2011年に初開催された大阪マラソンは今回で12回目となる。国内では唯一、大阪市だけが2つの国際マラソンを開催している。そのもうひとつは、今大会と同じくマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)ファイナルチャレンジである大阪国際女子マラソン。今年1月28日の同マラソンでは、前田穂南(ほなみ)が2時間18分59秒の女子マラソン日本新記録を樹立して日本人最上位となり、パリ2024オリンピックの代表枠獲得に王手をかけている(*)。
*名古屋ウィメンズマラソン2024(3月10日開催)で、前田の記録を破って日本人最上位になる選手がいなければ内定となる。
大阪マラソン2024は、2月25日(日)9時15分、大阪城下に号砲が響き渡りスタートとなる。
パリ2024マラソン日本男子代表枠の最後の1枠をかけたMGCファイナルチャレンジの第2戦にあたる今大会。その1枠を狙う選手は、MGCファイナルチャレンジ設定記録2時間5分50秒を突破して日本人最上位で大阪城公園内のフィニッシュに帰ってこなければならない。
昨年12月に行われた第1戦福岡国際マラソン2023では、設定記録を破り代表枠に手が届いた選手は出なかった。MGCファイナルチャレンジは、第3戦東京マラソン2024(3月3日開催)まで続き、全3戦終了時点で代表内定者が決まる。ファイナルチャレンジで該当者が出なかった場合、昨年10月のMGCで3位に入った、東京2020男子マラソン6位入賞の大迫傑(すぐる)が日本代表に内定となる。
パリ2024代表枠をかけるレースとして今大会を選んだ選手にとっては、次のない最後のチャンスとなるだろう。
一方で、日本陸上競技連盟のジャパンマラソンチャンピオンシップ(JMC)シリーズⅢの主要レースのひとつである今大会では、ポイント獲得を目指す選手も上位を狙う。また、2025年の世界陸上東京大会の代表争いのポイントにも関わるため、今大会はトップ選手にとって重要な位置づけにある。
以下、注目の男子日本選手を紹介しよう。
注目の男子選手
土方英和(ひじかた・ひでかず)
自己ベスト2時間6分26秒(2021年びわ湖毎日マラソン)
国内招待選手の中では最も速い自己ベストタイムをもつが、昨年のMGCでは31位と本来の力を発揮できずに終わった。國學院大學時代は駅伝ランナーとして活躍し、2020年には主将として同校を箱根駅伝総合3位、出雲駅伝初優勝に導いている。駅伝で培ったスピードを武器に今大会でも活躍が期待される。
髙久龍(たかく・りゅう)
自己ベスト2時間6分45秒(2020年東京マラソン)
国内招待選手の中では2番目に速い自己ベストをもつ髙久も、東洋大学時代は駅伝で活躍し総合優勝を経験している。MGCでは18位だったが、今大会で2時間5分50秒突破を目指す。
大塚祥平(おおつか・しょうへい)
自己ベスト2時間6分57秒(2023年大阪マラソン)
昨年の大阪マラソンで総合8位(日本人3位)。2019年のMGCでは4位となり、東京2020には補欠選手として名を連ねた。昨年のMGCではパリ2024代表が内定している2位の赤崎暁(あきら)に50秒差(2時間9分56秒)で8位となり、惜しくも代表内定を逃している。これらの悔しさをばねに、今大会で昨年に引き続き自己ベストを叩き出して、悲願のオリンピック出場を狙う。
小山直城(こやま・なおき)
自己ベスト2時間7分40秒(2023年ゴールドコーストマラソン)
昨年のMGCで1位となり、すでにパリ2024男子マラソン日本代表に内定している。JMCシリーズⅢで現在ランキング2位の小山は、今大会で上位に入り、ポイントを上げてシリーズチャンピオン(賞金660万円)を狙いたいところだろう。
なお、出場を予定していた国内招待選手のうち、MGC4位の川内優輝と同7位の井上大仁(ひろと)は故障のため欠場となっている。
海外からの招待選手には、東京2020男子10000mウガンダ代表のスティーブン・キッサが出場する。2022年ハンブルグマラソンで自己ベスト2時間4分48秒を記録して2位に入っている。レース当日は、今大会に出場する全選手の中で唯一4分台のタイムをもつベテランランナー35歳のキッサと、5分台のタイムをもつエチオピアのアデラドリュー・マモ(自己ベスト2時間5分12秒)ら海外勢が先頭集団を引っ張る展開が予想される。
日本勢は土方の2時間6分26秒が最高タイムだが、設定記録2時間5分50秒を突破してパリオリンピックの代表枠を手繰り寄せるには、海外勢にいっさい引けを取らないパフォーマンスと覚悟を示すことが必至となる。