6月に開幕する「第19回世界選手権2022ブタベスト大会」など、国際大会の代表選考となった「国際大会日本代表選手選考会」が、3月1日から5日まで東京辰巳国際水泳場(東京都江東区)で開催された。男子はTokyo2020銀メダリストの本多灯が2種目で世界選手権の切符を獲得、バタフライでは日本記録が更新されるなど、世界選手権本番での活躍に期待が膨らむ結果となった。
■本多灯が400m個人メドレーと200mバタフライの2種目で切符
Tokyo2020メダリストの本多灯が実力を発揮した。200mバタフライでは2位以下を1秒以上引き離す圧勝で銀メダリストの貫禄を見せると、400m個人メドレーでは第一人者である瀬戸大也との競り合いに勝利。派遣記録を突破して、2種目で世界選手権出場を決めた。
400m個人メドレーでは、予選でも本多は瀬戸と同じ組で泳ぎ、本多が1着、瀬戸が3着で通過。決勝では本多が4コース、3コースには瀬戸が入った。1種目目のバタフライから本多が大きくリード。2種目目の背泳ぎでは後続に接近を許し、平泳ぎでは瀬戸も先頭争いに絡み始めて、決着は最後の自由形にゆだねられた。
本多は自由形でいったんは瀬戸にかわされ、残り50mを迎えたが、ここからが真骨頂。怒涛の追い上げを見せて、瀬戸とのマッチレースに持ち込む。その争いは最後までもつれ、タッチの差で瀬戸を振り切って1位。派遣標準記録を突破し、200mバタフライと2種目で世界選手権代表の切符を手に入れた。
3種目制覇を狙った100mバタフライでは敗れたものの、本多はさらなる可能性を見せてくれた。400m個人メドレー決勝で叩き出した4分10秒75から記録が伸びるようであれば、200mバタフライとの2種目で世界選手権の表彰台が見えてくる。
■水沼尚輝が100mバタフライで13年ぶりの日本新記録
水沼尚輝が100mバタフライ決勝で本多らを抑えて優勝。51秒の壁を突破した50秒86は13年ぶりの日本新記録となり、世界選手権への切符を獲得した。
決勝では一番端の1コースから挑んだ水沼は、50mをターンすると徐々に後続とのリードを広げていく。その勢いは最後まで衰えず、1着でゴールした。2位でフィニッシュした松元克央も世界選手権の派遣標準記録を切り、200m自由形と2種目で世界選手権代表に決まった。
水沼が決勝でマークした50秒86は、Tokyo2020決勝で4位相当、2019世界選手権では銅メダルに値する。日本人選手がオリンピック・世界選手権を通じて、この種目でメダルを獲得したことはない。松元も51秒18を記録していることから、世界選手権本番では日本人同時入賞の可能性もある。200mの本多とともに、バタフライで世界を席巻できる可能性がある。
■瀬戸大也と入江陵介は貫禄の泳ぎで世界選手権へ
400m個人メドレーでは本多に敗れた瀬戸大也だが、200m個人メドレーでは後続に1秒以上差をつける圧勝で派遣標準記録を突破、健在ぶりをアピール。400mとの2種目で世界選手権代表の座をつかんだ。前回の2019世界選手権で、瀬戸は200mと400mの個人メドレー2種目で金メダルを獲得しており、ディフェンディングチャンピオンとして世界選手権を迎える。
特に200m個人メドレーは、0.05秒差でTokyo2020のメダルを逃していた。400mでは本多ら若手が台頭したことで、瀬戸もうかうかできない状況である。「パリ2024金メダル」を公言している瀬戸にとっては、世界選手権で国内外に存在感をアピールしておきたい。
背泳ぎで貫禄の泳ぎを見せたのは入江陵介。決勝では序盤から快調なペースで進めて、体ひとつ抜けた状態で50mのターンを迎える。入江はその後もペースは衰えることなく、2年ぶりの52秒台となる52秒94をマークして優勝。派遣記録を突破して、7度目の世界選手権代表内定とした。
まさに第一人者の泳ぎで、後続を寄せ付けない強さは健在。残念ながら、50mと200mは優勝したものの派遣標準記録には届かなかったが、世界のひのき舞台で入江の存在感を見せてもらいたい。