるチェコ出身の28歳、アダム・オンドラが金メダルの有力候補だと思われていたが、3度世界王者にもなっているリードで、最終クライマーのヤコブ・シューベルト(オーストリア)に追い抜かれると、スコアの計算により6位に転落することとなった。

「いつかオリンピックで登りたい、というのが自分の長年の夢だった」と語ったオンドラ。「望み通りの結果にはならなかったけれど、それでも最高の気分だ。記憶に残る瞬間もあった。それに次の大会に向けてのモチベーションにもなる」

金メダルは、スピードを制したヒネス ロペスの手に渡った。リードでも4位と奮闘したことで、トータル28ポイントで優勝となった。

ナサニエル・コールマンが30ポイントで銀、ベテランのシューベルトが35ポイントで銅メダルを手にした。

「夢が叶った。優勝できるなんてまったく想像していなかった」と試合後に語ったヒネス ロペス。「しっかり集中できていたことが勝因だと思う。ここ数年はそれができていなかったけれど、ここでは自分に集中できた」。

3:スピードクライミング:世界記録とオリンピック記録

決勝でスピードを制したのはヒネス ロペスだったが、予選でオリンピック新記録となる5.45を出したのはフランスのバサ・マウェムだった。

マウェムも決勝進出を決めていたが、リードでフィニッシュする際に筋肉を痛めてしまい、出場は叶わなかった。

女子決勝では、ポーランドのアレクサンドラ・ミロスワフが世界新記録となる6.84をマークして1位となった。

15mの壁を電光石火の速さで登るスピードクライミングは、これまで陸上競技の100m走に与えられていたオリンピック最速種目の称号を獲得している。

4:新競技がオリンピックファンを魅了

スポーツクライミングは、サーフィン、空手、スケートボード、バスケットボール3x3 とともに、東京2020のプログラムに追加された5つの新競技の一つだ。

8月3日(火)から6日(金)の夕方に開催されたこの競技は、世界中のファンや、生中継で観戦した幸運な人々を魅了した。

5:プロクライマー、アレックス・オノルドも注目

世界中の何百万もの人々が、スポーツクライミングのオリンピックデビューに興奮したが、最も著名なクライマーで「フリーソロ」のアドベンチャークライマー、アレックス・オノルドもおそらくその一人だ。

オノルドは、スポーツクライミングの競技開催中にOlympic.comの取材に応じ、「クライミングにとって非常にエキサイティングな瞬間だ。世界中の多くの人たちがやっている競技がオリンピックに追加されるのは楽しいこと。これを見終わったらさっそくトレーニングをしに行くよ!」と語った。

東京2020のリプレイはどこで見られる?

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次の大会は?パリ2024はどうなる?

オリンピックに出場した選手たちがどれほど休暇を取るかは不明だが、IFSCワールドカップシリーズは9月に始まり、ガルンブレトの母国スロベニアでも開催される。

クライミング世界選手権では、ボルダリング、リード、スピードの各種目が9月16日から21日までモスクワで開催され、2021年の締めくくりとして、アジアの国々でさらに4つのワールドカップが予定されている。

開催まで3年を切った2024年のパリ大会では、スポーツクライミングのメダル獲得数は2倍に増える。トップ選手たちの争いはより熾烈になりそうだ。ヒネス ロペスや、アメリカのコリン・ダフィー、韓国のソ・チェヒョンなど、新進気鋭の若い才能も控えている。一方で、ガルンブレトやオンドラなどの主力選手も、パリ大会出場に意欲を燃やしている。

東京2020 スポーツクライミングの全メダルリスト

男子複合

金:アルベルト・ヒネスロペス(スペイン)

銀:ナサニエル・コールマン(アメリカ)

銅:ヤコブ・シューベルト(オーストリア)

女子複合

金:ヤンヤ・ガルンブレト(スロベニア)

銀:野中生萌(日本)

銅:野口啓代(日本)