FINA(国際水泳連盟)第19回世界選手権大会水泳競技大会が6月18日から25日にかけ、ハンガリー・ブダペストで開催される。競泳では2021年に行われたTokyo2020以降初となる国際大会。新生・競泳日本代表にとって2023年に控えている世界選手権福岡大会、その先のパリ2024へ向けた初陣となる。
■男子:Tokyo2020銀の本多灯、2種目でメダル獲得なるか
男子の注目は、Tokyo2020の200mバタフライで銀メダルを獲得した本多灯だ。3月に行われた国際大会日本代表選手選考会(以下、選考会)や日本選手権では、後続を大きく引き離して圧勝。選考会で記録した1分54秒04は、Tokyo2020決勝の記録に匹敵する。さらに本多は400m個人メドレーでも派遣標準記録を突破。4分9秒台を記録できれば、200mバタフライと2種目のメダル獲得も見えてくる。
本多とともに個人メドレーで代表に選出された瀬戸大也は、2019年大会からの連覇を狙う。Tokyo2020では400m個人メドレーで4分10秒を切れずに予選敗退となり、2大会連続のオリンピックメダル獲得とはならなかった。3月の選考会でも4分10秒を切れず、本多に敗れて2位に終わったが、日本選手権ではもう少しで8秒台に迫る、4分9秒07で優勝。前回大会では、4分8秒95で優勝を飾っているだけに、4分9秒台前半を記録できれば完全復活と言える。
背泳ぎのベテラン入江陵介も健在だ。3月の選考会では、100m背泳ぎで出場選手中、ただ1人の52秒台をマークして派遣標準記録を突破し、2007年ローマ大会から7大会連続出場を果たした。日本選手権でも52秒台をマークして、日本男子背泳ぎ界の第一人者をアピール。後続を1秒以上引き離す圧巻の泳ぎを見せた。
日本選手権優勝後のインタビューでは、「正直びっくりした」と入江が驚くほどの好タイムだった。泳ぎ込みの時期でスピード感がない中で52秒後半を記録。入江はここから1カ月でどこまで状態を上げてくるのか。ただ、世界に目を向けると、メダル圏内となれば52秒台の前半が必要か。コンディション次第ではあるが、個人種目では2011年上海大会以来のメダルとなるか。
ほかにも100mバタフライで50秒86の日本記録を樹立した水沼尚輝、200m平泳ぎでは選考会や日本選手権を通じて、唯一2分7秒台をマークした花車優に期待したい。
■女子:Tokyo2020で2冠の大橋悠依、若手の谷川亜華葉がどこまで迫るか
女子では、Tokyo2020において日本女子初となる個人メドレー2種目制覇を成し遂げた大橋悠依に期待がかかる。オリンピック以降は200mをメインにするとしていたが、3月の選考会では2分11秒72の2位としていた。しかし日本選手権では勝負にこだわって2分10秒70で優勝。2位以下を1秒離す快勝で、世界の舞台へコンディションを間に合わせてきた。Tokyo2020で記録した2分8秒52からはまだ差があるものの、どこまで状態を上げて本番に挑めるかに注目したい。
400m個人メドレーには、大会前に19歳となった谷川亜華葉にも目を向けたい。3月の選考会で大橋らを抑え、4分36秒45の高校生新記録をマークすると、日本選手権でも後続を2秒以上離す圧勝で、世界選手権代表の座をつかみ取った。「練習がしっかりできている」と日本選手権優勝時には練習の成果を強調。成長著しい若手がどこまでタイムを伸ばせるのか。調子いかんでは、ダークホース的な存在となるだろう。
3月の選考会、平泳ぎの50mと100mで日本新記録を樹立したのは青木玲緒樹。日本選手権では、追われる立場の中で2位に敗れているが、3月の100mで記録した1分5秒19は、Tokyo2020で当てはめれば銀メダル相当の記録である。自己ベストを更新できるコンディションであれば、メダル獲得も夢ではない。