絶対王者として長年トップに君臨してきたヒューストンか、それとも東京2020オリンピック金メダリストの堀米雄斗か。この問いは表彰台争いの話ではない。スケートボード男子ストリートは、予選から先の読めない激しい戦いが繰り広げられた。
ブレイキン、スケートボード(ストリート、パーク)、BMXフリースタイル(パーク)、スポーツクライミングのオリンピック最終予選となる「オリンピック予選シリーズ」(OQS)上海大会の競技1日目となった5月16日、スケートボードでは女子パーク予選に続いて男子ストリート予選が行われ、根附海龍(ねつけ・かいり)が予選首位、ジャガー・イートン(アメリカ合衆国)が2位、ナイジャ・ヒューストン(アメリカ合衆国)が3位で準決勝に駒を進めた。
東京2020オリンピック金メダリストの堀米雄斗は17位で予選敗退となった。
このほか、世界王者の白井空良(そら)は4位、佐々木音憧(とあ)は6位、青木勇貴斗(ゆきと)は7位、小野寺吟雲(ぎんう)は8位で、根附を含め日本勢5人が準決勝に進んだ。
男子ストリートの準決勝は、5月18日に予定されている。戦いの模様はOlympics.comと公式アプリでライブ配信予定。
男子ストリート予選は現地時間正午過ぎにスタート。パリ2024オリンピック予選の第1フェーズで上位に入った44人のうち欠場となった2選手を除く42人が4グループに分かれて予選に挑み、各スケーターは45秒間でパーク内を滑る「ラン」を2本ずつ行った。
パリ2024オリンピック日本代表最大3枠を争う戦いが激化している日本男子は、6選手が出場。
世界ランキングで日本勢4番手に立つ堀米雄斗は、予選最終組に登場して1本目のランを大きなミスなく滑り切ったものの、得点が伸びず81.88点。最終組10人全員が1本目を滑った時点で、堀米は暫定14位。16人で行われる準決勝に進出できるかどうか危ぶまれる緊張感の中、堀米は2本目のランの最初のトリックで着地が乱れると、中盤には転倒。2本目のランは44.03点にとどまり、順位を上げることはできなかった。
堀米の後に2本目のランを行った14歳の小野寺吟雲(ぎんう)が83.63点、グスタボ・リベイロ(ポルトガル)が82.92点を叩き出して順位を上げると、ヒューストンそして1本目のランで準決勝進出圏内に入っていた白井を残して、堀米は準決勝進出ギリギリの暫定16位。
絶対王者として長年ストリート界のトップに君臨してきたヒューストンか、それとも堀米か。ヒューストンは2本目で落ち着いた滑りを見せて45秒を滑り切ると、このランに87.34点がつけられてヒューストンが3位に浮上。その瞬間、堀米の予選敗退が決まった。
パリ2024オリンピックの出場枠獲得争いで、堀米は日本男子の4番手に立つ。堀米のパリオリンピックへの道は最終戦となる6月ブダペスト大会の結果が大きな鍵を握ることとなった。
根附海龍が予選唯一の90点台
一方、前回のオリンピック予選大会となったドバイ大会で優勝した根附は、2本目で男子ストリート予選で唯一の90点台となる90.41点をマークし、調子の良さを見せつけた。予選後、根附は「1本目にミスってしまったんですけど、2本目で修正できたのでよかったです。(準決勝では)ベストトリックも入ってくるので、そこで自分の得意なヒールフリップを使った技を決めたいです」と、ラン2本とベストトリック5本で構成される準決勝に向けて意気込みを語った。
世界ランキング1位で世界王者の白井も好調ぶりを見せつけ、2本とも86点台でそろえると、滑走後には刀を振り下ろすようなお決まりの「サムライポーズ」で観客の声援に応えた。
スケートボード男子ストリート予選の結果
以下、準決勝に進出した16人
- 根附海龍(日本)90.41
- ジャガー・イートン(アメリカ合衆国)88.88
- ナイジャ・ヒューストン(アメリカ合衆国)87.34
- 白井空良(日本)86.12
- ジョセフ・ガルバッチョ(フランス)85.52
- 佐々木音憧(日本)85.08
- 青木勇貴斗(日本)84.12
- 小野寺吟雲(日本)83.63
- フェリペ・グスタボ(ブラジル)83.42
- ブレイデン・ホーバン(アメリカ合衆国)83.03
- グスタボ・リベイロ(ポルトガル)82.92
- マティアス・デル・オリオ(アルゼンチン)82.78
- マット・ガーバー(カナダ)82.63
- ライアン・デセンゾ(カナダ)82.44
- クリス・ジョスリン(アメリカ合衆国)82.02
- ジオバンニ・ビアンナ(ブラジル)81.95
オリンピック予選シリーズ上海、ライブ配信
5月16日〜19日に中華人民共和国・上海の黄浦(ホアンプー)で行われるオリンピック予選シリーズ上海大会の模様は、Olympics.comのOlympic Channnelでライブ配信予定。お見逃しなく。
オリンピック予選シリーズのスケートボード競技
オリンピック予選シリーズとは、ブレイキン、スケートボード(ストリート、パーク)、BMXフリースタイル(パーク)、スポーツクライミングのオリンピック最終予選となる大会シリーズで、4競技のアスリートたちが一堂に会し、パリ2024オリンピック出場を目指して5月16日〜19日に上海、6月20日〜23日にブダペストで戦いを繰り広げる。
スケートボードのパーク、ストリート両種目では、成績に応じてランキングポイントが加算され、ブダペスト大会後のランキングなどをもとに、パリオリンピックに出場する22人(開催国枠、ユニバーサリティ枠を含む)が決まる(※)。各国が獲得できる出場枠は各種目最大3枠となっており、トップスケーターがひしめく日本勢にとっては、誰が日本代表の座を掴むのかが注目ポイントのひとつとなる。
※オリンピック各国代表の編成に関しては国内オリンピック委員会(NOC)が責任を持っており、パリ2024への選手の参加は、選手が属するNOCがパリ2024代表選手団を選出することにより確定する。