ジェンダー平等が推進されるオリンピック競技大会において、男女混合種目はまさに重要な役割を担っている。**北京2022**では、4の新種目を含む、合計9の混合種目が行なわれる。
そのなかのひとつが、ソチ2014から採用されている**フィギュアスケート**団体戦であり、平昌2018につづいて北京2022でも実施される。各個人戦に先立って、団体戦はフィギュアスケートの最初の実施種目として、2月4日から始まる。
この団体戦に出場するためには、それぞれのチームは個人4種目(男女シングル、ペア、アイスダンス)のうち少なくとも3種目で1名(組)以上の選手がオリンピック出場権を獲得(クオリファイ)していなければならない。最大10チームがエントリーでき、北京2022では以下のチームが出場する予定だ。
- カナダ
- 中華人民共和国(中国)
- チェコ共和国
- ジョージア
- ドイツ
- イタリア
- 日本
- ROC
- ウクライナ
- アメリカ合衆国(アメリカ)
※アルファベットによるNOC表記順
競技フォーマット
北京2022フィギュアスケート団体戦は、個人戦同様にショートプログラムの予選競技と、フリースケーティングの決勝競技で構成されている。
予選では、男子、アイスダンス、ペア、女子の順で各チーム代表選手がショートプログラムを演技する。そして、獲得したスコアによる順位によって、1位は10点、2位は9点、3位は8点・・・10位は1点というように、各チームへ順位点が与えられる。
予選競技で獲得した順位点の合計により、上位5チームのみが決勝競技へ進出できる。そして、ペア、男子、アイスダンス、女子の順でフリースケーティングを演技する。なお、チーム内で複数の選手がクオリファイしている場合、各チームは最大2名(組)まで、予選に出場していない選手へ交代することができる。また、順位点の付与は予選と同様で、1位に10点(最高)、5位に6点(最低)が与えられる。予選と決勝の獲得順位点の合計で、総合成績が決定する。
もしチームの中で、個人戦3種目でクオリファイしている選手がいるものの、残りの1種目だけクオリファイできていない場合、団体戦に出場するための特別枠をそのチームに付与される。たとえば北京2022の場合、ドイツの男子、イタリアの女子、ウクライナのペアは、個人戦にはクオリファイしていないが、団体戦に出るための特別枠が付与されている。繰り返しになるが、これらの選手は、個人戦には出場することができない。
会場および日程
北京2022フィギュアスケートの全種目は、首都体育館で実施される。また、この会場ではショートトラックスピードスケートも行なわれる。
団体戦は、北京2022フィギュアスケートの最初にメダルが決まる種目として、2月4日より、男子から始まる。そして、アイスダンス、ペアと続く。
その2日後となる2月6日、女子が行なわれ、決勝進出の5チームが決まると、そのまま同日より、男子の決勝競技が行なわれる。
さらにその翌日の2月7日、残りの決勝3種目が行なわれ、いよいよ団体戦のメダルが確定する。ペアを皮切りに、アイスダンス、女子の順で実施される。
北京2022フィギュアスケート競技スケジュール詳細は、こちらから
オリンピアンの言葉
3度の世界王座に輝くアメリカ代表の**ネイサン・チェン**は、団体戦には友情と興奮で満ち溢れていると、2021年4月に行なわれた国別対抗戦でのインタビュー(NBCスポーツ)で語っている。
「チームメイトは全員仲のいい友人で、いい雰囲気やチームの団結力を感じています。なので、最高の仲間たちと共にチームとして戦えることは、本当に特別なものです。自分の役割をしっかりと果たして、楽しみたいと思います」
平昌2018銀メダリストの**宇野昌磨**は、国別対抗戦2021演技後のインタビュー(IFS Magazine)で、個人戦では味わえない団体戦ならではの経験を語っている。
「(フィギュアスケートは)もとが個人競技っていうのもありますし、みんながチームに貢献したいという思い、足を引っ張りたくないという思い、力が発揮できなかった選手には失敗をどうこうではなく、その人その人がみんな満足してくれればいいと全員が言っていました。(今回の自分は)チームメイトに支えられてばかり」
注目チームと選手
過去2大会では、カナダ(平昌2018金メダル)、ROC(ソチ2014金メダル)、アメリカの3チームが団体戦の表彰台に連続して上っている。
世界チャンピオンに輝く**アンナ・シェルバコワと、世界最高得点を記録するカミラ・ワリエワを擁するROCは、北京2022団体戦の金メダル最有力候補だ。他にも、世界王者でペア代表のアナスタシヤ・ミーシナ/アレクサンドル・ガリアモフ**、世界および欧州チャンピオンに輝くアイスダンス代表の**ヴィクトリア・シニツィナ/ニキータ・カツァラポフ**も、団体戦に出場予定である。
平昌2018で金メダルに輝くカナダの2連覇にも注目だ。パイパー・ギレス/ポール・ポワリエ(アイスダンス)といった平昌2018出場者をはじめ、ソチ2014団体戦で銀メダル獲得の**カーステン・ムーア=タワーズは、新しいパートナーとなるマイケル・マリナロとペア代表で、また平昌2018団体戦で金メダルを獲得しているエリック・ラドフォード**も、ヴァネッサ・ジェームスと新ペアを結成し、2連続金メダルを目指すチームメンバーとして出場する可能性が高い。
ソチ2014と平昌2018で連続の銅メダルに輝くアメリカも見逃せない。男子代表のネイサン・チェンや**ヴィンセント・ジョウ、2大会ぶりにオリンピックの舞台へ戻ってくるジェイソン・ブラウン**をはじめ、マディソン・ハベル/ザカリー・ダナヒューと、マディソン・チョック/エバン・ベーツというアイスダンス精鋭2組も揃えており、頂点を目指していることは間違いない。
2021年4月に行なわれた国別対抗戦では、ロシアが金、アメリカが銀、日本が銅という結果だった。2大会連続金メダルに輝く**羽生結弦や、平昌2018銀メダル獲得の宇野昌磨**、さらに今季グランプリシリーズで総合1位に輝いた**鍵山優真といった日本代表男子スケーターの活躍が、上述の3強チームにどう割り込めるか、キーポイントになることだろう。この他にも、平昌2018女子シングル6位入賞の坂本花織や、今季で急成長を見せつけている三浦璃来/木原龍一**のペア代表も、団体戦でどのようなパフォーマンスを見せるのか、目が離せない。
北京2022フィギュアスケート団体戦の各チーム出場者リストは、競技初日(2月4日)前日となる、2月3日に最終発表される予定だ。